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【終焉の絆】滅びを望むもの

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【終焉の絆】滅びを望むもの

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道切開く

 一団の先頭に立っていたパワードスーツ部隊ライラニイ
 その指揮を執るのは堀河 一寿(ほりかわ・かずひさ)。パートナーであるヴォルフラム・エッシェンバッハ(う゛ぉるふらむ・えっしぇんばっは)ダニー・ベイリー(だにー・べいりー)と共に敵の攻撃を引き付ける。
 ランダム・ビアンコ(らんだむ・びあんこ)は洞窟の入り口にて輸送車両の守りと入り口の安全確保を行っている。
「外で待っているランダムの分も頑張らないとなぁ!」
 ダニーがパワードスーツの足音を響かせながら前進。
 対してバスターゴブリンも銃を乱射するが、有効なダメージを与えることができない。
「それだけし能がないなら、大人しく道を空けるこった!」
 臆することなく進むダニーが、間合いに入った一体のバスターゴブリンへ向けてパンツァーファウストを見舞う。
 小規模な爆発が発生すると、周りにいたバスターゴブリンも巻き込むことに成功。
「前に出すぎですよ」
 ダニーとバスターゴブリンの間合いを推し量り、ヴォルフラムがロケットランチャーを発射する。
 立て続けに起こる爆発に、しかして地鳴りは起こらない。
「やっぱり、と言ったところですね。でなければ自爆などするはずもないですものね」
「これなら多少のゴリ押しもできるだろうな」
 ヴォルフラムとダニーが並ぶ。
 と、前からバスターゴブリンの弾幕が展開される。
 あまりの濃度に、パワードスーツによる進行も危険だ。
「二人とも伏せてっ!」
 一寿の声に即座に反応して伏せる二人。
 その頭上をロケットランチャーが飛来し、数秒後銃弾に触れ起爆した。
 洞窟内に煙が充満する。視界を遮られたバスターゴブリンは一度射撃をやめる。
 その一瞬の隙、煙をかき分けて一寿、ヴォルフラム、ダニーが先頭にいたゴブリン達へと急襲。
「滅びなんてものはなぁ、望むとか望まないとか、そんなものに関わりなくやってくるんだよ!」
「それでも望むなら、私がそれを与えてやろう。ただし、おまえらだけの、滅びだがな!」
 ヴォルフラムとダニーが叫ぶ。同じように一寿も拳を振るい、叫ぶ
「頑丈なのが取り柄のPSだ。まだまだ通用して……」
 一寿の攻撃に抵抗し、銃を突きつけるバスターゴブリン。

 ダララララッ!

 銃弾が乱射される。だが、
「……くれよ! ライラニイ!!」

 ドゴンッ

 その攻撃を無理やりかわして、避け際に右拳で顔面を殴りつける一寿。
 だが数は敵の方が多い。無数の銃口が三人に狙いを定めようとする。
「そうはさせないでありますよ!」
「その通りよ!」
 三人に続いて、銃剣銃を持った大熊 丈二(おおぐま・じょうじ)ヒルダ・ノーライフ(ひるだ・のーらいふ)が突撃する。
 三人の手が届かないであろう位置にあるバスターゴブリンの首元に銃剣を突き立てる。
 攻撃を受けた敵は涎を撒き散らしながら、構わず銃を乱射する。
「兆弾に気をつけるであります!」
「わかった!」
 丈二の忠告に一寿は返答する。
「大人しくなさいっ!」
 銃剣を少し引き抜き、トリガーを数度引くヒルダ。
 丈二も同じくトリガーを引き、銃剣を突き刺したバスターゴブリンを沈黙させる。
「この先に開けた場所があると情報が入ったであります!」
「わかった! このまま押し込んでそこでケリをつけよう!」
 ここで長らく戦っていては時間がもったいないのは明白。
 多少無茶をしてでも敵を後ろへと追いやる五人。
 すると、開けた場所が見えてくる。
 だがそこには、爆弾を持ったバスターゴブリン数体が待機していた。
「誘い込まれた、でありますか……!?」
 丈二はこの局面に下唇を噛締める。
 更に状況は悪化する。
 後方からも無数の銃弾が発射される音が聞こえる。バスターゴブリンのものだ
 最早、進むも引くも出来ない状況。
「そのまま進みなさい!」
「こっちの方が安全なのー!」
「! ありがたい!」
 一寿が見たのは、爆弾を持ったバスターゴブリンへ走るセレンと翠の姿だ。
 一寿と丈二は二人を信じて、眼前の敵を開けた場所へと押し込む。
「そんな危ないもの、持っちゃだめじゃない!」
「そうなのー! 危ないのー!」
 セレンは希望の旋律でゴブリンの腕ごと爆弾を宙に浮かせ、
 翠はデビルハンマーでゴブリンごと爆弾を空に羽ばたかせる。
 その後、後方に全速力で撤退。
「ヒルダ!」
「了解!」
 丈二とヒルダが銃剣銃の照準を浮遊する爆弾へと合わせる。
 そうはさせまいと銃を取り込んだバスターゴブリンが必死の抵抗を試みる。
「そうはさせないっ!」
 その弾雨へと飛び込んだ一寿、ダニー、ヴォルフラムがその身を呈して二人の盾となる。
 長くは持たないだろう。
 全神経を集中させる丈二とヒルダ。
 刹那、トリガーが引かれ、銃弾が射出される。
 二つの銃弾は奇跡的に弾雨を潜り抜け、爆弾へと命中。

  ドガァアァンッ!!
       ドガァアァンッ!!

 爆風の二重奏が洞窟内に響き、バスターゴブリン達を一網打尽にする。
 少々危険な爆発の威力だったが、それも開けた場所により事なきを得た。
 これを受けて、カケラ、コリマ、ルシアたちは先行して奥へと走る。
 後方から押し寄せてきた敵を、信じる仲間に任せて。