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年越しとお正月にやること…エリザベート&静香

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年越しとお正月にやること…エリザベート&静香

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第10章 やっぱり1人より2人・・・友達や恋人と参拝

 着流しの着物を着た佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)は、水神 樹(みなかみ・いつき)と初詣を楽しんでいる。
 彼女の方は花柄で赤色の振袖を着て、肩には白のフェザーショールを身につけてた。
 シルクのような長い黒髪はきちんと綺麗に結い上げ、弥十郎からもらったかんざしで結った髪を飾っている。
「逸れたら大変だからね」
 弥十郎に手をつながれて樹は頬を赤く染めた。
「願掛けする前に手を洗わないと」
「あっちにありますね、清めるところ」
 手水を作法どおりに行ってから参拝に並ぶ。
「―・・・っ」
「この方がスペースが空くし、君の背中を守れるから」
 人の波に潰されそうになる彼女の肩をそっと抱き寄せる。
「ありがとうございます・・・」
 30分ほど待ち、ようやくお参りをする。
 2人で呼び鈴を鳴らし、賽銭箱へお金を投げた。
 作法通りに丁寧にお辞儀をして、パンパンッと2回手を叩く。
「(今年も一年健康に過ごせますように。あと、弥十郎さんとずっと一緒にいられますように・・・)」
「樹さんと今年中にキスできますように・・・」
 願掛けの言葉を思わず口に出してしまい、弥十郎は気づかなかったが、隣にいた樹にはしっかり聞こえていた。
 樹は聞いてしまったと気づかれいないように、オーバーヒートしそうな真っ赤な顔を冷やそうと冷たい手で冷やす。
「おみくじを引きにいこうか?」
「そ・・・そうですね」
 おみくじを引こうと巫女のバイトをしているライゼのところへ行く。
「末吉だね」
「私は・・・・・・」
「何を引いたんだい?」
「―・・・超ウルトラ最大凶でした」
 可哀想に思ったライゼが沈んだ表情をする彼女のおみくじの説明を読んであげた。
「大怪我や事故に注意。あなたが危機に陥った時、思い人が傍にいればあなたを護ってくれるでしょうって書いてあるよ」
 ライゼの説明に弥十郎を危機から樹を護ってあげようと心に誓い、彼女のくじを御神木に結んであげた。
「リンゴ飴があるね、買ってあげるよ」
 屋台で買ったリンゴ飴を樹に手渡す。
「ちゃんと言ってなかったよね」
 帰ろうと寺の門をくぐる前に、ピたッと足を止めた。
「何をですか?」
「愛してる。心から」
「―・・・私もです・・・」
 恥ずかしさのあまり声がでなかった樹は、なんとか勇気を持って弥十郎の言葉に答えてた。


 参拝に来ていたナナ・マキャフリー(なな・まきゃふりー)は、着物の着方が間違っていないか、他に着物を着ている人を見て確認する。
「まず参拝する前に手を洗うのが作法ですからね」
 ルース・メルヴィン(るーす・めるう゛ぃん)がナナに作法を教えてあげた。
 行列に並び数十分ほど待ち、ようやく順番が回ってきた。
「ナナお参りの仕方を教えてあげますね。最初は柏手に二拝、その後に二拍手。最後に一拝をするんですよ」
「こうですか?」
 手本を見せてくれたルースを真似てやってみた。
 お賽銭を投げて願掛けをする。
「ナナは、暖かな日常を願うのです。みなさまが幸せな・・・・・・」
 楽しいということや、嬉しいということを、どうやって言葉で表現したらいいか考え込んでしまう。
「(楽しい時は誰かと一緒にいて笑っていること?嬉しいことは褒められたりすること?)」
 結局、幸せとはなにか言葉にしきれなかった。
「おみくじを引いてみましょう」
 先にルースが引くと吉が出た。
「ではナナも」
 くじを開けて見てみると、凶が出てしまう。
「これが悲しいことだとは理解出来ます・・・」
 しょんぼりしているナナに温かい甘酒をあげる。
「温かくて美味しいですね・・・」
 気分が沈んでいたナナの心が少しだけ温まった。
「ナナ・・・好きです。あなたを笑顔にする役目を、永遠にオレに与えてくれませんか?」
「では、ナナに笑い方を教えてくださいますか?」
 さらに問いかけられ、ルースは語りかける言葉を探す。
「楽しい会話をした時・・・誰かと一緒にいることで自然と笑顔になれるんです。今のオレはナナと一緒にいられてとても楽しいですよ」
 ルースは心からナナに笑って見せる。
「・・・・・・ナナが笑顔を作れる時、共に笑って頂ければ幸いなのです」
 彼の答えを返して受け入れた。



「ねんがんの はつもうでにやってきたぞ」
 明野 亜紀(あけの・あき)はいつもの服の色と合わせて青色の着物を着ていた。
「危ないわよ、気をつけて」
 石畳に転びそうになったとこを宇都宮 祥子(うつのみや・さちこ)が支えて助ける。
 彼女の服装は牡丹と鶯の柄も華やかな振袖だった。
「ありがとう祥子姉様。やっぱり歩きづらいのだよ・・・スカートではないから」
 転ばないよう祥子に手を引いてもらう。
「先におみくじを引きにいこう」
「まず私から・・・」
 祥子が先にくじを引く。
「吉だったわ」
「それではボクも・・・」
 おみくじを引いてみると、なんと亜紀は超最大吉を引き当てた。
「どれどれ・・・恋愛運最高でしょう、だってー!!」
「こらぁあっ、何やっているんだ!」
「イッたぁあいっ!」
 くじ売り担当の巫女のバイトをしているライゼは亜紀のくじを覗き込み、大声で読み上げると垂にゲンコツで殴れてしまう。
「(これはもはや、結婚するしかないのだね!?)」
 吉以上がでたら亜紀は思い人と結婚しようと思っていた。
「そろそろ参拝しに行かない?」
「ん・・・そうだ、お参りに行かないと!」
 いいくじを引いた2人は参拝しに行く。
「ふふふ・・・この日のために集めておいたのだよ。きっともの凄いご利益を得られるに違いない!」
 賽銭箱に前へ行き、用意していた5円玉を20枚も箱へ突っ込む。
「一人前の剣士になれますように・・・皆とこれからも仲良くいれますように。おとーさんとおかーさんが、元気なままで居ますように・・・」
「(叶うといいね)」
 真剣に願掛けしている亜紀を、祥子は優しい笑顔で見守る。
「今年一年、亜紀が健やかでありますように・・・」
 祥子も彼女の傍らで願掛けをした。
 初詣を楽しんだ2人は亜紀の家に行き、ささやかなお正月パーティーをした。
 買ってきた食材を料理して甘酒を飲み、そのまま眠ってしまう。
「(初夢に亜紀が出てきますように・・・)」
 温かい部屋の中で祥子はぐっすり眠りに入った。