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なし

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Zanna Bianca――ザナ・ビアンカ

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Zanna Bianca――ザナ・ビアンカ

リアクション


●19

 冷たい金属音を耳にして、オミクロンは足を止めた。
「見つけたぞ、化け物!」
 カチャカチャと銃口が震えていた。体に大きすぎる猟銃を構えてコヤタが立っていた。
 オミクロンが黙って見つめると、コヤタの震えはますます大きくなった。
「や、山に逃げ込むと、思ってたんだ……もしやと思って、ここで待ち伏せてた」しゃべりつづけないと恐怖に押し潰されるとでもいうかのように、老ハンターの孫はしゃべり続けた。「お前、蜘蛛の体から抜け出したな……でも、お、同じ顔だ。人間の振りをしたって騙されないからな! 爺ちゃんの仇!」
 オミクロンは何も答えず、苦しげな足取りで少年に近づいた。
「寄るな化け物! それ以上近づくと撃つ……撃つぞ!」
「見ろ」
 まるで銃など存在していないように冷ややかな目をすると、オミクロンは左手の義手に手をかけ、するりと引き抜いた。義手を投げ捨てると、カランと硬質な音を立ててそれは転がった。そして左腕があった場所には、濡れたような光沢を持つ刃が存在していた。
「そうだ……私だ。私が、お前の祖父を殺した化け物だ。撃つがいい。だが外すなよ」
 オミクロンは暗い笑みを浮かべた。
「外すと、次の瞬間お前が死ぬ」


 ――乾いた銃声が、地下道に谺した。

 そして、どさっ、と人が倒れる音と、小さな金属音が続いた。
 機晶回路キーのネックレスが、彼女の死体の下敷きになる音だった。