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イコンVS暴走巨大ワイバーン

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イコンVS暴走巨大ワイバーン

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【11・兵器と人間】

 日がすっかり傾いた頃。
 モモとギルティは、帰宅の途につこうとして。偶然、海京警察に連行されている三人組の少女とはち合わせていた。
 すれちがいざまに嫌味を口にするモモ。
「あのワイバーン可哀想だったわ……。ご主人様が馬鹿で……」
「あっははぁ。なんか勘違いしてないですかぁ? あたしがあいつのご主人様? あんなクズ、ただの実験動物じゃないですか。勝手にすりよって来たゴミを、エコ的に再利用してやっただけ。それだけだみょーん(嬉)」
 モモは、殴りかかろうとしたギルティを手で制した。
 これ以上ここで争いをしたくないということがあり。同時に同じ15歳でありながら、ここまでいのちを軽く扱える目の前の少女に、言いようのない寒気がしたからだった。
「あんた……それでも、人間なの!?」
「そうですよぉ。可愛くてラブリーな少女でぇす……うぁ、さすがに自分で言ってて寒いですね。次があったら、ツンデレキャラでやってみましょうか(考)」
「マスター! だったら熱血面でいこうゼ! 時代は熱さを求めてるんだゼ!」
「どうでもいいけど、拘置所にレベル高いヤツおるんか? でないと脱獄し甲斐ないんやけど」
 まるで反省の色がない少女たちに、ギルティも背筋に寒いものを感じた。
「なんか、いろいろメンドくさいやつらネー。さすがのミーも、関わりたくない人種ヨ」
「もういこう、ギルティ。こんなやつら殴る価値もないわ」
「そうネ」

 赤羽美央とサイレントスノーはお墓を作ってあげていた。
 土を盛り上げただけの小さなものだが、それでも十分に遺体は埋葬できる。何しろ今回の事件で亡くなったのは、奇跡的にあのワイバーン一匹だけだったのだから。
 そしてその一匹は、今エリザベートの腕の中にいる。
「元の姿に、戻ったんですね」
「もちろんですぅ。私の解毒薬を甘くみないでください」
 そうして静かに埋葬し、手を合わせる。
 周りには数多くの生徒が集まっており、その誰もが静かに冥福を祈った。
 しかしそのなかに。山葉聡の姿はなかった。

 彼がどこにいるのかというと、実はまだコームラントの中にいた。
「なあ、サクラ」
「はい?」
「イコンは……兵器で、なにかを傷つけてしまうものだけどさ。それだけのものだと思うか?」
「? どうしたんですか、突然」
「いや、いいから。答えてみてくれよ」
「そうですね。イコンは、戦車や爆撃機と同じ、平和のためと称して作られた、色々なものを破壊する、紛れもない兵器です」
「…………」
「けれど。それだけではないと、私は思います」
「そう、かな」
「ええ。特に聡さんはよく、イコンのパイロットであることを利用してナンパをしているではないですか」
「っ!? な、なんだよ。せっかくのシリアスムードがぶち壊しじゃないか」
「ふふふ。要するに、使い手しだいということですよ」
 そうしてしばらく、聡とサクラは話に花を咲かせつづけた。
 もう二度と。こんなことを繰り返さない決意を胸に抱きながら。


                                     おわり

担当マスターより

▼担当マスター

雪本 葉月

▼マスターコメント

 マスターの雪本葉月です。
 これまでのシナリオで、様々な終わりかたをしてきましたが。
 今回は(一応)初となるバッドエンドです。
 皆さんが、少ない人数であることをカバーするアクションを送ってきてくださったので、なるべく救いがあるようにはしたつもりです。
 個人的にも、巨大な相手に作戦を立てて戦いに挑むというのは【雪下の幻影少女】の頃から、かなり気に入っている展開なので。どうしようか最後まで悩んだんですけど。
 最終的には、このようなエンディングの形をとらせていただきました。

 テーマは『兵器』と『いのち』です。
 これについては深く言いません。作中でもう言いたいことは言い終えていますので。

 そして。今回のゲストキャラクターは、想像以上に非道な三人になりました。
 これまでは悪人と言っても、名誉、お金、愛、など多少なりとも諦めたくない信念があって動いていた感じですが。
 あの三人はただ、自分たちにとって面白いからという理由だけで、他のものを容赦なく巻き込んで傷つけて、それでいて危なくなったらなんの責任も持たずに放り出していましたからね。やりすぎなくらい救いようがなかったです……。
 いっそのことイコンで容赦なく叩きのめしたりもしたかったんですが、さすがにそこまでするとこちらが非道になりかねませんのでカットしました。

 次回以降は、もうちょっと優しいキャラクターを出していこうかなと考え中です。
 それではまた。

▼マスター個別コメント