天御柱学院へ

なし

校長室

蒼空学園へ

パーティーは大失敗で大成功?

リアクション公開中!

パーティーは大失敗で大成功?
パーティーは大失敗で大成功? パーティーは大失敗で大成功?

リアクション

「ファイアストーム!!」
 ベルク・ウェルナート(べるく・うぇるなーと)によって≪雷鳴の魔人使い――アンダ≫が炎の渦へと閉じ込められた。
 数々の魔法を食らった帯電する巨人は、消えそうなほどに薄くなり既に炎の渦を抜ける力さえ失っていた。
「後は任せろ!!」
 グラキエス・エンドロア(ぐらきえす・えんどろあ)が駆け出す。
「エルデネスト、アウレウス、飛ぶぞ!!」
「了解しました」
「お任せよ」
 雑兵の相手をしていたエルデネスト・ヴァッサゴー(えるでねすと・う゛ぁっさごー)アウレウス・アルゲンテウス(あうれうす・あるげんてうす)は戦いをやめて、グラキエスに高く飛んでもらおうとレシーブの構えをとった。
 二人は自分の手を使ってもらおうとお互いに身体を押し合った。
 そしてグラキエスは――二人の目の前で自力で飛び上がった。
 ネロアンジェロによって黒い四枚の翼を生やしたグラキエスが空高く飛び上がる。
 炎の渦の頭上へ舞い上がったグラキエスは、翼を大きく広げてアンダを見下ろす。
 そしてグラキエスはトップスピードでアンダに向かって急降下し始めた。
「砕く! 天より下される炎熱の鉄槌!!」
 グラキエスが魔法を唱え始める。
 それに気づいたアンダが真上にレールガンを撃ちつける。
 グラキエスは脇を絞め、拳に魔力を集める。
 熱風に交じって電流を帯びた弾丸が頬を掠めた。
 拳に凝縮された魔力が黒い光を放つ炎となった。

「食らえ! 渦巻く天の炎槌(プラーミャ・タルナーダ)!!」

 グラキエスが拳を突き出すと同時に、【天の炎】が黒い炎となってアンダに襲いかかる。
 【ファイアストーム】の中で周囲に広がることができない【天の炎】は、渦巻きながらアンダに迫る。
 弾丸を飲み込んで進む黒い炎は、アンダに食らいつき、そして――雪が降り続ける夜空に黒柱を描いた。
 

 灼熱の猿王の攻撃を回避しつつ、隙を狙い続けた生徒達。
 結果、灼熱の猿王が纏う炎の勢いを衰え、動きにキレがなくなってきた。
「この隙に!」
 今こそ畳みかける時とばかりに背後から駆け出すフレンディス・ティラ(ふれんでぃす・てぃら)
 だが、灼熱の猿王は首だけ動かして、フレンディスを発見すると、拳の形をした炎を飛ばしてきた。
 迫りくる炎を前に、顔面を守るように腕を交差させるフレンディス。
 すると、目の前に【ファイアストーム】がフレンディスを守るように発生した。
 フレンディスの身体が横から掴まれる。
 一時的に凌いだ【ファイアストーム】が貫かれ、フレンディスが元いた場所に炎の拳が落下した。
「大丈夫か?」
「え、マスター!?」
「ベルクちゃん!?」
 ベルクは地面に着地してフレンディスを下ろす。
 アンダの相手をしていたはずのベルクに助けられたフレンディスと魔鎧のアリッサ・ブランド(ありっさ・ぶらんど)は驚いていた。
「マスター、こっちに来ても大丈夫なのですか?」
「まあ、あっちはどうやら片付いたようなんでな」
 ベルクが親指で後方を指さす。
 フレンディスが視線を向けると火傷を負いながらも魔力を派手に使用してスッキリしたグラキエスが、ロア・キープセイク(ろあ・きーぷせいく)から【ヒール】を受けていた。
 その足元には≪雷鳴の魔人使い――アンダ≫が倒れている。
「これだけ弱ってたら、少しくらいは魔法も効くだろ。よし、フレイ。一緒に奴の動きを抑えるぞ!」
「は、はい! 了解しました、マスター!」
 勢いよく駆け出すフレンディスを援護するように、ベルクが【エンドレス・ナイトメア】で灼熱の猿王の視界を遮る。
 フレンディスは灼熱の猿王の身に纏う炎に身を多少焼かれながらも、足の腱を連続で攻撃して切断した。
 身に纏う炎を消失させながら膝をつく灼熱の猿王。
「今です!!」
 フレンディスが叫ぶ。
 天空からレティシア・トワイニング(れてぃしあ・とわいにんぐ)リネン・エルフト(りねん・えるふと)が舞い降り――

「これでぇぇ――!!」「終わりよ!!」

 ――灼熱の猿王の心臓に高速の剣を突き立てた。

 灼熱の猿王の悲痛な叫びが周囲に響き渡る。
 灼熱の猿王は大きな音を立ててうつ伏せに倒れた。
「やはり戦いはいいな……」
 ボロボロの身体をフレンディスに支えられながらレティシアが呟く。
 灼熱の猿王を倒したことで≪猿魔エシュ≫の動きが止まり、ヘイリー・ウェイク(へいりー・うぇいく)がリネンの元へやってきた。
「リネン、怪我はない?」
「ええ、大丈夫よ、ヘイリー」
 リネンは傍によってきたワイルドペガサスの鬣を撫でながら笑って答えた。
 
 ――その時、灼熱の猿王からくぐもった笑い声が漏れだす。
 灼熱の猿王が肩肘をついた状態で生徒達を睨みつける。
 生徒達の目に灼熱の猿王の胸元で黒い光を放つ護符が見えた。
 それは≪アヴェス≫の陰陽師≪不浄なる冷手――ジルド≫が使った生物を闇の存在に変える狂気のアイテムだった。
 護符が灼熱の猿王の体内に入り込む。
 すると灼熱の猿王の身体は燃え上がり、白い雲も白銀の雪も全てが黒色に染まった。

 そして生徒達の前に、最後の敵――黒い炎の化身≪黒炎の狂猿王≫が姿を現した。