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リアクション
しかし、ララが後方に戻らなかったことにより、また、ジガンの暴走によってトレーラーの守りが一部手薄となっていたのだった。
更に、そんな時に限って、唯斗の操る荒人のエネルギー残量が半減していた。
「ち、エネルギーが漏れているのだな……」
モニターをみて、エクスが舌打ちした。
「おや、エクス様、EN切れですか?」
魔鎧化して唯人に装備されているプラチナム・アイゼンシルト(ぷらちなむ・あいぜんしると)が尋ねる。
「どうするのだ。唯斗」
唯斗は、敵の玉霞を目標に前進していた。しかし、エネルギーが少なくなっている状況で無闇に突っ込むわけにはいかない。あと少しで、自らの宿敵である機体と戦えるはずだった。
《兄さん! トレーラーに敵のシパーヒーが!》
《イナンナの加護》で警戒していた紫月 睡蓮(しづき・すいれん)が唯斗に知らせる。
「くそ! こんな時に!」
《高速移動》を使い、急いでトレーラーへと戻る。ここで、戻れば、玉霞とは戦えないだろう。だが、自分たちのやるべき事は、輸送しているイコンを守り抜くことだ。腹をくくり、4号車へと到達した敵のシパーヒーへと迫る。
(間に合わないのか!)
エネルギーが半減しているせいか、出力が上がらない。このままでは敵にイコンを奪われてしまう。
その時、4号車の壁の内側から、ガトリングガンの弾が飛び、シパーヒーを襲った。
トレーラーの壁を突き破って、ハニカム・メーカーが飛び出し、敵の頭を掴み、パイルバンカーが炸裂した。
吹き飛ぶ敵シパーヒーを荒人の鬼刀が一刀両断する。神速絶刀・音切りの太刀だ。
《危ないところだったな。紫月。丁度修理が終わったところだったんだ》
軽度では有ったが機体の損傷を考慮して、つぐむはトレーラー内に戻り、未沙に応急処置をしてもらっていた。
《真珠、まだビデオは取れるか?》
《ばっちりよ》
ハニカム・メーカーのコンディションデータを集めるため、つぐむは真珠に戦闘の様子を録画してもらっていた。
《よし、もう一度行くぞ。紫月、ここは任せた》
つぐむはそう言うと、再び戦線へと向かっていった。
「つぐむちゃんはやっぱりかっこいいなぁ〜」
と、真珠もつぐむの勇姿をビデオに記録するため、戦場カメラマンとなって戦場へと飛び出して行った。
穴が開いたトレーラーから、輸送機体が覗く。中に積載されていた機体を見て、唯斗が驚いた。
《これは、玉霞!》
「そこの雷火さんどうする? 燃料部が故障しているみたいだけど? 燃料漏れくらいなら止められるよ」
未沙が応急処置できるとの事だ。
「唯斗、行ってしまえ、荒人はわらわが引き受けた」
唯斗はエクスに無言で頷き、操縦席を脱した。
《睡蓮、荒人に乗れ、俺の代わりに操縦するんだ。修理を頼む》
《任せて、兄さん》
唯人は玉霞に乗り込み、プラチナムの魔鎧化を解除した。
《紫月 唯斗、輸送品のTAMA−KASUMIをつかわせてもらう》
報告だけはして、許可を待たず玉霞を起動させる。
「コイツの動きは相手をした俺が良く知っている。行くぞ!」
「オーケーです。マスター!」
唯斗を乗せた玉霞が発進する。狙うは敵の玉霞だ。
「今度は絶対に負けはしない。同じ機体なら!」
荒人の鬼刀を取り、宿敵へと向かった。
「忍、あちらの砂山を吹きとばすのじゃ!」
「わかった!」
信長の命令通り、大型ビームキャノンを砂地へと撃ち込む。砂山の影に隠れていた敵イコンを破壊し、更に巻き上げた砂を敵に浴びせて、動きを鈍らせることに成功した。
《今じゃ、皆ものかかれ!》
信長の号令で、地上部隊が動く。
《ルカルカ、地上の敵はもうすぐ制圧できそうじゃ。空域の戦況はどうじゃ?》
《コームラントがやっかいだけど、みんななら問題ないかな? 信長は信長でよろしくやっちゃってて》
まあ、素手で壊せるんだけど、とルカルカは付け加える。信長は相変わらず豪胆な娘だと思った。
二人の通信の間、忍は2門のガトリングガンで、敵を牽制し続ける。
「そろそろ、敵も減ってきたな……」
「油断するでないぞ。 まだ、大将首が残っておる」
信長は、シュメッターリングに【魔王拳】を何時撃てるのか、ニヤニヤしていた。
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