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年越しとお正月にやること…エリザベート&静香

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年越しとお正月にやること…エリザベート&静香

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第8章 年明けに行くとこいったら・・・お洒落な晴れ着を着て初詣

 御節を食べ終わった生徒たちは、エリザベートと静香も一緒に同行してもらい初詣へ向かった。
「みんなの振袖姿かわいい〜」
 ほしのは高画質デジタルビデオカメラで生徒たちを撮影する。
「はっぴ〜にゅ〜いや〜です♪」
 百合柄の入った青地の振袖姿のヴァーナー・ヴォネガット(う゛ぁーなー・う゛ぉねがっと)は、静香たちに可愛らしく新年の挨拶をする。
 緑色の綺麗な長い髪には、百合のカンザシを飾つけていた。
「静香先生かわいいです」
「そう?ありがとう♪」
 着物姿の静香にニコッと笑いかける。
「楽しそうですわね」
 セツカ・グラフトン(せつか・ぐらふとん)は黒地に白百合柄の振袖姿で、パートナーたちが楽しんでいる様子を見ながら屋台の雷おこしを食べる。
「いいわね、手軽に小さいアイスが作れるやつ。欲しいわ・・・」
 白いセントバーナード犬に乗り、クレシダ・ビトツェフ(くれしだ・びとつぇふ)は赤地に白百合柄の振袖を着て玩具を見ていた。
「抹茶の団子もいいわね・・・」
 ショーケースにペタっと両手をつけてじぃーっと見つめる。
「あれは何ですか?」
「ぬれせんべいだよ」
 屋台で焼いているせんべいを見て何だろうと首を傾げるヴァーナーに静香が説明してあげた。
 ためしに1枚だけ焼きたてのぬれせんべいを買って食べてみる。
「ぱりぱりしてて美味しいですね♪」
「抹茶のジェラートに小豆が乗っているやつがあるわ。食べたい・・・」
「はい、どうぞ」
 欲しがっているクラシダに抹茶のジェラートを買って渡す。
「美味しいわね」
「くずもちも買ってみたんですよ」
「少しちょうだい」
 ヴァーナーはくずもちを箸で分けて食べさせてあげた。
「いります?」
「くれるんどすか〜おおきに」
 欲しそうにしているイルマにも食べさせる。
「よかったら一緒に写真を撮らないか?」
「いいですよー」
 カメラを持ってきた玲が声をヴァーナーたちに声をかけ、一緒に写真を撮る。
「このトラの鈴かわいいですね、3つくださいー」
 出店の中に行き、トラの絵柄の小さな鈴がついた髪飾りを3つ購入する。
「せっかく来たんだからお参りに行かないと・・・」
 呼び鈴を鳴らして5Gを賽銭箱に入れた。
「あぁっ、まだおみくじ引いてませんでした!」
「麿も引いてみたいどすなぁ〜」
 彼女たちはくじの入っている箱に入れて取り出す。
「それがしは超凶か・・・」
「―・・・最凶ですか」
「もの凄く悪いですわね」
「ここに説明書きがあるわ。えっと・・・災厄を回避には友人と力を合わせること・・・だって!」
「それなら乗り越えられそうですね♪」
 結果は悪かったが、皆で力を合わせて乗り越えようと心に決めた。
「あ、せや・・・破魔矢を買わへんとなぁ」
 イルマは破魔矢の1本買い、大切そうにかばんへ閉まった。



「人いっぱい並んでいるね、静香先生」
 橘 舞(たちばな・まい)は初詣に来ていた静香を誘ってお店を見て回る。
「そうだね・・・」
「祈れば願いが叶う・・・ねぇ・・・」
 初詣にあまり興味がないブリジット・パウエル(ぶりじっと・ぱうえる)は、舞と静香が仲良くなれるように来ていた。
「やっと順番が来たね」
 舞は呼び鈴を鳴らして賽銭箱へ小銭を投げた。
「(世界平和と桜井先生が今年も健康でいるように・・・)」
 手をパンパンッと叩き、お寺の神様に祈る。
「おみくじを引きに行こう」
 数分間待ち箱に手を入れてくじを1つ取った。
「凶か・・・」
「私の方は・・・」
「何引いたの?」
「―・・・大凶」
 舞の方は凶でブリジットの方は大凶を引き、悪い結果に2人は呆然とする。
「どうしたらいんだろう・・・えっと・・・あまりはしゃぎると怪我する恐れ有り。災厄から逃れるには、先輩や目上の人などのいうことをよく聞くことだって」
 凶のおみくじの説明書きをよく見て確認する。
「災厄か・・・大怪我しないように気をつけてね」
「え・・・えぇ」
 心配に思ってくれる静香の気づかいだけで、舞は災厄から逃れられる気がした。
「私は・・・パートナーを大切にしないと、とんでもない災厄が身にふりかかる恐れ有り。これ以上どう大切にしろと・・・」
 大凶の説明書きを読んだブリジットはへこんでしまった。
 静香に可愛く着付けしてもらったアピスもお参りをする。
「静香さん、手・・・繋いでも良いですか?」
「いいよ」
 アピスは静香の綺麗な手を握って嬉しそうに歩き、一緒に呼び鈴を鳴らしてもらった。
「(静香さんの全てを守れますように)」
 パンパンッと手を叩いてお祈りした。
 おみくじ売り場へ行き、先にシリルが引く。
「あっ、あたい中吉だ」
「凶・・・」
「元気出して、きっといいことあるよ」
 沈んだ表情をするアピスは、静香が励まされていつもの明るさを取り戻す。
「お嬢様、何をお願いしました・・・?」
 初詣に行く静香たちと一緒にきたミルフィと有栖もお参りをする。
「えっと・・・今年もミルフィと・・・ずっと、一緒にいられますように・・・って」
「お嬢様っ」
 頬を赤く染めて言う有栖に、照れたミルフィは嬉しそうな表情した。



 綺麗な振袖姿の静香に真口 悠希(まぐち・ゆき)は思わず見惚れてしまう。
 慣れない着物を着ている彼女は、ばっちりきまっている姿に魅入られる。
「とても美しいです・・・」
「うん・・・?今、何か行ったかな?」
「いっいえ、何でも!」
 赤くなっている顔を見られないようにぱっと視線を逸らす。
 悠希の順番が回って呼び鈴を鳴らした。
「静香さまは、何をお願いしましたか?」
「生徒の皆が病気したり怪我をしないようにかな」
「ボクは・・・百合園の皆様もそうですけど、静香さまを幸せにしたいです・・・なんて、言えませんっ」
 口に出してしまったことに気づき、さらに顔を赤く染めてしまう。
「これからも皆が楽しく過ごせますように」
 振袖を着てお参りに来たロザリンド・セリナ(ろざりんど・せりな)も賽銭箱へ投げてお祈りをする。
「そうだおみくじを引きにいかないと」
 ライゼが巫女のバイトをしているおみくじ売り場にいった。
「いい運に恵まれますように♪」
「引かせてもらいますね」
 箱に手を入れておみくじを引く。
「超凶ですね・・・」
「ボク・・・最凶でした」
 ロザリンドの超凶と、悠希が引いた最凶には恋のライバルに注意と書かれていた。
「ちょっと出店の方へ行きませんか」
「一緒にいってくれるの?嬉しいな♪」
「他の生徒もいるのに誘っちゃってすみません」
 出店の方へ行く2人の姿を見て悠希は羨ましそうに見る。
「いろんな味の綿飴があるね、食べてみる?」
「え、いいんですか!?」
 リンゴ味の綿飴を買ってもらって食べた。
「美味しいねー」
「もう1ついいですか?」
「うん、いいよ」
「(あぁ〜いいなー。ボクも一緒に食べたい)」
 悠希はぐすんっと目に涙を浮かべる。
「ボクも誘いたい・・・。だけど今は割って入れない・・・ロザリンドさまの邪魔はしたくないから」
 彼女たちの中に割って入れない悠希が嫉妬してしまう。
「一緒に和菓子を食べに行くんですけど来ませんか」
 ずっと見ている悠希の視線に気づいたロザリンドは可哀想に思い声をかけてあげた。
「え・・・いいんですか!?」
 呼ばれた悠希は嬉しそうに駆け寄っていく。
「さっき来る時に見つけたんですよ、ほらそこのパフェ」
「玉露のお茶も売ってるから、外で食べても大丈夫だよ」
「それなら冷えなさそうですね」
 3人は静香を間に挟むようにして椅子に座る。
「抹茶の味がきいて美味しいですね」
「口についてるよ」
 ロザリンドの口にアイスがついているのに気づき静香がハンカチで拭く。
「ボ・・・ボクもなにかついていません!?」
 わざとらしく小豆をつけてみた。
「とってあげるね」
 恥ずかさのあまり悠希は顔を伏せてしまった。



「まだかしら順番!もうかなり待っているわよ
 参拝しようと並んだ菫たちは、数時間も待たされていた。
「人がいすぎて熱いわね」
 パビェーダが扇で顔を扇ぐ。
「いったいどれだけ人がきているんだろうな」
 行列を見て小次郎は数えてみるが、途中で止めてしまう。
「後もう少しかしら・・・」
「ふぅ・・・ようやく私たちの番ね」
 3人で呼び鈴を鳴らして賽銭を投げた後、軽くお辞儀をして手を叩き願掛けをした。



「エリザベートちゃん逸れないように手をつなぎましょう〜」
 人ごみに紛れて逸れないように明日香がしっかり手を握る。
 お参りを終えておみくじ売り場でくじを引く。
「小吉でしたぁー」
「まぁまぁという感じですわね」
 おみくじを持って出店を見て回る。
「人形焼きがありますね、食べますー?」
「食べたいですぅ〜♪」
「それじゃあ、2袋ください〜」
「外で食べるなら飲み物が欲しいですわね」
「んー・・・あっ!柚子の緑茶が売ってますよぉ」
 夕菜に言われて辺りを見回して探してみると、温かいお茶を売っている店を見つけた。
「はい、エリザベートちゃん。熱いからふぅふぅして飲んでくださいねぇ」
 人形焼を夢中で食べてお茶を飲む彼女を見て明日香はニコッと微笑んだ。



「おみくじくださぁい〜」
「はぁいどうぞ」
 くじの入った箱をライゼから受け取り、いいのを選ぼうと一生懸命選ぶ。
「これにします!えーっと・・・大凶・・・・・・」
「最大凶・・・無茶しすぎると、とてつもない災厄がやってくるでしょう・・・だって」
 ふぇいとはくじの結果にがっかりした。



 正月休みに実家の神社に戻り手伝いをしていた日下部 社(くさかべ・やしろ)は、両親に初めてのパラミタの正月だから友達と楽しむように言われ、空京のお寺の初詣に来ていた。
「んまぁ・・・たまにはこういうのも悪くはないかなってな」
「はぅ〜☆社のお父さんとお母さんは優しいですねぇ〜☆」
「うっさいわ!」
 社の話を聞いて望月 寺美(もちづき・てらみ)が優しい両親でよかったと褒めると、皆が聞いている前で言われた彼は恥ずかしがって怒る。
「あれは・・・?」
 後をちょこちょこと追ってくる人物の方へ振り返ると、そこには見知った顔の少女がいた。
「・・・なんで、ちーがここにおんねん?!」
「えへへー!やー兄、ついてきちゃったー♪」
 実際に社が知る日下部 千尋(くさかべ・ちひろ)とは性格が異なり、元気で明るい雰囲気の少女だった。
 角を隠すために大きめの帽子を頭に被っている。
「はぅ!なんで千尋ちゃんがここにいるんでしょう?」
 千尋について気づいていない寺美は驚きのあまり目を丸くした。
「(あぁ、もしかしてこの子はアリスなんやないか?)」
 持っているアリスのドロワーズを思い出し、目の前にいる少女がアリスだと気づく。
 社と千尋はパートナー契約を結んだ。
「ちーと俺たちが一緒にいるためのおまじないようなもんだ」
「なぁんだそうかー♪」
 社の妹じゃないアリスだと気づいていない振りをするために、首を傾げている千尋に説明してやった。
「せっかくだから、ちーも一緒に初詣行くか?」
「うんっいくいく♪」
 お参りしようと順番を待ち、3人で呼び鈴を鳴らす。
「今年も面白い事に沢山出会えますように!(あと、気になるあの子ともっと仲良くなれたらええなぁ〜。なんてな!)」
「いっぱいお友達が出来ますように☆あと、社がはしゃぎ過ぎてケガしませんように☆」
「やー兄のお嫁さんになれますように♪」
 それぞれ叶えたい願いを願掛けする。
「おみくじ引きに行きましょう☆」
 くじを売っている巫女のところへ行き、番号が書いてある棒が入っている箱から選ぼうとカラカラと振り、交代で棒を1本取り出す。
 出た番号のくじをもらい、今年の運を占う結果を見てみた。
「―・・・超凶かよ・・・・・・」
「同じですね☆うぅ・・・大凶より悲しいです☆」
「吉だ・・・やー兄と同じのがいい!」
「こんなのでいいんですか☆」
「それがいぃいっ、それー!」
 自分だけ結果が違うのが嫌だと気づき、寺美が持っているくじを変えてあげた。
「ありがとっ!ラミちゃん♪」
 嬉しそうにくじを手に握る。
「ちょっと疲れたかな・・・」
「仕方ないですね☆」
 千尋は寺美に抱きついておんぶしてもらい、初詣を存分に楽しんだ。



 漸麗の曲が終わり、おみくじを引こうと黒龍は彼と共に初詣へ行く。
「さて、この一年吉と出るか凶と出るか・・・。できればいいくじだといいがな」
 おみくじを引いて結果を見ようと中を開く。
「―・・・」
「何?何て書いてあった?」
 横から漸麗が覗き込む。
「・・・超・・・・・・」
「超・・・?」
「―・・・・・・超凶だ・・・」
「ありゃりゃ・・・。僕は中吉だったよ」
「―・・・」
 誕生日にとんでもないおみくじを引いてしまった黒龍は気分を沈ませた。
「パートナーを大切にしないと、恐ろしい災いが起こる・・・だと」
「こっちのはパートナーが大切にしてくれるといいことが起きるでしょう、って書いてある」
「(大切に・・・この英霊を!?)」
 むっとして彼をほうって帰ろうとすると、子供が振り回しているアイスが顔面に飛んできた。
「大丈夫?」
「あぁ・・・。(くそ・・・こういう地味にむかつく災いなのか・・・)」
 置き去りにしたことで早くも災いが起きてしまった。