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【終焉の絆】滅びを望むもの

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【終焉の絆】滅びを望むもの

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リファニーを制止せよ!3

 英虎のパートナー、甲斐 ユキノ(かい・ゆきの)が英虎と共に、光条兵器の弓でリファニーの主に剣戟を少しでも鈍らせようと剣を持つ手に次々と矢を放つ。上部に狙いを定めることで、リファニーとの距離を詰める近接戦闘者の陽動もかねた攻撃だ。さほど大きなダメージは認められないが、腕いっぱいに針山のように矢が刺さればうっとうしさはあるだろう。コハクは翼を広げ、リファニーの周囲を飛んだ。宵一もそれをサポートするように、リファニーの顔の前をからかうように飛行する。ヨルディアがレプリカシャドウレイヤーを起動させ、さらにリファニーの動きを鈍らせようとする。
 リファニーの攻撃のダメージをあえて治療せずにこの機会を待っていた宵一が、怨みの一撃にソードプレイを合わせて、神狩りの剣でリファニーの剣を持つ腕に切りつけた。骨に当たって剣ははじき返されたが、大きく腕をえぐった傷が、青白い光が脈動する漆黒の内部組織をあらわにし、そこから黒い瘴気が噴き出す。リファニーと一体化したダエーヴァの姿が呻くようなほえ声を上げ、瘴気を纏う黒い剣を反対の手に持ち替え、ぎこちなく振り回す。
「どうした? 手加減はいらないぞ」
鉄心は覚醒を使用し、だいぶ勢いが落ちたとはいえ生身の体には十分な脅威である剣の攻撃ををショックウェーブで弾き返す。己の攻撃の反射に、リファニーの体がぐらりとよろける。リファニーのヤギのような頭がぐらついた瞬間、コハクはセラフィックフォースを開放し、後ろから全力でリファニーに組みついた。同時に叫ぶ。
「マンダーラ! 手を貸して!」
マンダーラは美羽らのしようとすることがあらかじめわかっていたようだった。かすかに首を振り、やれやれといった感じで舞い上がり、それでもコハクに手を貸してリファニーを鋼のような力で抑える。
「今だよ、美羽!」
コハクが叫んだ。美羽が光条兵器を振りかざし、強い意思の力をこめてリファニーに光の刃を振るう。
 だが、彼女の読みは外れた。リファニーと指揮官クラスのダエーヴァ、そして”滅びを望むもの”が完全に融合してしまっているため、刃は異形化したリファニーの体を何の抵抗もなく突き抜けた。美羽めがけてリファニーが炎を吹きかける。美羽はすばやく飛びのいた。エリシアがすぐに神の目で目くらましを放ち、力尽きたコハクを半ば抱えるようにして盾でかばいながら、アブソリュート・ゼロの氷壁と護国の聖域で防御し、急ぎ避難させる。
 ティーがすぐさま夢想の宴を使った。巨大な翼と蛇の尾を持つ狼の姿を持つ堕天使マルコシアスの幻影が現れ、赤く燃える瞳でリファニーの合体した化け物としか言いようのないダエーヴァの頭に向かって咆哮した。その雄たけびはリファニーのダエーヴァ頭部からの炎攻撃を相殺し、周囲の契約者たちの回復も同時に図る。
「リファニー! 私よ、ルシアよ!」
ルシアが前に進み出るが、リファニーは瘴気を放つ黒い剣を振り上げた。
「危ないよ」
マンダーラがこともなげに言って、剣戟を自分の剣で受け流す。凄まじい火花が飛び散った。
「……そういうことなら……みんな、手……いや、想いを貸せ! リファニーを抑える、この力で!
 その間に呼びかけろ! 久々にやるか、リネン!」
「……フェイミィ!」
もともとは邪魔してくると思っていたマンダーラ対策の切り札、フェイミィのセラフィックフォースによる熾天使化を発動する。トランスシンパシーで強化したトリップ・ザ・ワールドの障壁を展開し、皆をリファニーの攻撃から守るべく動く。
「あまり時間はない! さあ早くッ!」
リネンが叫んだ。
 紫月 唯斗(しづき・ゆいと)もリファニーを止めるべく、PCM−NV01パワードエクソスケルトン・鴉をフルパワーで起動し、さらに森羅封印・万象回帰で火炎を封じようと力の限りを尽くす。