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砂漠のイコン輸送防衛前線

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砂漠のイコン輸送防衛前線

リアクション

 トレーラーへの被弾をシールドしていた、アペイリアーが動きを見せる。 
「いくぞ、アリカ!」
「うん、準備OKだよ大吾! アペイリアー、何時でも行けるよ!」
 大吾とアリカがウサちゃんからの弾幕に乗じて、敵センチネルへと接近する。アビリティ《超感覚》で逃しはしない。
「この攻撃から逃げられると思うな!」
「大吾やっちゃえ!」
 近距離からのガトリングシールドが敵の腹部へと叩き込まれる。1機の撃破に成功した。
 しかし、RIT001AとCHP001は複数機、存在する。油断は禁物だ。直ぐに別の機体が近づいて攻撃を仕掛けてきた。
 だが、そのセンチネルの槍による攻撃は届かなかった。イロドリCのスナイパーライフルが攻撃の瞬間にその腕部を貫いたのだ。その他近くの敵機も容赦なくジェネレーラーが撃ちぬかれた。
 アペイリアーが攻撃手段を失った敵の頭部をビームサーベルで切り飛ばす。
《そこのCHP003A! 油断しちゃダメよ》
 天貴 彩羽(あまむち・あやは)がアペイリアーパイロットを叱咤する。
《すまない。助かったぞ!》
 大吾は危機を救ってくれた彩羽に感謝した。グレネードを投げて一旦後ろへと退いて、遠距離攻撃に切り替えことにする。
「彩羽殿、左60m先17°上方より攻撃でござる!」
 イコンに直接コードで繋がったスベシア・エリシクス(すべしあ・えりしくす)が攻撃データを解析しメインパイロットに伝える。
「わかったわ!」
 機体に左を向かせ、スナイパーライフルを放つ。敵アルマイン・ブレイバーのコックピットを容赦なく破壊。マジックカノンの射線がズレる。
「生身の味方に大勢の敵が来ているでござる!」
「敵に情けをかけて味方を危険にさらせないわ!」
 イロドリCのバルカンが火を噴く。生身で迫る鏖殺寺院の者たちはその銃弾の雨に晒されて、吹き飛ぶ。彩羽は非情な判断をした。

「うう、砂が痛い……」
 イロドリCの攻撃の余波で飛んできた砂に、サンドラが眉を顰めた。
「泣き言言ってられないぜ? 次のお客さんだ、援護しろ!」
 同じトレーラーを守るラルクに命令されるアレックス。ラルクは既に迫り来るアグニへと直進していた。
「わかったよ! こんなことなら兄貴たちと同じトレーラーに乗れば良かった!」
 【サンドゴーグル】をかけ直し、アレックスは《ライトニング》で牽制する。対象はラルクの行く道を塞ぐ敵。
 ラルクは倒れる敵の合間を縫って、アグニへと向かう。アサルトライフルと火炎放射の攻撃が襲いかかってくるが、一切の防御行動をせず《予測行動》で《神速》の回避を徹底する。
「へ! イコンだろうがなんだろうが素手で壊してやる!」
 地面を抉り、跳躍する。空中に飛び出せば逃げ場はなく、アグニにその刹那を見切られる。ラルク目がけて銃弾飛ぶ。
 しかし、ラルクは正面から飛んでくる弾を《龍の波動》で撃ち落とし、尚もアグニへと迫る。握り締められた拳に鳳凰の伊吹が宿る。
「こいつでもくらえや!!」
 アグニの装甲に《鳳凰の拳》が突き刺さる。厚い装甲がひしゃげる。
 だが、彼の攻撃はまだ終わらない。
「まだまだだ!」
 零距離で一番厚いであろうアグニの腹部装甲を《龍の波動》で砕き掘る。そして、再度《鳳凰の拳》を叩き込んだ。
「貫け!!」
 ラルクの体がアグニの腹部を突き抜ける。
 上半身と下半身の結合を破壊され、アグニが真っ二つになった。

「ラルクさんやるぅー。りゅ〜ちゃん、あたしらも行くよ!」
 ミルディア・ディスティン(みるでぃあ・でぃすてぃん)が咆哮するワイバーンで空を駆ける。機動力を活かし、敵を撹乱、ワイバーンクローで奇襲する。
 ミルディアの撹乱に乗じて、アシュラムが動く。操縦するのは北都とクナイ。
 《高速移動》で敵クェイルに近づき、レイピアで頭部を突き刺す。3体のクェイルが起動を停止する。
 その直後、クナイがレーダーに複数の弾道を確認する。
「北都、敵コームラントより分裂ミサイルです!」
「面倒事は嫌いなんだけどねぇ!」
 直ぐさま、空中へと退避する。遠距離兵器を主力とするコームラントは厄介な相手だ。しつこく誘導ミサイルを撃ってくる。チャフを装備しているものの、これ以上弾が増えると、レイピアとハンドガンだけでは防ぎきれない。
《あたしに任せてよね!》
 ミルディアがコームラントへと突っ込む。囮役を勝手出たのだ。敵の目標が彼女へと変わる。
《大丈夫だった?》
《これくらいなんとも無いです》
 負けず嫌いな北都がそう答える。
 アシュラムはチャフでミサイルを誘爆し、難を逃れる。しかし、今度はミルディアとりゅ〜ちゃんが誘導ミサイルに晒される。
「へへ、一度板野サーカスをやってみたかったんだよね。りゅ〜ちゃん全速全開!」
 飛び交うミサイルの合間をワイバーンが躱していく。目まぐるしく軌道を変え、ミサイルの誘爆を誘う。
「やっぱスピードは大事だよね♪」
 急速転回し、ミサイルを振り切る。しかし尚も新しい誘導ミサイルと分裂ミサイルが襲ってくる。

「鴉あなたも、ちゃんと戦ったらどう? まだ一機も倒してないじゃない」
 トランスの響くヘッドホンを夜月 鴉(やづき・からす)から取り上げて、アグリ・アイフェス(あぐり・あいふぇす)が辛辣な言葉をかける。
「……」
 面倒くさがりな性格の鴉はガトリングガンやスピアーで敵を牽制するだけして、まだ戦果を上げていない。メリリムの操縦の殆どもアグリに任せている。
「ワイバーンに乗っている娘、頑張ってるし助けてあげたらどうなの?」
「……面倒なのはごめんなんだがな」
 《りゅ〜ちゃんが疲れてきてたし、助かったよ》
 ミルディアから通信が入る。が、返信するのが億劫なので、無視してヘッドホンをかけ直した。アグリが、「もう」とため息を吐いて、別の敵へとメリリムを向かわせた。