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地球に帰らせていただきますっ! ~4~

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地球に帰らせていただきますっ! ~4~

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 ■ 楽しい食事の時間 ■
 
 
 
 久しぶりにイギリスに帰りたいと、エレオノール・ベルドロップ(えれおのーる・べるどろっぷ)ラビ・スカーレット(らび・すかーれっと)ルアーネ・シーモア(るあーね・しーもあ)を誘って実家に帰省することにした。
「お母様がいないのは残念だけど、お父様だけでも会っておきたいしね」
 そう言ってからエレオノールは、でも、とルアーネを見る。
「お父様、ルアさんの角や尻尾を見て驚かなければ良いけど……」
「そ、そうだな」
 答えるルアーネは、緊張気味だ。
 普段のエレオノールの脳天気なところを見ると想像しにくいが、彼女は上流貴族の家系だと聞いている。
 これから会いに行くという父親も、貴族の当主ならきっと礼儀作法に厳しく威厳のある人なのだろう。
「あまり粗相のないように気を付けなければいけないな」
 そう呟くルアーネに、ラビは複雑な表情になった。
 ラビは時々、ベルドロップ家に帽子を売ったりするのに行ったことがあるから、エレオノールの父、ジェラール・ベルドロップと面識はある。
「ジェラールの旦那は……なんて言うんかねぇ。そう、あの見た目とのギャップ!」
 あれを見て、逆にルアーネが驚かなければ良いのだけれど。
(無理だろうなー)
 一体どんな食事会になるのかと、ラビの中にはむくむくと不安が湧き上がってくるのだった。
 
 食卓につくと、ジェラールを待つ間にとエレオノールは紅茶を淹れた。
「イギリスといえばやっぱり紅茶だから、有名どころの茶葉を選んでみたけどどうかな?」
「ああ、薫り高い紅茶だな」
 そう言いながらルアーネが紅茶を含んだところに、ジェラールが登場した。
 端正な顔立ちをふちどるショートヘアは、エレオノールと同じピンクと金色が混ざった色合い。エレオノールから48歳だと聞いているが、どうみても20代に見える。
「エレオ、それからオマケのみんな、僕は当主のジェラール・ベルドロップ……よろしくにゃん☆」
「ブッ!」
「きゃ、ルアさん……!」
 紅茶を噴き出したルアーネに、エレオノールが驚いた声を出す。が、もちろん一番驚いているのはルアーネ当人だ。
「な……」
 挨拶することも忘れて硬直しているルアーネに、ジェラールは親しげに顔を寄せてきた。
「で、ルアぴょん……エレオとはあーんな事やこーんな事はヤったのかい?」
「あ……あんな事とは?」
 なんとか声を絞り出してルアーネが聞き返すと、ジェラールはにんまりと笑った。
(ヤバイ……!)
 即座にラビは、エレオノールの耳を塞ぐ。
「それはもちろんルアぴょんが〜(ピーッ、ピーピーピピピーーッッ)?」
 ぷしゅう〜。
 クールなルアーネだけれど、恋愛や下ネタにはまったく免疫が無い。ジェラールの繰り出す18禁用語にたちまちショートしてしまう。
「あれ? 否定しないってことはそうなのかな? もう〜ルアぴょんったら(ピーッ)なんだね☆」
 ジェラールの方は、からかい甲斐のある相手が嬉しくてたまらない。固まってしまっているルアーネに、次々に放送禁止発言を投げかけて遊びまくっている。
「ラビ兄さん、どうして私の耳を塞ぐの?」
 不思議そうなエレオノールに、ルアーネは放置でエレオノールの純粋を守る役に徹すると決めたラビは、その時だけ耳を塞いだ手を緩めて言う。
「エレオ、『知らぬが仏』っていう言葉があるんさ」
「で、でもルアさんが……大丈夫ですか?」
「大丈夫大丈夫。旦那の遊び相手になってるだけだからさ」
 そう言ってラビは再びしっかりとエレオノールの耳を塞ぐ。
(できればオレの耳も塞いでもらえると助かるんだけどねー)
 ルアーネが立ち直れないほど、ぽんぽんと下ネタを連発するジェラールを眺め、ラビはこっそりため息をついたのだった。