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リアクション
「4回戦、イルミンスールかるた会 エリザベート・ワルプルギさん対執事カルタ会 パラミタ支部椎名 真(しいな・まこと)さん。前に出て下さい」
威圧で札から発しられる禍々しいオーラで飲まれないようにし、博識で次に読まれるであろう文字を連想していく真。
「(狂気といえどカルタはかるた。クトゥルー仕様になっていても、読み札取り札は俺の知る百人一首をもじったもののはずだ。それならまず覚えてる百人一首を思い返し、読み札の一文字目を連想して)」
「ふ〜ん……なかなかの威圧ですぅ」
「(しかし……取り札の文字見てるだけでSAN値がガリガリ減ってる気がするのは気のせいだろうか…
…)」
やや始まる前からげんなりしている真と、この雰囲気そのものを楽しんでいるエリザベート。
「……ももし」
―――スパン!
さすがかるた会の主催者エリザベート。寸のところで真より先に札を弾き飛ばす。
「ももと来れば下の句はこれしかないですぅ」
「なおあまりある むかしなりけり。……ほと」
―――パシンッ
床間際に置いていた手をナラカの闘技の手刀を応用し床面スレスレを素早く移動させると、トラッパーで左手でフェイントをかけた後、右手で札もろとも相手の手をも弾き飛ばす勢いで札を弾いた。
「やるじゃないですかぁ」
「おじいちゃんに叩きこまれた技術、舐めてもらっては困る」
「ただありあけの つきぞのこれる。……」
エリザベートが終始有利な展開となっていくが、真もエリザベートに喰らいついて行く。
そして発狂判定へ。
「私は5ですぅ」
「次は俺か。どれ……8。なん、だと」
―――グルル
出目に驚愕していると、目の前に犬に似た顔とゴムのような質感の皮膚をもつ生物が現れる。
「う、うわぁぁぁぁあああああアアア!!」
悲鳴と共に真は手足をぼりぼりと食われていく様を見るのだった。
手をだらりと垂らしたまま悲鳴はやむことなく上げられる。
救護班が来て退場するまでの間、真の悲鳴が会場を包み込んだ。
「ふふ……私の勝ちですぅ」
「真さんはこれ以上の続行が不可能な為、一回戦敗退とします。勝者のエリザベートさんは第二試合進出です」
エリザベートは悠々と壇上から降りて行った。
「5回戦、海京かるた会 キスクール・ドット・エクゼ(きすくーる・どっとえくぜ)さん対イルミンスールかるた会 騎沙良 詩穂(きさら・しほ)さん。前に出て下さい」
出てきた詩穂はゴッドスピードに超感覚、千眼睨みとホークアイで万全の態勢である。
「(高速性と正確性を両立させたし、死角なしの優良視力も得た。でも……何この短歌? 風流台無しだよ!」」
博識で覚えていた句の違いにそういった感情を感じずにはいられなかった。
対するキスクールは安徳に教えてもらってきた詩を反復している。
「(安徳ちゃんに教えてもらったからカルタはバッチリ。詩の内容も半分くらいは覚えてるんだから……)」
周りには光術で出した光の玉がふよふよ浮き沈みしている。
記憶時間の末、かるた取りが始まる。
「海京カルタ会『閃光のエクゼ(自称)』参るの」
「む、負けないよ! てかあの光邪魔だなー全く」
「……むらさめ」
―――パシッ
超感覚で目ぼしい位置を見ていた詩穂は、ホークアイですぐさま札を見つけゴッドスピードで札を取りに行った。
「きりたちのぼる あきのゆーぐれ」
「詩穂の視覚に死角はないんだもんね」
「だったら潰すだけなの」
得意げに札を振っている詩穂にキスクールは暗い笑みを浮かべる。
「……あさぼらけ ありあけのつ」
すっと札を見つけた詩穂が手を伸ばす。
「(いま!)」
ふよふよ浮かばしていた光の玉を発光させるキスクール。
光で目を瞑っている詩穂の隙を狙って札を取る。
「ふふ〜ん。油断大敵なの」
「う〜目がチカチカする……」
詩穂のスピードとキスクールの目つぶしで取って取られての試合となった5回戦。
サイコロを振る二人。
「やばっ詩穂は『女の子の体のヒミツ』を借りまーす!」
詩穂は良雄から女の子の体のヒミツを借りて発狂を免れた。
「う、嘘……」
出目の8に信じられないといった表情を浮かべるキスクール。
その脳裏に札の狂気が入って来る。
「……ち、地球は大きな磁石…・・わ、私の本体ハ。本体、フロッピーは磁気ニ弱イ……つマり、地球ハ敵!!』」
地球の磁気+フロッピーディスクは磁石に弱い=地球は敵!な方程式に支配されたキスクール。
「何ということ!? 地球は私の敵だったの……あんなとこに住んでいたなんて私はどうかしていた……いや、そんなことではまだダメなの。地球を……ぶっ壊さないと」
天を睨みつける。
「くそぅ……地球め。澄ました青してクール気取りかなの」
今にも地球を破壊しようとするキスクールを救護班が正常に戻す為に救護室へ運んで行った。
「詩穂さん狂気を回避! キスクールさんは続行不可能の為、一回戦敗退となります」
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