First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last
リアクション
お悩み相談コーナー
「お悩み相談コーナー〜♪」
シャレード・ムーンがコーナー名を叫ぶ。
「最初のお便りは、おっぱい大好き鈴木 周(すずき・しゅう)さんです。まあ、大胆なペンネームですね。
こんばんは。最近、草食系男子なんて言葉を耳にするようになりましたが
俺はそんなの関係なく積極的に沢山の女の子にアタックしています。
おお、頑張れー。
だけど、まったく上手く行きません。
だめじゃない、それじゃ。
自分で言うのもなんですが、そんなに酷い顔でもないし、性格も明るい方だと思うんですが…。
こんなに女の子たちが大好きで大好きで大好きで仕方ないのに、
あ、はははは。
どうして伝わらないのかわからずに困っています。
はは、けほけほけほ……。ごめんなさい、ちょっとお水飲みます。
――はあ、死ぬところでした。
シャレさんは、女の子はどういうアプローチなら喜んでくれると思いますか?
また、1発で女の子が落ちるような口説き文句とか行動があったらぜひ教えてください!
あるかあ、そんなのー!
まずあなたの場合は、決めなければいけないことがあります。
ずばり、たっゆん派かぺったんこ派か。
それによって、あなたの運命は決まるのです。
もちろん、選ばれなかった派閥からは命を狙われることになります。それを乗り越えてこそ、おっぱいな彼女ができるんですよ。
さあ、まず剣の腕を磨きなさい。話はそれからです」
★ ★ ★
「よっしゃあ、おっぱーい!!」
そのころ、ツァンダ近くの林で、気力いっぱいの雄叫びをあげる声が聞こえたらしい。
★ ★ ★
「次のお便りは、ペンネーム荒ぶる筋肉さん。
こんばんは。毎日暑い毎日が続きますね。
ミッドナイトシャンバラ毎日楽しく拝聴させてもらってます。
ありがとうございます。
今日はシャレード・ムーンさんに相談したい事があるため投稿させて頂きました。
はーい、どうぞどうぞ。
相談というのは…とある7人組についてです
私はこの7人組と仲良くしたい訳ですが
巡り会わせが悪いのか状況が悪いのか色々と誤解されて
ついに変態呼ばわりされてしまいました。
へ、変態ですか!? いったい何があったのでしょう?
こんな時シャレード・ムーンさんでしたらどのように解決されますか?
どうかいい知恵を貸してください。お願いします。
どうか今後もミッドナイトシャンバラ頑張ってください!
応援しています!!
これはまた、相手が多いんですねー。荒ぶる筋肉さんと七人の女の子さんですか……。なんだか童話のタイトルみたいですね。
問題は、まず荒ぶる筋肉さんが、本当に変態なのか、そうでないのかですね。まずはそこからだと思います。
ちょっと聞きますが、まさか、お風呂で裸のぞいたり、お風呂で自分の裸見せて回ったりしてないですよね。
冗談ですよー。さすがに、そんなことしてたら変態ですよね。
変態じゃなかったら、堂々としていればいつかは誤解も解けるんじゃないかなあ。
女の子七人にいつも囲まれているなんて、天国じゃないですか。
さっきの、えーっと、おっぱい大好きさんが聞いたら泣いて悔しがると思いますよ。
とりあえず、誤解が解けるように祈ってますねー」
★ ★ ★
「お風呂ー。ねぇ〜、あおいママー、お風呂行こうよー」
「ええーっ、ちょうど今いいところなんだよね」
秋月 カレン(あきづき・かれん)にせがまれて、秋月 葵(あきづき・あおい)は困った顔をした。
「ダメですよ。カレンちゃんは、一人ではまだお風呂入れないじゃないですか。葵ちゃんが入れてあげないと。それに、早くしないと、寮のお風呂止められちゃいますよ」
「ぶー」
「わがままは、カレンちゃんの教育にも良くないですからね」
エレンディラ・ノイマン(えれんでぃら・のいまん)に諭されて、秋月葵は三人連れだって寮のお風呂へむかった。背後で聞こえるラジオの声が後ろ髪を引くが、しかたがない。
「ひとーつ、ふたーつ……」
のんびりと、湯船の中で秋月カレンが百まで数える。
「まっ、いいかあ。そうそうハガキが読まれるとは限らないよね」
半ば諦めつつも、もしかしてという思いはあるので、秋月葵は落ち着かない。
興味のない人間には分からないかもしれないが、リスナーを名乗る者たちにとっては、深夜放送の中でハガキが読まれることは一種のステイタスである。夜の静かな時間の中で、奇妙な連帯感がそこにあるのだ。
「はい、もう少し肩までちゃんと浸かって」
どちらかというと、秋月カレンにではなく秋月葵に言い聞かせるように、エレンディラ・ノイマンが湯船の中でピンと指を立てた。
「さあ、ちゃんとお風呂も入ったし、早く出ましょう」
秋月カレンが百数えるのを待つと、秋月葵は湯船から飛びだしてそそくさと身体を拭き始めた。
「ああ、後で眠気覚ましのアイスコーヒー持ってきてくれない?」
秋月カレンを寝かしつけると、やっと自分の部屋に戻ってきた秋月葵はエレンディラ・ノイマンに言った。お風呂で身体が温まったせいか、急激に眠気が襲ってきている。これは、ラジオを聞くにはまずい。
「はい。ちょっと待っててね」
エレンディラ・ノイマンがコーヒーを作りに行ってくれた間にも、秋月葵はなんとか目を開いてラジオの音に耳をかたむけ続けた。
★ ★ ★
「いつも楽しくラジオを聞かせていただいています。
コッチも夏真っ盛りですが、特殊な気候のせいか相変わらず霧深いです。
過ごし易いですが、もう少し晴れてくれてもよいのですけど...
先日、久しぶりに彼女とデートが出来たので、次は夏休みにでもゆっくり2人で過ごしたいなぁと思っています。
いつでも料理できるように、サバイバルセットを買いました。
道具も現地で調達できるのですが、少しでも美味しく食べてもらえるように。
シャレードさん。ロマンティックにするなら、海と山どっちで料理したほうがよいでしょうか。
ペンネーム、カレーは作れないさんからでしたが、なんでカレー?
いや、キャンプでカレーできなきゃだめですよー。
あれ?
その前に、なんで彼女とのデートでサバイバルしないといけないんです?
大丈夫かなあ。デートなら、もっといいところがたくさんあるような気がするんだけどー。
山? 川? いっそ平原にしちゃいましょう、平原。
キマクの近くなら星も綺麗だし、ロマンチックらしいですよー。
盗賊さんたちとひゃっはーもできるから、適度の緊張感もありますしね。
頑張って彼女さんを守ってくださいねー。
さて、次の投稿は、たっゆんになりたい少女さんから……」
★ ★ ★
「葵ちゃん、コーヒーできましたよ。葵ちゃん? あらあら、寝ちゃったんですね」
ベッドの上にななめに寝ている秋月葵を見て、エレンディラ・ノイマンはそっと掛け布団を彼女の上に掛けた。
「あら、これって、葵ちゃんのハガキかしら。どれどれ……」
ベッドの縁に腰かけると、エレンディラ・ノイマンはラジオに耳をかたむけた。
First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last