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決戦! 秘密結社オリュンポスVSヒーロー戦隊

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決戦! 秘密結社オリュンポスVSヒーロー戦隊
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リアクション

「……」
 マグナ・ジ・アース(まぐな・じあーす)。正義と大地の戦士であるマグナが敵として現れたのだ。ヒーローの間に動揺が広がっていく。
「どうしてお前がそちら側にっ!」
「……言葉は不要だ。今は戦いに集中するがいい! 行くぞ!」
 始動キーを使い100%の力を引き出せるようになったマグナ。そのまま追加装備を施した強化モードパワード・マグナに移行。バッチの力を使い、マグナもイコン化することに成功。
 その力を持ってヒーローたちに攻撃を仕掛ける。
「はああああ!」
 大地を両断させるかとさえ思える、【氷獣双角刀】を持って広範囲攻撃をするマグナ。空気が悲鳴を上げて、大地は抉れる。
 なんとかマグナの攻撃をかわす巽と美羽だが、正義側であるマグナが敵として現れたこと、またこのまま戦いあうことに疑問を抱く。
「操られているのかな?」
「わからない。だがこのまま防戦一方というわけにもいかないっ。やるしかない!」
「そうだねっ! 一度やっつけてみたら何とかなるよね!」
 一度は迷ったものの、直ぐに戦う決意をした巽と美羽。それを見たマグナが、信じられないことを言う。
「本気で来るのならば、こちらも全力を出そう!」
 マグナがそう叫ぶとその後方から、更にマグナが現れる。
 オリジナルのマグナ、そこから更にマグナに似たロボットが二体。これはマグナのデータを元にミラクルバッチを用意して量産した複製機、コピーマグナ。
 恐るべきはマグナ自身のスペックをほぼ完璧に再現しており、オリジナルのマグナと差異はあまりないということだ。
「くっ、劣勢か!」
「そこへ、ダークアリッサちゃんも登場! 暴れちゃうかんね!」
 マグナとコピーマグナに混じりアリッサ・ブランド(ありっさ・ぶらんど)がいた。
「君っ! そこは危ないからこちらへ来るんだ!」
「うるさーい! 最近アリッサちゃんの影が薄いのも、おねーさまが構ってくれないのも、全部ベルクちゃんとポチちゃんのせいなんだもん!
 だから、アリッサちゃんは家出してハデスちゃんの所で悪い子になったんだもん!」
 ものすごい理由で怪人側に加担しているアリッサだが、現在の状況を考えるのであれば十分に凶悪な戦力だ。
「あ、アリッサちゃん。こんなところで遊んでいらしたんですね」
「お、おねーさま!? どうしてこんなところに!」
 おねーさまと呼ばれたのはフレンディス・ティラ(ふれんでぃす・てぃら)。一人ゆっくりと戦場を歩いてきたフレンディスが、ここに来た理由を話す。
「アリッサちゃんがハデスさんの所へ遊びに行ったまま戻ってこないので、ハデスさんたちに遊んで頂いてお世話になっておりましたから、お世話になっているお礼も兼ねてお迎えにきました」
「む、迎えに……! ふ、ふんだ……今はダークアリッサだから帰れない……けどおねーさまが迎えに来てくれたなら帰っても」
「行くぞヒーロー! マグナ・ジ・アース、推して参る!」
「わわっ! ちょっと、あそこにはおねーさまが!」
 アリッサの静止も聞かずにマグナが再度ヒーローに襲い掛かる。
「あら?」
「危ないっ!」
「今助けるぞっ!」
 巽と美羽がマグナの攻撃からフレンディスを守る。巽は何とか喰い止めるが、美羽のところにはコピーマグナが二体。
「このっ!」
 一体目の攻撃は防いだものの、二体目の攻撃が迫り来る。美羽の攻撃が間に合わない。
 万事休すか。
「―――――そうは、させない!」
 そういって高いところから現れたのは、純白のタキシードに白い仮面、ショートマントに輝く黄金の巻き毛、フリルたっぷりのシャツ、華麗でゴージャスヒーロー。
 コピーマグナの攻撃を防ぎ、そのまま反撃をしてコピーマグナを後ずらせる。
 と、ほぼ同時にどこから音楽が流れてくる。それに合わせて、口上を述べる謎の人物。
「―――音も無い冷たい宇宙の片隅に、愛の唄を歌う星がある。その歌声を汚す者をこのエクシード仮面は許さない。世界征服などと、夢をみるのは眠っている時だけにし給え」
 エクシード仮面と名乗った者の正体。それはララ・サーズデイ(らら・さーずでい)だ。ララの後ろでは薔薇の花弁が舞っている。
「大丈夫だったかい?」
「だ、大丈夫。ありがとう!」
「御礼には及ばないよ。さあ、共にこの者たちを打ち倒し、ドクター・ハデスの野望を打ち砕こう!」
「う、うんっ」
 いきなり登場してこのノリを貫き通すララに少し圧倒される美羽。その姿を見かねて後ろからララのパートナーであるリリ・スノーウォーカー(りり・すのーうぉーかー)が出てくる。
「こら、あまりその子を驚かすでない。困惑しているではないか」
「おっと、いきなり驚かせて悪かったね。私の名前はエクシード仮面。君を助けに来ただけさ」
「まったく、よく言う。お前が格好を付けている間に、音楽を流したのもリリ。やたら長い口上の時、後ろで薔薇を撒いていたのもリリ。
 おまけに出番がくるまでの待機時間には「衣装に皺がついては美少女に失礼だからね」と言って、ずっと隣で立たれて、ゆっくり休むこともできなかったのもリリ。
 さて、どう思うかね?」
「素晴らしい後方支援だったよ」
「これだけやって、言葉だけとはな。スイーツの一つや二つ、出てもおかしくないと思うのだがね」
 そう愚痴をもらすリリ。そんなリリはさておいて、剣を構えるララ。
「さあ、私が道を切り開く。その隙に君はあのオリジナルを狙うんだ。大丈夫、君には指一本触れさせはしないさ」
「ならば、もう片方は我に任せろ! その隙に本体を頼むっ!」
「りょーかい!」
 そう言ってマグナたちに向かう三人。
「来い、ヒーロー!」
 迎え撃つマグナとコピーマグナ。
 先行して走っていた美羽にコピーマグナの攻撃が向かう。しかし、そうはさせまいとララと巽がコピーマグナを押しのける。
「言っただろ? あの子には指一本触れさせはしないと!」
 『シーリングランス』で攻撃をした後、『アルティマ・トゥーレ』でコピーマグナの足元を凍らせ、行動不能にさせるララ。
「こちらも負けていられないな! はああああ!」
 『轟雷閃』、『龍飛翔突』を併用し高く舞い上がった後、巽は足に電撃を纏わせて急降下。
「ソゥクゥ! イ・ナ・ヅ・マッ! キィィィックッ!!」
 落雷のように鋭く強力な蹴りがコピーマグナに直撃。そのまま大きな音を立ててコピーマグナは倒れる。
 二体のコピーマグナが行動不能になる中、美羽がオリジナルであるマグナの眼前にまで来ていた。
「たった一人でどうにかできるのか!」
 マグナは一歩も引かず迎え撃つ態勢だ。
「今だ美羽! 必殺技を使うんだ!」
 ララが美羽に『SPリチャージ』を使う。それを受けた美羽が飛び、マグナの胸の辺りまで飛び上がり、止まる。
「この技、本当はドクター・ハデスに使いたかったけど、ここで使っちゃうよー!」
 魔法のステッキ(ミスリルバット)を構える。そのステッキに『雷術』を使って、電撃を纏わせる。
「これが魔法少女マジカル美羽の最終奥義! ……雷撃バット乱れ撃ち!」
 電撃を纏ったミスリルバット(魔法のステッキ)を使い滅多打ちにする凶悪な必殺技。その威力たるや、マグナの強化装甲をべこべこにするほどだ。
「ぐっ!? これが、ヒーローの力!?」
「違う、これが魔法の力だよっ!」
 美羽は攻撃の手を緩めずにひたすら攻撃を続ける。シンプルだが、確実に相手を仕留める技にさすがのマグナも膝を折る。
「やりおる……だがまだだ、まだ終わらん!」
「きゃっ!」
 最後の力を振り絞り『鬼神力』を発動するマグナ。このまま押し切ろうと思っていた美羽だったが失敗に終わる。そのまま地面へと落ちていく。
「「危ないっ」」
 ララと巽が叫ぶが、二人の位置からでは間に合わない。
「だからここにはリリがいる。まあ、出番がないのが一番だっだがな」
 美羽の落下地点には先回りしていたリリがいた。こうなるかもしれないということを予期しており、予めその近くで潜んでいて待機していたのだ。
「よっと」
「きゃっ。あ、ありがとうございました」
「なに、リリがやらなければあちらのエクシード仮面がやっただろう。少しだけその手伝いをしただけさ」
 そう言いながら美羽を下ろす。
「さて、まだやるのか? いくら自身を強化したからといって、戦える状態ではあるまい?」
 マグナに問いかけるリリだが、マグナは引こうとはしない。
「愚問だな。例えこの身が砕けようとも戦おう」
「それでは埒が明かないな。だから、封じさせてもらったぞ」
「何……! これはっ!?」
「いやはや、いいバット捌きだった。あの攻撃があり装甲がボロボロにならなければ、できなかったであろうな」
「……糸?」
 美羽が言う様に、マグナの体には無数の糸が巻き付いていた。その糸がマグナの自由を完全に奪っていたのだ。
「糸如き、どうして断ち切れぬ!」
「魔力をたっぷり込めておいた。それにボロボロになった装甲、いろいろと引っ掛けやすかったのでな。大サービスで増量しといたのだよ」
「く、くそっ!? このような形で、負けるとは……!」
 いくら『鬼神力』を使っていようと、美羽の攻撃により本来の力の半分も出せないマグナではその糸では断ち切れなかったのだ。
「わあ! すごい! コンビプレーってやつだね!」
「であるな。しかし、本当に見えぬものなのだな」
「すごいでしょ?」
「まったく、いいところを持って言ってくれるじゃないか、リリ」
「ヒーローの力を結集すれば敗れぬものなどない! ってことだな!」
 マグナたちを倒して四人。その四人の前に再びエリスたち現れる。
「まさかあいつらに勝つなんてね、でも疲れているでしょう? それだけでもこちらの有利は変わらない! 観念することね」
「ダークアリッサちゃんもまだいるからねっ!」
 疲弊している四人と、健在の四人。ヒーロー側が不利な状況でバトルが開始される。
「ほらほら、動きが鈍いわよっ!」
「くぅー! 卑怯だよー!」
「勝負に待ったはなし! これで終わりよ!」
 エリスの容赦ない特大レーザー攻撃が四人に迫り来る。その後ろにいたフレンディスが、
「あっ、マスター」
 と呟いた瞬間、レーザーと相対するように『クライオクラズム』がぶつかる。しばらく鍔迫り合いのようになったが、程なくした二つとも消滅する。
「今の攻撃、新手っ!?」
 これまで見たことの無い攻撃にヒーローが増えたと悟ったエリスが身構える。
 そして現れるのは、吸血鬼の暴君。