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ルチアお嬢様と実りの山

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ルチアお嬢様と実りの山

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エピローグ



 ルチアーノファミリーが反省したからと言って一度木から離し、地面からもいだ食べ物が元に戻る道理はない。
そんなわけでルチアーノファミリーは採った食材を近隣住民に配り、シン・クーリッジ(しん・くーりっじ)が料理を住民たちと一緒に振る舞う。

「オレは自分たちが食えるだけの量でよかったんだけど……こうなったのも何かの縁だ! 存分に食べてくれ!」

 シンが声をかけると周囲にいた人たちは一斉に料理を手に取り口に運ぶ。
 栗ご飯に鮎の塩焼き、松茸のお吸い物にアップルパイとあらゆる料理が契約者たちの胃袋に入っていく。
「ンまぁぁ〜っい!!」

 ジェライザは料理を口に運びながら目を輝かせる。

「おいシン! もっと作ってくれ!」
「今あるのでとりあえず我慢しろよ! 料理ってのはそんな簡単にできないんだよ!」
「そういえば、ソーマを見なかったか? あれだけボコボコにしたから傷が心配でさ」
「ソーマならあっちに行ったよ。なんか、頭下げて回ってる」

 シンが指さすと、そこにはルカに近づくソーマの姿があった。

「ルカさん」
「ん?」

 ソーマに声をかけられ、ルカはアップルパイを咥えながら振り返ると、

「ありがとうございました」

 ソーマは九十度の深々としたお辞儀をしてみせた。

「あなたのおかげでお嬢様は少し成長することが出来ました。本当にありがとうございます」
「い、いいよ! そんなに頭下げないで! ルカはただみんなと一緒にご飯が食べたかっただけだし。……組織を束ねる人には参謀や理解者が必要だよ。これからも頑張って」
「ありがとうございます。それでは、これで。後、ダグさんにも謝罪とお礼をしないといけないので」

 ソーマは頭を上げると、ルチアがやってきた。

「ソーマ! 何をしているのじゃ、こっちに来て一緒に食べるのじゃ!」
「いや、私はまだお礼と謝罪が終わってないので……」
「そんなもの後にするのじゃ! 誰が美味しい食事の最中にお前の真面目なお礼を聞きたがる!」

 ルチアはソーマの手を引っ張ると、人混みを離れていく。

「お嬢様? こちらにお食事はないようですが?」
「食事にする前にお前たちに話しておきたいことがあるのじゃ」
「お前たち?」

 ソーマが頭に疑問符を浮かべていると、その疑問はすぐに解消した。
 ルチアが連れて行った先にはグレゴとギースが立っていたのだ。
 三人は横一列に自然と並ぶとルチアの話を聞く体勢に入る。
 ルチアは一度咳払いをして、話を始めた。

「今日のことで妾はもう普通の子供じゃないことを悟ったのじゃ。もう自分の部下を者のように扱うのはやめる。これからは立派なボスになりたい……のじゃが、どうすればいいか分からない。だから……その……三人の力を貸して欲しいのじゃ」

「お嬢様……!」

 ソーマは涙ぐみながら片膝をつくと、横の二人もそれに習った。すでに横の二人は涙腺が壊れたのかと言うほど涙を流しており言葉を発するのも難しそうだったので、ソーマが続けて言葉を発した。

「我々三人、お嬢様が立派な二代目となるその日まで粉骨砕身の覚悟でご助力致します!」

 片膝をついたまま頭を下げる。

「うむ。ならば食事を再開するのじゃ」
「食事の後、改めて皆さんにお礼と謝罪をしましょう」
「それが立派な二代目の……」
「第一歩ですな……」

 涙を拭いながら喋るギースとグレゴを見て、二人は笑みを浮かべながら人混みの中へと入っていく。
 ルチアが立派な二代目となるかまだ三人には分からなかったが、それでも今日のことを思い出せば立派な二代目になると確信していた。
 多くの人たちと接し、部下のために謝ることが出来た今日のルチアの姿を思い出すと、自然とそう思えるのだった。


──了──


担当マスターより

▼担当マスター

西里田篤史

▼マスターコメント

 どうも、西里田篤史です。
 今回は本シナリオへご参加いただきありがとうございます。
 バカなシナリオを書くと言っておいて今回のような真面目なシナリオを書いてもリアクションが面白ければ充分笑える内容になるなぁ、と改めて思いました。
 個人的にリアクションでボケというか変なリアクションを見ると少し元気になります。その元気を貰ってシナリオを書いてたりするので本当にありがたい話ですね。

 相変わらず次回のシナリオ案は全く無いままですが、またどこかのシナリオでお会いできるの楽しみにしております。
 今回のシナリオにご参加いただいた方、本当にありがとうございました。
 それでは、失礼致します。