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ガラクタ屋敷攻略大作戦!

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ガラクタ屋敷攻略大作戦!

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 セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)は部屋の一室で新堂を前に講義を行っていた。
「……過ぎたるは及ばざるが如しって言うことわざをご存じかしら?」
 彼女は呆れ顔で新堂に問いかける。
「たしかにアイテムがたくさんあれば、それだけ好きな機晶ロボットも作れるでしょうね。
でも機晶姫のパーツは危険物や有毒物質もあるんだろうから、そのあたりの管理はどうなってるの?」
「ちゃんと別枠に分けて保管してるので大丈夫です。イナコにもそこは触らせないように言いつけてるので……」
「……この散らかりようじゃ、あまり当てにならないわね」
 セレンは家中にうず高く積まれたガラクタを一瞥すると「はぁ」とため息をついた。
「ちゃんと日々整頓しておかないとだめよ?あまりパートナーがいい加減だと私だって実家に帰りたくなるんだから」
(……お前が言うな)
 廊下でガラクタの整理をしながらパートナーの話を聞いていたセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)は心の中で突っ込んだ。
 セレンの性格ははっきり言って「いい加減・大雑把・気分屋」の三拍子揃っている。日々の整頓だっていつもセレアナの役目であった。
 正直新堂をお説教をしているセレンに「どの口がそんなことを言っているのよ」と言ってやりたい気分ではある。
 だが、やめておいた。
(『一応』、言ってることはもっともだしねぇ)
 そう考えて危険物となる有害なガラクタを『氷術』で凍らせ、無力化する。
 と、
「ん?」
 唐突に別の一室から激しい衝撃音とガラクタが落下する音が響いてきた。
 そして、
「ここから消えてなくなれー!!」
「おいやめろ!ここは戦場じゃないんだぞ!」
「落ち着いてくださいルーシッド嬢!」
 なにやら物騒な会話が聞こえてくる。
「ねぇ、どうかし……」
 様子を見るために部屋のドアを開けた瞬間、セレアナは凍りついた。
 ルーシッドのパイルバンカーに追われるように逃げ出ていたGが彼女の通り抜けていったからだ。
 びくっと肩を震わせると無言で『銃型HC弐式』を取り出し、
「……死んで!」
 銃声がヒラニプラの住宅街に響き渡る。
 それも1度や2度ではなく、何十発という超連射。
「ちょ、ちょっとセレアナ!何やってんのよ!」
 ガラクタが崩壊する音と銃声に飛び出してきたセレンが慌てて彼女の元にやってくるが、
「見て分からない?殲滅戦よ!」
 冷静な表情のままセレアナは相も変わらず引き金を引き続けた。
 いや、冷静なのは表情だけで思考・行動は完全にパニックに陥っているようであった。
「あー、そういえばGは苦手なんだったっけ……とにかくっ!いいから落ち着きなさいよセレアナ!」
「セレン離して!Gは1匹見たら30匹はいるって言われてるのよ!?」
 そうして見境無く暴れ狂うセレアナとルーシッド。
 そしてもうひとりGの出現に慌てる人物がいた。
 ホリイ・パワーズ(ほりい・ぱわーず)である。
「イヤーーーーーー!!Gは、Gは嫌ですーーーー!!!!」
 銀色の装甲をガチャガチャと慣らして家の中を走り回るホリイ。
 その後ろをルーシッドのパイルバンカーやセレアナの銃撃から逃れたGが追いかけてきていた。
「な、なんでコッチに来るんですかーーーー!!」
 そんな彼女に向かって、
「気合が足りないなぁ、ホリイ!」
 夜刀神 甚五郎(やとがみ・じんごろう)は仁王立ちで立ちはだかると、吼えるように「気合が足りん!」と声を張りあげた。
「気合でなんとかなったら苦労しませんよーーーーーー!!」
「仕方ないなぁ!」
 そう言うと甚五郎は懐から殺虫剤を取り出した。
「Gぐらいでうろたえてなんとする!ほれ、そこを退け!」
「キャーーーー!!」
 ホリイが横に飛ぶと同時に、甚五郎は殺虫剤の引き金を引いた。
 ブシューーー、という音と共に白い煙がGに襲い掛かる。
 途端にGの動きが鈍くなり始め、数分と経たない内に腹部を見せるように裏返るのであった。
「ほれ、これでもう大丈夫だ」
「ほ、本当に?本当に!?ありがとー!甚五郎さん!」
「……やれやれ」
 そんな様子を見て阿部 勇(あべ・いさむ)は「やっと落ち着いたか」という様子で一息ついた。
「Gもそうですが、よくこんな環境で機械工作なんてできますね……一体どこで図面を引いたり組み立てをしているんでしょうか」
 呆れ口調で手近なガラクタをひとつ手にとる。
 まるで鑑定士のようにそれをじっくりと眺め見ると、
「この部品……修復すらできませんね」
 そう言ってガラクタを不用品入れへと投げ入れるのだった
「何に使う気だったのかはわかりませんが、処分です。あの人には鉄くずと部品の区別を付けさせないといけないですね……」
 そうして次々とガラクタを片付ける勇とは別に、スワファル・ラーメ(すわふぁる・らーめ)は感心した様子で家の内部を見続けていた。
「これがゴミ屋敷と呼ばれる文化か……凄まじいな」
 スワファルはギフトとして甚五郎とパートナー契約を結び、彼の生活環境を学んできた。
 そんなスワファルがこうして「ゴミ屋敷」なるものを知った時彼はそこに住まう生命体に、そしてその環境に適応した種族に非常に強い興味を持ったのであった。
「すまない、この屋敷の主たる生命体は何処に居るのだろうか?大変興味があるのでお教え願いたいのだが……?あなたがそうなのか?別段変わったところがあるようには見えんが……?」
 そう佐那具と依那子に行った時の2人のきょとん、とした表情をスワファルを思いだす。
「我が主の家とは明らかに生活環境が違う故、新種族かと期待してしまったが……普通のパラミタ種族であったな。……不思議なものだ」