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ドグマ教の襲撃

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ドグマ教の襲撃

リアクション

「ええぃしつこいですぅ!これならどうですぅ!」
エリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)は魔力を溜めた手のひらを前へ向ける、光線が真っ直ぐ走りゴワンへぶつかった。
フラッシュとともに煙が広がる。エリザベートは肩で息をしながら目をこらす。
煙の中からゴワンの上半身が姿を現した。鍛え上げられたドラゴニュートの体は鉱物のようにゴツゴツとしていた。
「ふん。もはや防御の必要もないな。すっかりバテてんじゃねえかてめぇ。
校長の力はとんでもねえと聞いていたが所詮は噂だ。てんで当てにならねえ」
やはり攻撃は通じない。
イルミンスールの木の枝の上で戦いが繰り広げられていた。
足場は幾本もの枝が絡み合っていてとても広い場所だ。
「……むむむ。ちょっとピンチかもですぅ。正直ここまで苦戦するとは思わなかったですぅ」
大きな体が近づいてくる。
と、そのとき。ゴワンは飛んできた人影を手に持っていたスコップでガードした。
人影はくるりと回り黒い髪をなびかせてエリザベートの隣に着地した。
「人探しにしちゃ、乱暴すぎるやり口だな!」
現れたのは風森 巽(かぜもり・たつみ)だった。ゴワンと対峙した巽は握り締めた拳を向ける。
「大丈夫ですか大ババ様!」
彼だけではない。ザカコ・グーメル(ざかこ・ぐーめる)も駆けつけてきた。
「イルミンスールでこれだけ好き勝手に暴れておいて、タダで帰す訳にはいきませんね」
「ヘッ、異端者には鉄槌を下せ。それがドグマ教の教えよ。歯向かうってんなら容赦しねえぜ!」
「罪もない人を傷つけるのは許しません。もう二度とイルミンスールを襲う気になれなくしてあげましょう……!」
「ドグマ教?……それを聞いちゃ益々見逃せんな!変っ身っ!」

巽は変身のポーズを決めるとツァンダーソークー1へと変身した。
「蒼い空からやってきて!静かな図書館護る者!仮面ツァンダー!ソゥッ!クゥッ!ワンッ!!
悪党め!イルミンスールの平和を乱す奴は我が許さん!正義の名の下に成敗してやる!」

ちょーっと待つですぅ!

2人の心にエリザベートの声が響く。魔法で2人の心に直接話しかけているのだ。

みんなで力を合わせて戦うですぅ。相手はとーっても頑丈ですぅ。ちょっとやそっとの攻撃じゃ効かないですぅ。
私に作戦があるですぅ。

「作戦ですか?……危ない!」
ゴワンが頭から突っ込んできた。3人は跳躍して回避する。
「……確かに。下手に攻撃しても無駄に体力を消費するだけです」
「よし作戦どおり行くぞぉ!ホオォォクーク!アイッ!」
巽はスキル『ホークアイ』を発動させた。
鷹の視力をえた巽。素早い攻撃も輪郭がはっきり分かるぐらい見えるようになった。攻撃を回避していく、攻撃は空を切っていく。
「力自慢も結構だが、当たらなければ宝の持ち腐れだな!」
「えーい、ちょこまかとこざかしい――ん!」
ゴワンが気づいたときには遅かった。
真っ直ぐ放たれたビームがゴワンの額を直撃。大きく仰け反った。エリザベートの全力の『マジックブラスト』が直撃したのだ。
敵は体制を整え直す。
「その武器は厄介ですが、手を封じてしまえば…!」
連携攻撃は終わらない。すぐさま詰め寄ったザカコが『疾風突き』で攻撃、手元は下がり頭が無防備になった。
その隙を見逃さない。最後に巽の攻撃だ。
「青心蒼空拳!晴天霹靂掌!」
必殺技の『閻魔の掌』がまたしても額に決まった。

「見事です!巽さん」
「やったですぅ。作戦成功ですぅ」

大きく間合いを外した三人。
ゴワンは上半身を後ろへ大きく仰け反らしたまま動かなくなった。
「あららら。ちょっとやりすぎちゃったみたいですぅ。完全に気絶してるですぅ。
それにしてもドグマ教が残ってるなんて思ってもみなかったですぅ。何か恐ろしいことを企んでいるかもしれないですぅ。
気を失っているうちにとっ捕まえて後で事情聴取するですぅ」
エリザベートがゴワンへ歩いていく。
「危ない!」
巽は見逃さなかった。
ゴワンは勢いをつけて片腕に握った武器を振り落としてきた。
スコップがエリザベートへ鋭く落ちる。
「巽!!」
ザカコは叫んだ。エリザベートへぶつかる瞬間に巽が庇ったのだ。
しかし、攻撃は巽のマスクにヒビを入れた。敵の攻撃は巽が顔をガードするよりも早かったのだ。
「っく……マスクを壊した位でご満悦か?」
マスクが地に落ち真っ二つに割れた。
うつ伏せに倒れると変身が解除されて元の姿に戻ってしまった。