First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last
リアクション
「さて、今一度状況を整理してみるとしますか」
遠部 明志(えんぶ・ひろし)(3/3)が【煙草的なモノ】を燻らせると、柊 恭也(ひいらぎ・きょうや)(2/2)とセリス・ファーランド(せりす・ふぁーらんど)(3/3)が頷く。
「現状を打破するのは中々難しい、というのは確かだ。こっちは丸腰、相手は銃持ち。隠れて進もうにも遮蔽物が無いと来た。対抗する策がない。接近戦なら何とかなるかもしれねぇけどな」
「けど中に入らないと任務を遂行できないときた。そもそもその任務ってのも胡散臭いんですけどねぇ」
恭也が明志が言うと、セリスが困ったように額に皺を寄せる。
「しかし近寄るにしても、出来る手段と言ったら堂々と正面から近寄るくらいしか無いって言うのがなぁ……装備があれば別だが、丸腰で正面突破とか強引にやっても二の舞にしかならないし。残機はあるけど、慎重に使っていきたいしなぁ……」
そう言うと、セリスが唸り、考え込む仕草を見せた。
「まあ、他にも気になる事はあるけど……あの、ちょっといいですかねセリスさん?」
明志が、少し躊躇いつつ口を開く。
「ん、なんだ?」
「慎重に行動したいっていうのは同意なんだけど、あれはセリスさん的にはどうなん?」
そう言って明志が指さす。
「な゛っ゛!?」
セリスが固まる。明志の先に居たのは、
「この世の支配者たる我の進む先に道ができるのだぁーッ! 支配者たる我を止める事など誰ができる、いや出来るわけがない! 止められる物なら止めてみるがいいわぁーッ! フゥーハハハーハァー!」
「ボクらと彼らに必要なのは愛! そう、【話し愛】だよ! ボクらと彼らで【話し愛】をすれば彼らにもわかってもらえる! ボクらと彼らの友情はここから始まる! アウッ!」
声高に笑いながら馬鹿正直に真っ直ぐに突っ込むマネキ・ング(まねき・んぐ)(3/3)と、足を滑らし首をカクカク動かす宇宙の正式歩法であるムーンウォークで背後から突っ込むマイキー・ウォーリー(まいきー・うぉーりー)(3/3)であった。
「え、ちょ……あいつら何してるんだぁぁぁぁぁぁぁッ!? 考えなしにも程があるだろうがぁぁぁぁぁぁッ!」
慌ててセリスが二人の後を追う。
こうして完成したのは、声高に笑いながら突っ込む正体不明の人サイズ招き猫っぽいのと、宇宙の正式歩法ムーンウォークで後ろから近寄ってくるのと、追いかけてくる女性みたいな男性というジェットストリームアタック。
「もう本当なんなんだよこいつらはぁぁぁぁぁ!?」
当然ながらフルオートで一掃される。突っ込んでくればそうなるのは当然であるが、1つだけ言っておく。
彼らは、間違いなくこの瞬間輝いていた。それだけは確かな事実である。次の彼らにも期待しよう。
「強行突破は無理だな、あれ見ると」
「ですよねー」
恭也と明志が、たった今散った者達を見て呟く。
「まあ、策は無いわけじゃないんだけどな」
そう言って恭也がちらりと視線を向ける。その視線を明志が追うと、ニヤリと笑みを浮かべた。
「奇遇っすね。俺も同じ事考えてたんすよ」
二人の視線の先には、小暮(3/4)が居た。
「「ちょっと待った」」
そんな二人の様子を見ていたのか、斎賀 昌毅(さいが・まさき)(3/3)と九条(2/2)が割り込んでくる。そんな2人に「なんだ」と恭也と明志が訝しげな表情になる。
「いやいや、ちょーっと話を聞かせてもらったんだけど、多分全く同じ事考えてると思って」
九条が悪魔の様な笑みを浮かべると、恭也と明志は警戒を解き笑みを浮かべる。
「俺の方も同じなんだが、多い方がいいだろ?」
そして昌毅もニヤリと同じ種類の笑みを浮かべ、九条と一緒に視線を移す。
九条の視線の先には矢鱈とビクビクしているシン(2/2)が、昌毅の方は同じ笑みを浮かべた阿頼耶 那由他(あらや・なゆた)(3/3)と、首を傾げるカスケード・チェルノボグ(かすけーど・ちぇるのぼぐ)がいた。
「……向こうで何話してるんだろうね?」
そんな恭也達を、レナリィ・クエーサー(れなりぃ・くえーさー)(2/2)が眺めていた。
「レナリィ、確かあなた……」
彼らの話を聞いていたのか、何やら思案していた佐々布 牡丹(さそう・ぼたん)(2/2)がレナリィに耳打ちする。
「ん、確かに持ってるよ。言う通りにすればいいんだね?」
「頼みましたよ。この隙を突けばそのままうまく潜入できるかもしれません」
「了解了解」
牡丹に頷くと、レナリィはそっと自分の配置に着いた。
「なあ、何故わしはこんな状況になってるか教えてもらえんかのぉ?」
引きつった表情で、カスケードが小暮に問う。
「じ、自分もわからないが……ただ一つ言えるのは、このままだと死ぬ確率が高いって事くらいだな……」
答えた小暮も引きつった笑みを浮かべていたが、目が死んでいた。
「もうダメだぁ……おしまいだぁ……」
その横ではシンがこの世の終わりのような絶望しきった表情で頭を抱えて蹲っていた。
――彼らは今、出入り口前に突っ立っていた。
何が起きたかと言うと、カスケードは昌毅と那由他に突き飛ばされ、小暮は恭也と明志に「協力してほしい」と言いくるめられ、シンは「泣き言言うくらいなら戦え。死ぬ前に治療はしてやる(※ただし即死はその限りではない)」と九条に強引に叩き出されたのであった。
「協力って言っても……これじゃ自分達はまるで肉盾じゃないか……ッ!」
小暮が吐き捨てる様に言う。まるで、じゃなくてその物なんだけど。
「な、なあ、あ奴らこっちに銃口向けてきてるんじゃが、わし頑丈なんじゃけどあれは流石にまずいと思うんじゃよ?」
兵士達に銃口を向けられ、カスケードが更に顔を引き攣らせる。流石にまずいと思う。
「勝てっこない……勝てるわけがないんだぁ……あのガチクズについて行ったのが間違いだったんだぁ……」
シンはというと女々しくずっとブツブツと呟いている。
兵士達は無情にも引き金に指をかける。その表情は「また変なのが来た」と少々うんざりとした物である。
指にかけた引き金を絞ろうとした、瞬間であった。
「そぉれッ!」
小暮達の後ろから、レナリィが兵士達に向けて【打ち上げ花火】を放った。
「うわっ!? 敵襲! 敵襲だ!」
当たりはしなかったが、突然の花火に兵士達が隊形を崩す。それこそが狙いだったようで、レナリィも笑みを浮かべる。
ほぼ同時に、近くの茂みから銃声のような破裂音が響く。そして、3名の兵士が倒れた。
「よし、今だ!」
「この時を待っていたぁッ!」
掛け声とほぼ同時に、恭也とセレンフィリティが残りの1名の兵士に突っ込んでいく。一瞬何が起きたのかわからないように呆けていた兵士は慌てて体勢を立て直し銃口を向けるがもう遅い。あっという間に2人がかりで制圧してしまった。
「よっしゃ、確保! あ、この武器あたし達で貰っていい?」
「おう、こっちはこれをもらっていくとするわ」
「あ、これ私がもらっていい?」
制圧するとセレンフィリティと恭也、そして美羽が兵士達に群がり装備、主に武器を剥いでいく。お互いあーだこーだと言い合いつつ、話が着いたのか其々アサルトライフルを所持していた。
「ふー、無事牡丹も中に入れたみたいだね」
レナリィが出入り口に目をやる。その先には牡丹達が扉を開けて中の様子を伺っていた。
「よし、僕も合りゅ……ぐ――ッ!?」
レナリィが足を向けようとした時、後頭部に痛みを感じ倒れる。
「……え? な、なんで……」
頭を押さえつつ振り返ると、
「反逆者はZapであります」
血の付いたこぶし大の石を持った葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)(2/2)が立っていた。
「な、なんで僕が反逆者……」
「それ」
吹雪が指さしたのは、レナリィが使った【打ち上げ花火】の残骸。
「あ」
流石にレナリィも気づいたようである。武装の使用は契約者の証拠として扱われることに。
「というわけでZapZapZap」
吹雪は表情を変えず、レナリィを石で滅多打ちにするとやがて動かなくなった。次の彼女はきっとうまくやるでしょう。
「いやーうまくいきましたね、恭也さん」
手に入れたアサルトライフルの残弾数を調べる恭也に、明志が近寄る。
「ああ、そうだな」
そう言うと、恭也はアサルトライフルを構える。明志に向けて。
「え?」
「ZapZapZap」
恭也はそう言って明志に向かって引き金を絞った。ライフルから放たれる弾丸が明志の身体を穿ち、やがて命を奪う。
「ちょ、あんた何やってんのよ!?」
「何でいきなり撃ったの!?」
恭也同様、兵士達を漁っていたセレンフィリティと美羽が驚き、詰め寄る。
「今俺が撃ったコイツは反逆者だった。だから俺は悪くない」
そう言って恭也が指さす。その先にあったのは【煙草的なモノ】である。
「……なら仕方ないわね」
「彼は反逆者だったんだよ」
それを見たセレンフィリティと美羽も、納得したように頷いた。
吸いたい欲求が我慢できなかったのだろうが、吸う場合時と場所を弁えよう。次の彼はうまくやるでしょう。
「……よっと」
そんなこんなが起きている後ろでは、昌毅が茂みから姿を現した。
「おお、戻ってきたようだな」
昌毅の姿を見て那由他が声をかける。
「どうやら無事制圧できたようだな」
「そうであるな。所で、なにやら破裂するような大きな音がしたようだが?」
「さあ? 小暮がでかい屁でもしたんじゃないか?」
昌毅の言葉に、那由他はそうかと一つ頷いた。
「ふーんふーんふふーん♪」
その時、何処からかラブ・リトル(らぶ・りとる)(2/2)が鼻歌交じりで現れた。
「ん? どうかしたのか?」
「え? いや、何でもないのよー? おほほほほー」
昌毅に声をかけられ、ラブが誤魔化す様に笑った直後、
「ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」
爆発するような音と共に、コア・ハーティオン(こあ・はーてぃおん)(2/2)の悲鳴が響いた。
「……今の音は?」
「さあ……何かあったんじゃない?」
ラブは先程とは打って変わって疲れた様な表情で言う。そして小さく「ちっ、あのポンコツ使えねー」と呟いた。
きっと裏では何かあったのだろう。だけど次のコアはきっとうまくやってくれるでしょう。
・残機変動リスト
ルース・マキャフリー(2/3)
藤林 エリス(2/3)
パールビート・ライノセラス(3/4)
セリス・ファーランド(2/3)
マネキ・ング(2/3)
マイキー・ウォーリー(2/3)
ミリー・朱沈(2/3)
フラット・クライベル(2/3)
コア・ハーティオン(1/2)
ドクター・ハデス(3/4)
ヘスティア・ウルカヌス(3/4)
夜刀神 甚五郎(4/5)
オリバー・ホフマン(4/5)
レナリィ・クエーサー(1/2)
遠部 明志(2/3)
First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last