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リアクション
ミネルヴァの盾
“全員配置に着いたか?”
量子通信にてロンバート指揮司令が確認する。スフィーダ後方席よりデータを確認。目標到達時刻まで、後数秒。
“これより、最後の戦いが開始される。敵の電子的な戦術介入もあるだろう。通常通信が使えなくなった場合、パラミタ式の通信機を臨時に使用する。各自、両方の通信を使用可能な状態にしろ”
全ての機体に、小型の機晶通信機が備えられている。機体データのやり取りこそできないものの、指揮系統においては音声通信が可能なら十分だ。
“すでに、攻撃部隊は敵本拠地へと向かった。彼らがドールズのデータを奪い、施設を叩いて勝利を収めてくれるだろう。それまで、我々ミネルヴァ軍は敵の一体もオリュンズへとは通さない”
遠方より黒い影が無数に点在。急速に大きくなってくる。
襲来だ。
“――っ、敵は全て叩き落せ! 敵は人にあらず! 完膚なきまでに破壊し尽くし、ガラクタに変えろ! 復唱後、迎撃を開始する! 我らミネルヴァ軍、オリュンズを守る盾(アイギス)となれ!”
“我らミネルヴァ軍、オリュンズを守る盾(アイギス)となれ!”
第一防衛ラインより、砲撃開始。第一配備のフィーニクス部隊が【レーザーライフル】による遠距離射撃を開始する。
直後、量子テレポートによるドールズ出現ポイントに黒い霧が発生。黒い靄をまとったドールズの軍勢が出現する。
「軍の予測通り……ですけど、進軍部隊とテレポート部隊とを分けて来るんて――。こっちの出方を読まれている気がします」
水無月 睡蓮(みなづき・すいれん)はまさか、RAR.がドールズに情報を流しているのではと考えてしまう。ハデスの出したRAR.黒幕説に感化されたわけではないが、邪推してしまう。
確かに、RAR.は街中のアンドロイドを制御する処理能力を持っている。なら、ドールズを操ることも出来るのでは? いや、それなら何故ドールズに自分を壊すようなことをさせるのか?
「……」
鉄 九頭切丸(くろがね・くずきりまる)が思考を飛ばす。
「そうね。ひとまずはアレコレ考えるのを止めにしましょう。RAR.が黒幕かどうかは、終われば分かることよね」
“なに、数がものでもないさ”
睡蓮の独り言を聞いていたのか綺雲 菜織(あやくも・なおり)が話しかけてきた。
“傀儡が幾ら来ようと、私たちはひたすら撃ち落とすだけさ。終われば、風呂にでも入りに行こうではないか? おっと、男性諸君は覗きに来るなよ?”
“それはざんねんだ”“混浴ならどうだ?”。とか幾らかの返答が兵士たちから聞こえる。
“オリュンズに『ディアナの湯』ってのがあるようです。終わったら言ってみましょう。睡蓮、あなたもどうですか?”
有栖川 美幸(ありすがわ・みゆき)の誘いに、「ええ、ご一緒させてもらいます」と睡蓮は答えた。
“なら、銭湯が壊されないようにしないとな!”
菜織の言葉に一同は深く共感した。
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