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2024夏のSSシナリオ

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2024夏のSSシナリオ

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 とある晴れた日のこと。
 榊 朝斗(さかき・あさと)は買い物のため、海京を訪れていた。
 生活用品や食材が、そろそろ尽きる頃。
(えーと、買うものは……っと)
 朝斗は買い物のリストを見ながら大通りを歩いていて、ふと前を歩いている人の後ろ姿に気付いた。
(あれって……アイビスか?)
 朝斗の前方を歩くアイビス・エメラルド(あいびす・えめらるど)の隣には、佐野 ルーシェリア(さの・るーしぇりあ)の姿があった。
 歩く速度を緩めて、朝斗は二人の様子を伺う。
(二人で買い物に来たのか……と思ったけど、あれ?)
 アイビスとルーシェリアは立ち話をしていただけのようだ。
 ルーシェリアが笑顔で手を振って、近くの店へと入っていくのが見えた。
(……アイビスは、どこへ向かってるんだ?)
 ルーシェリアと別れたアイビスは、大通りを逸れて横の小道に入っていく。
(アイビスって普段何してるのか知らないからなぁ。彼女には悪いけどちょっと後をつけてみるか……)
 朝斗はアイビスを見失わない程度に離れて、こっそりと後を追っていった。
(あっちの方って……確か、ファンシーショップがあったはずだ)
 朝斗の予想通り、道の途中にはファンシーショップがあった。
 アイビスは、そこに入って行くようだ。
(思い返してみれば……アイビスはどういう物が好きなのか、分かってないんだよな)
 道を通りながら、朝斗は店の奥をホークアイで覗き込んだ。
(こっちは……ぬいぐるみコーナーか)

 一方、アイビスは朝斗に見られていたとは知らず、ぬいぐるみを見つめていた。
 久々の休日。アイビスは、このファンシーショップの新商品チェックしにやってきたのだ。
(可愛いなぁ……)
 アイビスが目に止めたのは、ミニドラゴンのぬいぐるみだった。
 ふわふわと抱き心地も良く、思わずアイビスの顔から笑顔が零れる。
(やっぱりミニドラゴン可愛い……)
 そう思いながらも、チラと値札を見て……アイビスはぬいぐるみを元の位置に置き直した。
(ちょっと値段が高めだから、手が出せないのが残念だなぁ……)
 アイビスは名残惜しそうにそのぬいぐるみをしばらく見ていたが、頭を振って、今度はアクセサリーコーナーに移動した。
(……あ、新作のが出てる)
 アイビスは髪飾りに気付いて、足を止めた。アイビスは毎日、髪飾りを変えているのだ。
(『風』をイメージしたものか……シンプルなデザインだけどいい感じだなぁ)
 アイビスはこちらも手に取った髪飾りの値札をちらりと見て、残念そうにそのまま店の出口へと向かった。
(もうちょっとお金貯めておかないと。それまでに残ってたらいいなぁ……はぁ)
 退店したアイビスの代わりに、朝斗が髪飾りのコーナーにいた。
(そういや彼女、日によって髪飾りを変えてたな……数少ないオシャレってとこか)
 アイビスの意外な一面を見た朝斗は、アイビスが手に取っていた髪飾りを手にしていた。
(彼女にプレゼントしてあげるか。さっきのぬいぐるみとアイビスに合いそうな髪飾りを……)
 暫く自分のお小遣いは我慢しよう、と思いながら、朝斗は髪飾りを手に、ぬいぐるみコーナーへと向かったのだった。



(思わぬところで、良いアイディアをもらえましたねぇ)
 嬉しそうにメイド服に合いそうな小物を見ている、ルーシェリア。
 ルーシェリアが立ち寄っていたのは、メイド服の店だ。
 朝斗の……否、あさにゃんのネコミミメイド姿を久しぶりに見るべく、ルーシェリアは様々な準備をしようとしていた。
 たまたま出会ったアイビスに意見をいくつか貰ったルーシェリアは、どのような小物を揃えるかを考えていた。
(メイド服のサイズはわかってるからいいとして、小物を選んでおきましょうかねぇ)
 見繕ったメイド服を手に、ルーシェリアは小物を楽しそうに見つめる。
 ネコミミカチューシャひとつにしても、種類は豊富だ。
 最良の組み合わせとなるべく、真剣な瞳で厳選するルーシェリア。
(機会があったらいつでも動けるように必要なものはさっさと揃えておかないとですぅ)
 メイド服と小物の売場を何度も巡って、ルーシェリアはあさにゃんのためのメイド服一式を揃えていったのだった。

(あれ……お母さん)
 ルーシェリアと別行動をしていた佐野 悠里(さの・ゆうり)は、合流場所であるメイド服の店に辿りついた。
 買い物袋を握りしめた悠里は、こっそりとルーシェリアの背を見つめた。
(凄く真剣……声かけにくいな)
 あまりに楽しそうにメイド服を選んでいるルーシェリアを見て、何と声を掛けたらいいのか、悠里は迷っていた。
 長くは掛からないだろう、もう少ししたら声を掛けよう。
 そう思いながら、悠里はルーシェリアの様子を見ていた。
(お母さんがメイド服を着たり、お父さんが着させられたりすることがあるのは悠里も知ってるけど……。
 でも、お母さん達が着るにサイズが小さそう?)
 同じく、悠里のサイズであるようにも思えない。
 それなら、誰のためのメイド服を選んでいるのだろう、と悠里は疑問に思う。
(真剣で手を抜いてない感じだけど、選んでて楽しそうだし……誰か知り合いの女の子にでも贈るのかな?)
 悠里は、男性が……朝斗が近い将来に着せられることになるとは夢にも思わず。
 ようやく小物を選び終わったルーシェリアの元に、悠里は向かっていったのだった。