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ドグマ教の襲撃

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ドグマ教の襲撃

リアクション

イルミンスールの木の枝の先まできていたリリー・ペラドンナ。
じっと下を見つめている。視線の先に木の根が広がっている。
やわらかい風が彼女の髪を撫でる。
ネックレスは代用がきかない。
長時間ネックレスをなくしたことでリリーの体は弱まっていた。

「待って!」
リリーが振り返ると数メートル先に優理と契約者たちがいた。
「リリー!早く戻ってきて」
優理がリリーへと近づく、そのとき電流が走り思わず身を引いた。
彼女は足元を見た。リリーと優理の間に魔法陣が描かれていた。 
「どういうつもり……」
「あなたこそどいうつもりかしらぁ?今更戻ってこいとでもいうわけぇ?言ったでしょ。
私はドグマ教の幹部だって。もう昔には戻れないの」
「ごめんなさい」
「もう遅いのよ。今更謝ったって――あら?」
リリーの足場の下から雄たけびが突き上げてくる。
「ぬおおおおおぉぉぉッ!!!」
ドシリとすぐ隣に着地したのはボロボロのゴワンだった。
「ふぅ……流石の俺でも根元からここまで飛んでくるのは息が上がるな。よう、探したぜリリー。あ?」
リリーはゴワンに向かって身構えていた。
「久しぶりね。何?裏切り者を消しに来たのかしらぁ?」
「はっはっは冗談はよせや。お前が俺に勝てるものか。ちょっと待ってろよ」
ゴワンはゴホゴホと咳き込みだした。
不思議そうな顔をしているリリー。
まだ咳き込んでいる。そしてようやくゴワンの口の中から何か出てきた。

「おー、やっと出てきやがったかよかったぜ。腹の中で無くなっちゃいねえかと心配だったんだが」
口から出てきたのはペアネックレスだった。それを掴むと「ほらよ!」とリリーの首元へ掛けた。
ぬめぬめしているネックレス。リリーの顔は歪んでいた。
「――どうやって手に入れたの」
「こっそり盗んできた。地下の金庫に保管されてたぜ、厳重によ。
見張を説得するのも大変だったぜ。ま、結局は拳で解決したんたがな」
「どこがこっそりよ。自分が何をしたのか分かってるのかしらぁ。組織の裏切り者を助けたのよぉ。
いくらウェスペルと仲良しあんたでもただじゃ済まないんじゃなくて?」
「そのへんは俺に任せておけや。ボスには上手く話をつける。さあ帰るぞ」
リリーへ手をさし伸ばした。だが一歩後ろへ下がってしまう。
「悪いけど。私はもう何処へも帰らない」
「まーったく強情な奴だ。仕方ねえ……痛いのはオレ自身が一番よく分かってるんだが」
ゴワンはリリーの額へ手を向け、そしてデコピンを放った。
彼女の体が足場から離れ気を失ったリリーは落下する。
「リリー!」
優理は走り出した。
魔法陣の中を走る、電流で服がボロボロに引き裂かれても構わず走り続ける。 
「危ない!」
契約者たちが声を上げたが遅かった。
優理はリリーがいた足場から飛び出してしまった。

優理は空中で宙吊りなった。
視線の先には大きな布を広げたドグマ教の男たち。その真ん中に気を失ったリリーが横になっていた。
受け止めたドグマ教の男達は魔法を唱え消えていった。

優理の服を掴んでいたゴワンは舌打ちをした。
彼女を荒々しく木の枝の上へ投げ捨て契約者達を睨む。
持っていたスプーンを契約者たちに向けて大きく空振りすると、ものすごい風圧が契約者たちに吹き付けた。
その風に乗ってゴワンはイルミンスールから脱出した。
「だ、大丈夫か君!ほんま危なかったで。それにしても何で助けたんや。僕らは敵とちゃうのか?」
「……ごめんなさい、リリー」
優理はネックレスを強く握り締めた。

担当マスターより

▼担当マスター

藤松 明

▼マスターコメント

お久しぶりです、藤村 明です。
みなさんのおかげで強敵ゴワンをイルミンスールから退けることができました。
でも一体彼はなぜ優理を助けたのでしょう。
それに連れ去られたリリーのことも気になりますね。

まだまだお話は続きます、次回をご期待ください。

▼マスター個別コメント