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【十二の星の華】悲しみの襲撃者(第3回/全3回)

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【十二の星の華】悲しみの襲撃者(第3回/全3回)
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第五章 始まり


「……少しは落ち着いたか……?」
 クルード・フォルスマイヤー(くるーど・ふぉるすまいやー)がリフルに話しかける。
「ええ」
 リフルは静かに答えた。リフルの洗脳が解けて数時間。友人たちの尽力もあって、リフルはなんとか正気を取り戻していた。
 クルードの隣にいるユニ・ウェスペルタティア(ゆに・うぇすぺるたてぃあ)を見て、リフルは俯きながら言う。
「あなたは、私が斬ってしまった人ね……ごめんなさい……」
「い、いえ。私はもう大丈夫です。リフルさんが元に戻ってよかったです」
 そこで、ユニは気がつく。
「クルードさん、『リフルにはやって貰わなければならないことがある』って言ってましたけど、私を連れてきた理由ってもしかして」
「ああ……ユニは俺にとって大切な存在だからな……きちんと謝ってほしかった。……だが、それももう済んだ……全てを許し、リフルを護ると約束しよう……」
 だが、クルードの言葉にもリフルの表情は晴れない。
「私が犯した罪はあまりにも大きい」
 そんなリフルに、漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)は優しく声をかけた。
「大丈夫、きっとみんな許してくれる。だって、私達はリフルのことが大好きだから。そうじゃなきゃこんなに頑張ったりしない」
「……」
「結局リフルは誰も殺さなかった。それは、例え洗脳されててもリフルの良心が必死に抵抗したからだと思う。仮面を割られた後だって、リフルは傷ついた人を介抱しようとした」
「私はここにいていいのだろうか……」
 そう呟くリフルの横に、荒巻 さけ(あらまき・さけ)が座る。
「勿論ですわ。わたくしの隣は、リフルさんの席と決まっていますの」
「君を友達と思っている子達を、君も少しでも同じように思っているなら、ちょっと肩の荷をもってもらうのも悪いことじゃない」
「過去の記憶が欠落していることは不安だったけれど、私悲観的にならないって決めたんです。それはリフルさんのおかげでもあるんですよ」
 シルヴィオ・アンセルミ(しるう゛ぃお・あんせるみ)アイシス・ゴーヴィンダ(あいしす・ごーう゛ぃんだ)も言った。
 皆の発言に、月夜は大きく頷く。
「それに、古代シャンバラ史だってまだ全部教えてもらってない。私がリフルに教えてあげたいこともいっぱいある」
 古代シャンバラ史といえば、天 黒龍(てぃえん・へいろん)はずっとリフルに聞きたいことがあった。
「リフル……覚えているか? 遺跡で私が『なぜ勉強会などする気になったのか』と尋ねたとき、おまえは『嬉しかったのかもしれない』と言った……何が嬉しかったのだ?」
「気がついたとき、私にある記憶はアムリアナ様に関するわずかなものだけだった。だから、古代シャンバラ史について必死に勉強した。そうすれば、何か自分について分かるかもしれないと思って。結局無駄に知識がついただけだったけれど、そんな自分の知識を必要としてくれる人たちがいて嬉しかった。私でも人の訳に立てるのだと」
「……なるほどな」
 リフルは制服の内ポケットにそっと手を当てる。そこには今日橘 カナ(たちばな・かな)がくれた桔梗の造花や、初めて会ったときに日比谷 皐月(ひびや・さつき)からもらったお守りが入っていた。
「みんな、ありがとう。自分自身まだ色々と混乱しているし、多くのことに答えを出せていない。でも、私にはまだやらなければいけないことがある」
 顔を上げたリフルの目には、彼女を囲む大勢の仲間の顔が写る。
 一つの物語は終わりを迎えた。だが、また新たな物語が始まる。そんな予感のする夕方だった。
 
           


 【十二の星の華】悲しみの襲撃者 完


担当マスターより

▼担当マスター

飛弥新

▼マスターコメント

みなさん今日は。飛弥新です。

「【十二の星の華】悲しみの襲撃者」はこれにて完結です。最後までお付き合いいただきありがとうございました。

この物語には続編が用意されていますので、よろしければそちらの方にもお付き合いください。突如現れたあのキャラクターの秘密も明らかになっていくかもしれません。

なお、今回はお送りしたい個別コメントがたくさんあったのですが、時間の都合で叶いませんでした。申し訳ありません。

※「服装」欄のアイテムはマスターシナリオにもちこめません。また、ヒロイックアサルトはあくまでも「伝説上の英雄の技を再現する」スキルです。オリジナルの必殺技ではありません。これらに関して、今回は涙を飲んで不採用としたアクションもあります。今一度マニュアルやスキルの説明をご確認ください。

一区切りということでお話ししたいことは色々とあるので、それは私のブログ「蒼空でフロントスープレックス」にでも書こうと思います。多分。そのうち……。裏話とかできればいいなあ。

それでは、またお会いできることを願って。