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リアクション
第三章 洞窟の入り口にて
洞窟の入り口近くにあたる入り江に、複数の影があった。
「追いつめたぜ」
そう言って、空賊の一人がセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)に詰め寄る。
残る空賊は四人。セレンたちの設置したトラップを解除し、空賊たちは追い詰めてきたのだった。
セレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)は、セレンの背を守るように立ち、空賊たちを見据える。
「洞窟の中は任せるしかないわね。今は食い止めるのを最優先に考えましょう」
セレアナの声にセレンは頷き、両手の銃で空賊の攻撃を弾く。
「真冬にご苦労なこった。嬢ちゃん、そんな格好じゃ寒いし危ないぜ?」
セレンに斬りつける空賊が、鼻で笑った。ビキニの上にロングコートを羽織っただけの姿のセレンを、警戒に値しないと踏んだのだろう。
その一瞬の油断を、セレンは見逃さなかった。
「せっかく海に着たんだから、泳ぎましょ!」
そう言うなり、セレンはロングコートを脱ぎ捨てた。
「な……!?」
空賊たちの間にざわめきが起きる。その隙にセレンは空賊の懐に飛び込み、銃で殴りつける。
セレンは先ほどまで空賊を油断させるため、あえて行動を予測して空賊の攻撃を弾くのが精一杯であるかのように振る舞っていたのだ。
「泳ぐのは、あたしじゃないけどね!」
銃撃によって吹き飛ばされた空賊が、内海に沈んだ。
その断末魔を聞きながら、セレアナも動揺する残り二人の空賊たちに切り掛かっていく。
その切っ先は次々と空賊たちを捉え、セレンたちを取り巻いていた空賊は、瞬く間に海の藻屑と消えた。
「こちらも、あまりぐずぐずしてはいられませんね」
御凪 真人(みなぎ・まこと)はセルファ・オルドリン(せるふぁ・おるどりん)に声をかける。
岸壁の上を守っていた二人の元にも、新たに現れた飛空挺から降りてくる空賊たちが次々とやってきていた。
「来るわよ!」
セルファの声と共に、空賊の一人が真人の元へと一直線に駆け……とある一点を踏んだ瞬間、地から放たれた魔力に貫かれた。
次々と見えない罠にかかった空賊たちが悲鳴を上げる。空賊たちは、一気に混乱の渦へと陥れられた。
「いきますよ!」
「はい!」
空賊の陣形が崩れたところに、魔剣ディルヴィングを構えたセルファが突っ込んでいった。
駆けながら加速し、流れるように空賊たちを叩き斬る。
「う、撃て!」
空賊たちはトミーガンでセルファを狙う。セルファは頃合いを見計らい、さっと加速してその場を離れた。
セルファの行方を目で追う間もなく、真人の放った雷が空賊たちに降り注ぐ。
生き残った空賊たちには、セルファの放った乱撃ソニックブレードがとどめをさした。
「上からも来てるわ!」
二人の頭上を旋回する小型飛空艇から、空賊がボウガンで二人を狙う。
すかさずセルファが巻き起こした乱気流が、飛空艇のバランスを崩させる。
落ちてくる飛空艇に真人の放った雷が直撃し、飛空艇から投げ出された空賊は崖を超え、海へと落ちて行った。
「ひとまずは、こんなものでしょうか」
真人は周囲を警戒しながらも、一旦杖を下ろしたのだった。
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