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リアクション
★ ★ ★
『――識別信号的には、同じ機体……とは、とても思えませんね』
ダスティシンデレラと相対したシフ・リンクスクロウが言った。こちらは、奇しくもBMI専用機同士の対決となっている。
シフ・リンクスクロウとしては、いつまでもテストパイロットとしての自分でいいのかと、進路を模索中だ。それもあって、実戦でどの程度の実力を発揮できるのかを確認しておきたい。
『データは、とっておきますね』
記憶術を駆使しつつ、デコーダーも併用して四瑞霊亀が告げた。
『――BMIシンクロ率60%。まずは、敵の行動パターンを把握するよ』
『――なら、小手調べといきましょう』
先行して、ルシファークロウがバスターライフルを構えた。
「ようし、二式でやっつけちゃうわよ!」
「ちょっと、メイ、死に急がないで!!」
嬉々として接近戦をしかけようとするメイ・ディ・コスプレに、初っぱなからマイ・ディ・コスプレが慌てた。
「大丈夫!」
慌ててBMIのシンクロ率を上げて回避行動をとるマイ・ディ・コスプレに対して、メイ・ディ・コスプレは自信満々だった。
ルシファークロウがバスターライフルのチャージを完了したとき、ダスティシンデレラが分身した。鵺とは違って、こちらは正真正銘のミラージュだ。
それでも、躊躇することなく、ルシファークロウがバスターライフルを発射する。
「残念。外れた」
凄まじいエネルギー波が、行動予測したとおりの幻影を貫くのを嬉々として感じながら、メイ・ディ・コスプレが二式で鋭く空間を切り裂いた。だが、すでにそこにルシファークロウの姿はない。ポイントシフトで、素早く安全な位置に移動しつつ、アサルトライフルで攻撃してくる。
「だから言ったでしょ!」
かろうじて帝国魔導フィールドが攻撃を防ぐのをすぐにフォースフィールドで補強しながら、マイ・ディ・コスプレが回避運動をとった。アンチビームファンを広げて、ルシファークロウの猛攻をなんとか凌いでいく。
「シンクロ率上げて! 切り裂く!!」
メイ・ディ・コスプレに言われて、マイ・ディ・コスプレがBMIのシンクロ率を一気に100%に上げる。この相手に出し惜しみはむしろ不利だった。短期決戦に持ち込むしかない。
高速で移動攻撃を続けるルシファークロウに対応すると、ダスティシンデレラがブレードピットを敵にむかわせた。
六方から飛来するブレードビットを、ルシファークロウが至近距離に展開したブレードビットで弾き返す。こちらもシンクロ率を100%にまで上げると、ディメンションシフトで確実にブレードビット同士を接触させて、軌道を変えて躱していく。それは、まるで阿修羅のごとく、六本の腕で巧みにナイフを操っているかのようであった。
だが、その隙を突いて、ウイッチクラフトライフルで牽制射撃をしながら、ダスティシンデレラが突っ込んでくる。
「今度こそ、一刀両断!」
途中でウイッチクラフトライフルを投げ捨てると、メイ・ディ・コスプレがマイ・ディ・コスプレに移動をすべて任せて、二式に意識を集中した。
『――くるよ!』
とっさに、ミネシア・スィンセラフィがアブソリュート・ゼロでルシファークロウの前に氷盾を作り出す。
「邪魔!」
メイ・ディ・コスプレが、パイロキネシスで氷盾を溶かした。もうもうとわきあがった水蒸気が、二機の視界をさえぎる。
「もらったわ!」
奥の手とばかりに、メイ・ディ・コスプレがサンダークラップで、霧のむこうのルシファークロウをつつみ込んだ。敵に打つ手を与えず、二式で凍らせ、打ち砕く。スキルが使えなければ、BMI2.0といえども、ただの飾りだ。
水蒸気から生まれた霧が、二式に触れてダイヤモンドダストとして燦めいた。
霧が晴れる。
その中で、かろうじてルシファークロウが、ダスティシンデレラの二式をアサルトライフルの銃剣で受けとめていた。
「無駄よ!」
みるみる凍りついていく銃剣つきビームアサルトライフルを見て、メイ・ディ・コスプレが二式に力を込めた。だが、その氷が突然砕け、二式ごとダスティシンデレラの右肩から腕がファイナルイコンソードで切り落とされる。
「そこまでよ」
シフ・リンクスクロウが、バックパックとして搭載していたイコンホースを切り離して、ダスティシンデレラに激突させた。倒れ込んだダスティシンデレラが、地面にめり込んで動けなくなる。
『――残る敵は……』
『――くるよ!』
索敵しようとしたシフ・リンクスクロウの死角を突いて、鵺が突っ込んできた。とっさにブレードビットで対応しようとするも、次々に炎につつまれた拳で叩き落とされてしまう。
『――覚醒……いや、暴走なの!?』
アサルトライフルまでをも叩き折られ、ルシファークロウが防衛一辺倒となった。
「超龍星合体! キング・ドラゴハーティオン! 希望の心に照らされて 奇跡と共にここに見参!」
そこへ、遅ればせながらに、やっとコア・ハーティオンの究極合体が完了する。
「争いをやめて……うおぉ!?」
あくまでも説得しようとしたキング・ドラゴハーティオンであったが、鵺の突進であっけなく弾き飛ばされた。
「聞く耳持たぬとは、しかたがない。キャノンコネクトォ!」
キング・ドラゴハーティオンが、大型砲を取り出した。
「ハートエナジー! インフィニティ!!」
すぐさまにチャージを開始する。銃口から、収束するエネルギーの凄まじい輝きが漏れ広がった。
「私の中に溢れる皆の心の力……! いかなる悪も! 銀河の果てまで撃ち貫く!! ゆくぞっ! ミラクルギャラクティカ・ブラスタアァァァァッ!!」
必殺攻撃を放とうとしたキング・ドラゴハーティオンの構えるミラクルギャラクティカ・ブラスターの砲身の先を、暴走した鵺が叩いた。キング・ドラゴハーティオンの足許の地面へと銃口がむく。
「あっ……」
★ ★ ★
「また、近くでドンパチしてるの!? まったく、営業妨害だわ。早くなんとかしてきなさいよ!」
アトラスの傷跡にある遊園地の展望台から、シャンバラ大荒野で繰り広げられている戦いを睨みつけて魔威破魔 三二一(まいはま・みにい)が浦安 三鬼(うらやす・みつき)に言った。
「いや、なんとかしろって言ってもなあ……」
どうしろってんだと、浦安三鬼が魔威破魔三二一に言い返した。
「恐竜騎士団に言うなりなんなりして……」
どうにかしてこいと魔威破魔三二一が言いかけたとき、閃光と共に巨大なキノコ雲がシャンバラ大荒野のど真ん中にわきあがった。
それっきり、戦闘の騒音は聞こえなくなった。
★ ★ ★
「次は、あのジェットコースターに乗りますよ」
「まだ乗るんですか、姉さん」
エメラルドに手を引っぱられたアクアマリンが声にならない悲鳴をあげた。
「楽しそうだねえ」
「そうですな」
カフェテラスとでのんびりとその様子を見つめるルビーにアラバスターが同意した。ストゥ伯爵に留守番を任せ、アトラスの傷跡の遊園地に遊びに来ている。
「やれやれ、こんな所でのんびりするなど、性に合わんな」
「まあ、そろそろ、何か暴れたい気もしますが。まあ、いいんじゃないですか」
なんでこんなことをしているんだという顔のオプシディアンに、ジェイドが言った。
「まあ、世情はまた不安定なようですし、トラブルは向こうからやってきてくれますよ」
「そのことだが。創造主を僭称する者共……気に食わんな」
ジェイドの言葉に反応して、ルビーが珍しく顔を顰めた。
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