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【第四話】海と火砲と機動兵器

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【第四話】海と火砲と機動兵器

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 同時刻 海京沖合 海上

 漆黒の四機が撤退した直後、残っていた“ヴルカーン”とガネットが一斉に攻撃を止めた。
 だが、それも束の間、突如としてガネットは最大速度で海京へと走り始めたのだ。
 迅竜のブリッジからそれを見ていたルカルカは驚きながらも冷静に指示を出す。
『まさか、自爆する気……各機、すぐに“ヴルカーン”を撃墜して!』
 指示を出すルカルカにブリッジの砲撃担当であるカルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)が問いかける。
『いっそ主砲を使うか?』
 それに対し、ルカルカはしばし熟考する。
『いえ……止めておきましょう。主砲は強力すぎるし、標的のすぐ近くには海京があるわ。もし、余波で被害が出たら大変だもの。それよりも、主砲に使う電力を甲板の盾竜に回して。マイルブレイカー・モードからの精密射撃で撃墜するのよ!』
『あいよ、了解だ!』
 電力の供給先を主砲から甲板の盾竜に変えるカルキノス。
 だが、撃発に十分なだけの充電が完了するまでいくらか時間を要するようだ。
 それを見たルース・マキャフリー(るーす・まきゃふりー)は即座にルカルカに提案する。
『艦長、なんだったら操舵に必要な機関の稼働をセーブして、そっちのエネルギーも盾竜に回しますかい? 幸い、もう敵はあの、海京に突っ込もうとしてる“ヴルカーン”どもだけだ。迅竜が逃げ回らなきゃならない事態は来ないと思いますがね』
 ルースの提案にルカルカは即座に頷く。
『ほい来た! それじゃ機関微速、そんでもって、電力供給最大っと』
 素早くコンソールを叩き、機関部からのエネルギーも送り込むルース。
 それによって、充電状況を示すバーグラフの上昇速度が増していく。
 みるみるうちに埋まるバーグラフ。
 直後、満タンとともに衝撃が艦を揺らす。
 盾竜がマイルブレイカー・モードで発砲したと理解した時には既に、“ヴルカーン”の一機が撃墜されている。
 それに続き、友軍機たちも攻撃を集中し、残る“ヴルカーン”を撃墜していく。
 だが、撃墜しきれなかった一機が海京へと迫り、激突するまさにその瞬間――。
 突如として海京の方から砲撃があり、“ヴルカーン”が撃墜される。
 ルカルカたちが驚く中、通信帯域に誰かの呟きが流れる。
『今度は天御柱を襲撃か、節操のねぇ連中だ。壊れたヴィクセンの修理を笠置に頼もうと思って来てみたが、タイミングが悪かったな』
 オペレーターとして乗艦している水無月 睡蓮(みなづき・すいれん)が即座にその相手へと通信を繋ぐ。
 通信が繋がると、睡蓮は即座にそれをルカルカに回す。
『こちらは迅竜艦長、ルカルカ・ルーです。貴方は一体?』
『ん? 迅竜ってことは、この前、葦原で世話になった戦艦の艦長さんか。俺だよ、俺。先日、葦原で戦ってた柊 恭也(ひいらぎ・きょうや)だ』