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決戦! 秘密結社オリュンポスVSヒーロー戦隊

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決戦! 秘密結社オリュンポスVSヒーロー戦隊
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リアクション

「勇気があれば、負けはしない!」
 ヒーローたちをパレス内へと送り込んだ後も、迫り来る怪人たちと戦い続けていたハーティオン。度重なる戦闘に体は傷だらけ、それでも引くことはせず、懸命に戦い続けていた。
「……ふぅー、いっぱいいっぱい遊んだー! もう満足!」
「私も楽しかったー!」
「わたげうさぎー!」
「ああ、可愛いわたげうさぎ!」
 ハーティオンと戦い続けていた翠とアリス、途中まで戦っていたがラブと鈿女がわたげうさぎを連れ戻してきてくれたので戦いをやめたミリアとティナ。
 その時、オリュンポス・パレスが轟音と共に崩れ始める。それを見た翠たちは攻撃の手を止める。
「うん、もうオッケー。楽しんだもんねーそれじゃ帰ろうー!」
 そう言って帰ろうとする翠だったが、地面に何かが突き刺さっているのを発見する。
 それは股間部分に小さなカブトムシを付けられた状態で廃棄された変熊の姿だった。
「変……態……?」
 その言葉に反応した、三人も変熊のほうに向く。
「「「「……」」」」
 沈黙のままに全員同時にスタートする。彼女たちの天敵、それは変態。見つけてしまうと、見境無く全力で戦ってしまうのだ。
 ……負けるな変熊仮面! 生き抜いてくれ変熊仮面!
「攻撃の手が怯んだと思えば、パレスが陥落……やったのか?」
 しかし、次の瞬間ハーティオンやヒーローが見たものはまったく別の城の姿だった。
 陥落したパレスの方向から何十人かが走ってくる。ラトスたちとセレンたちが率いる人質たちだ。
「人質は救出、更にパレスも陥落! 上々だ!」
「でも、ないみたいね」
 ハーティオンの隣にはルカルカがいた。そこへ、ラトスたち、セレンたちもたどり着く。
「……はぁはぁ、みなさん! はぁ、聞いて、ください……」
 人質を一緒に助けられた咲耶が息も荒いままに話をしようとするが、なかなか言葉にならない。
 そんな咲耶の隣にルカルカがやってきて、ゆっくりと背中をさする。
「一回、落ち着いて。はい」
「あ、ありがとうございます」
「それで、一体何があったの?」
「はい。実は私の兄さんなのですが……」
 事情を喋ろうとした咲耶だったかが、それを遮るように今回の騒動の原因たる人物の声が拡張音声として聞こえてくる。
『フーーーーーーーーーッハハハハハハハハッ! ヒーロー諸君! よくぞ、よくぞわが城、オリュンポス・パレスを落とした! 見事だ!』
 遂に、遂に、その姿を現した。
『我が名はハデス! ドクター・ハデス(どくたー・はです)! この世界を征服する者だ!』
『我もおるぞ!』
 現れたのはドクター・ハデス。誰がこんなことを予想したのだろうかいいや誰もいない! いないったらいない!
 更にハデスと共に登場したのはマネキ・ング。そして彼等が今話している場所とは。
『だがしかし、我々にはまだ奥の手があるのだ! それが、こいつだ!』
 ハデスがそう言うと、巨大な地響きが鳴る。ハデスとマネキ・ングが動いている。
 否、乗っている部分が動いているのだ。
「ハデス殿は、我が守り抜いてみせようぞ」
 声の主は、大きな城、ハデスの足場ともなっている第七式・シュバルツヴァルド(まーくずぃーべん・しゅばるつう゛ぁるど)。陥落したオリュンポス・パレスの代わりの切り札。
『諸君は見事にここまで我等オリュンポスを追い詰めた。だが! これ以上はない! フーハッハッハッハッハ!』
 シュバルツヴァルドの上で笑うハデス。それを見た咲耶が改めて事情を説明する。
「今の兄さんは普通じゃないんです! 秘密結社とか世界征服とか言うような人じゃ……ってまあ、言う人ですけど! それがこんなに上手くいくはずがありませんっ! きっと、何者かに乗っ取られているに違いありません」
「なるほどね、まぁ、乗っ取られていたとして言動も変わってないけど」
 静かにルカルカが突っ込む。
「た、確かに変わっていないですけどっ! とにかく今はシュバルツヴァルドを戦闘不能にして、兄を止めて下さい!」
「そんな事情があったんだね。っというわけだよ、ヒーロー! か弱い少女が助けを求めているのならどうするの?」
 ルカルカがそう言ってヒーローをたきつける。
 そう言われたらヒーローたちも黙ってはいられない。
「安心して、ドクター・ハデスの野望もハデス自身も止めて見せるから! それに、ドクター・ハデス! 待ちくたびれたよ!」
 そう言ってハデスを指差すのは小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)、その後ろから【小型飛空艇ヘリファルテ】に乗って現れるもう一人のヒーロー。
「いつも以上に大盤振る舞いじゃないか、ドクターハデス! だが教えてやるよ、どんな時だって……悪の栄えた試しはないってな!」
 風森 巽(かぜもり・たつみ)である。今回、二人もヒーローとしてこの作戦に参戦していたのだ。
「愛と平和のために戦う! これが魔法の力だよ!」
 まず最初に変身したのは美羽、バッチの力を借りて変身した姿は、超ミニスカ魔法少女コスチュームだった。
「悪い人には、この魔法少女マジカル美羽がお仕置きだよ!」
「いい変身だ! 俺も続かせてもらう!」
 美羽の変身を見届けた後で巽がそれに続く。
 右手を腰溜めに構え、左手を右前から頭の上を通る様に円を描きながら、同じく腰溜めに構え、

「変……っ」

 右手を真っ直ぐ上へ一気に伸ばし、

「身!」
 その言葉に『ツァンダー変身ベルト』の音声認識が反応し、紅い【マフラー】と【仮面ツァンダーアクションスーツ】を身に纏う。
「蒼い空からやってきて! 子供の笑顔を護る者! 仮面ツァンダーソークー1!」
 綺麗にポーズを決める巽。
「待っていろ、ドクターハデス!その野望、直ぐに蹴り砕いてやる!」
「私だってこの魔法のステッキで懲らしめるんだから!」
 巽に負けじと美羽も前に出る。モブ怪人が寄って掛かるが、巽と美羽の変身後に勝てるはずもない。
 それでも数を武器に前には進ませはしない
 更にそこへ、幹部クラスの怪人が登場する。
「何者だ!」
「あたしの名は、革命的魔法少女レッドスター☆えりりん! 
 正義面した資本主義の犬どもめ! さぁモブ怪人達よ、虐げられし末端労働者の怒りを存分にぶつけてあげなさい!」
「正義の名の下に蛮行を振るう傲慢なヒーローに断罪を! 禁断の赤き魔道書、ミラクル☆きょーちゃん!」
「魔性の誘惑で悪落ちさせてあげる♪あすにゃんウィンク★ 歌って踊れる革命的アイドル、魔女っ子あすにゃん♪」
 ハイレグレオタード風衣装を身にまとって現れたのは藤林 エリス(ふじばやし・えりす)マルクス著 『共産党宣言』(まるくすちょ・きょうさんとうせんげん)アスカ・ランチェスター(あすか・らんちぇすたー)だ。
 マルクスのみ過激な衣装に少しだけ恥ずかしそうにしている。
「さあヒーローたち! 私たちの手で叩き潰してあげるわ! 喰らいなさい!」
 そういって新体操のクラブ(棍棒)の形をした魔法ステッキをくるくる回す。まるで本物の新体操選手のようだ。
「いくわよ!」
「負けないよ! 同じ魔法少女として!」
 これまた魔法のステッキ(ミスリルバット)を構えて、エリスの攻撃に備える美羽。
「ぶっ叩きますわ!」
「叩きあいなら望むところだよ!」
「……と見せかけて!」
 ステッキを使うと見せかけて、いきなりのフェイントからの膝蹴りを放つ。しかし、美羽もその攻撃を華麗に避ける。
「よっと!」
「まだよっ!」
 更にそこからハイキック→後ろ回し蹴りを繋げる。繋がれば3Hitだったが、美羽はなおも余裕を持ってそれをかわす。
「魔法少女ならステッキ使いなよ! 私みたいに!」
「ミスリルバットが魔法ステッキなんて聞いたことないわよ!」
「クラブだってそうでしょ!」
 激しく言い合いながら戦う二人の隣でも、巽vsマルクスとアスカが戦いを繰り広げていた。
「いつの世も、革命があったとき行われる行動。鞭打ち、切り裂き、締め上げ。あなたも革命の餌食となるのです!」
「はいはいー! 私のフラフープも切り裂いたりするよ! 首吊りに使えるしね!」
「そのような非道な行い、許さないぞっ!」
 二人の武器(マルクスが新体操のリボン、アスカが新体操のフラフープ)による猛攻をひらりひらりとかわす巽。
「やられてばかりではいられないな!」
 一瞬の隙を見て攻撃に転ずる巽。
「チェンジ! 轟雷ハンド! 青心蒼空拳! 晴天霹靂掌!」
 『轟雷閃』の電撃を腕に纏い、特技の武術で零距離『遠当て』による発剄。強力な攻撃だが、フラフープを使い華麗にいなすアスカ。
「フラフープは攻防一体の武器だからね☆ やらせてあげないよ?」
「やるじゃないか!」
 どちらも決定打は与えきれない。それは美羽とエリスも同様だった。
「ヒーローのくせに、やるじゃない!」
「そっちこそ、怪人魔法少女の割には強いよ!」
「お褒めに預かり光栄だわ。だから、これはあたしからのせめてものお礼よ!」
 エリスがステッキを構えて、魔法としてレーザーを射出する。その大きさ・速さから見るに大ダメージは必死。
 だがしかし、美羽は避けない。どころか魔法ステッキ(ミスリルバット)を構える。
「どんな剛速球だろうと、魔法少女ならば、打てないものなどあんまりないっ!」
 ど真ん中の超級ストレート、自分にデッドボールになる前にその球筋を見切った美羽がフルスイング。
 すると、あろうことかレーザーである魔法が空へと大きく打ち返される。綺麗な残像を見せながら空の彼方へと消えていった。
「これが、魔法少女よ!」
 特大ホームランを打った美羽がそう言い切る。
「そんな魔法少女がいるわけないでしょ!」
「いやいや、そんなセクシーすぎる漆黒レオタード着た魔法少女もいないと思うけど」
「そっちだってありえないくらい超ミニスカじゃない。見せたいの?」
「魔法の力で見えないようになってるんだよ?」
「そんなことに魔法を使うなんて、もったいない! これだからヒーローは!」
 ありえない返しで見事にレーザーを打ち返されてしまったエリスが悔しそうにしている。
「二人とも! そっちはどう?」
「意外としぶといですね〜、私が歌ったり投げキッスをしても混乱もしないから大変だよー!」
「こうも動きが速いと、吊り上げることもできません」
「そんな絵面、この我がいる限りはさせんさ!」
 こちらもまたお互いがお互いにベストを尽くしており、なかなか決着がつかない。これに業を煮やしたエリスが叫ぶ。
「こうなれば、奥の手を使うわ! 恐れ戦き、その戦力差に絶望しなさい!」
 そう言うと後ろに下がるエリスと二人。
「待ちなさいっ!」
 美羽がその後を追おうとする、がそれは止められる。
「お前はっ!?」
 巽が叫ぶ。巽、美羽の前に立ちはだかる強大な存在。