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シャンバラ一武闘大会

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シャンバラ一武闘大会
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リアクション

 

第四十六試合

 
 
『続いては、悠久ノ カナタ(とわの・かなた)選手対、ココ・カンパーニュ(ここ・かんぱーにゅ)選手の対決となります』
 着物で出てきた悠久ノカナタが、武舞台の袖であーれーっと回転を始める。帯が解けて着物が脱げると、それが裏返って形が変わっていった。再び悠久ノカナタの素肌をつつんだ着物は、魔法少女のドレスに変化していた。
「まさか、ソアと戦う前にこんなことになるとは……。だが、一歩も退かぬぞ」
 銀髪をツインテールにし、ふんだんにフリルをあしらった魔法少女姿の悠久ノカナタが、魔女の大釜を横において言った。壺型の大釜の中では、謎のスープがぐつぐつと煮えたぎっていた。シンボルは頭の大輪の赤い花飾りに結びつけた雪国ベア型の風船だ。
「ようし、みんなの手前、立ちはだかる奴は全て殴り倒す!」
 ブンブンと腕を振り回しながら、ココ・カンパーニュが武舞台に進み出た。他のゴチメイたちと同じように、ミニシルクハットの先に紙風船をつけている。
『さあ、試合開始です』
「さあ、かかって来な」
 ココ・カンパーニュが、片手でクイクイと悠久ノカナタを招く。
「いいであろう。わらわも、奥義で相対そう。あたたたたたたたたたた……」
「いいねえ。あたたたたたたたたた……」
 武舞台の中央で、悠久ノカナタとココ・カンパーニュが高速で拳を交える。
「いいぞお、頑張って負けろー。ミトゥナさんは、俺が嫁にしとくから、後は任せておけー」
 アルディミアク・ミトゥナ狙いの緋山政敏が、ココ・カンパーニュに負けろと声を送る。
「うーん、残念だが、ミトゥナでも、私は男なんで嫁にはなれないな」
 緋山政敏の前にずいと進み出たアラザルク・ミトゥナが言った。
「ええっと、なんであんたが……」
「そういうことで、握手だけしてあげよう」
 言いながら緋山政敏の手を取ったアラザルク・ミトゥナが、思いっきり放電実験を開始した。
「ちょっと、なんでこうなる……」
「ああっと、何か、場外乱闘も始まっているようです。その間に、武舞台の二人はヒートアップ」
「吹き飛べー」
「ててててててて……キラン」
「おおっと、お互いの拳が相手に炸裂。二人共、思いっきり吹っ飛びました、これは場外でしょう。ああっと、ココ・カンパーニュ選手、悠久ノカナタ選手がおいておいた魔女の大釜に激突して一緒に落ちた」
 ぐらりと倒れた魔女の大釜が、そばで場外乱闘をしていた緋山政敏とアラザルク・ミトゥナに中身をぶちまける。
「うわっちちち」
「こら、ココ、なんで私まで……」
 思いっきり大釜の中身を浴びせかけられて、緋山政敏が逃げだした。アラザルク・ミトゥナも謎の液体まみれで火傷をしている。
「いつつつつ、わりい、とばっちりいっちゃったかな。今治療するからさ」
 頭をさすりつつ立ちあがったココ・カンパーニュが、アラザルク・ミトゥナの治療を始めた。
「ば、馬鹿な……あ、ありえぬ……この、わらわが……」
 反対側に吹っ飛ばされた悠久ノカナタは、大の字に地面の上でのびている。
 緋桜ケイが、あわてて回収に走るところだった。
『両者相討ち敗退です』
 
 
第四十七試合

 
 
『武舞台の清掃が終わりましたので、次の試合に参りたいと思います。くれぐれも、落ちている謎料理などには手をつけないようにお願いいたします。では、曹丕 子桓(そうひ・しかん)選手と皇 彼方(はなぶさ・かなた)選手の戦いです』
「うーん、テティスが勝ったから、俺も負けられないな。さあ、かかってこい!」
 光条兵器のバスタードソードを構えると、武舞台の上で皇彼方が曹丕子桓を待ち構えた。
「そうあせるな、空気その二よ」
「誰が、空気だ、誰が! って、なんだその周りのは!?」
 頭に紙風船を載せた曹丕子桓の周りにまとわりつきながら現れた七匹の獅子たちを見て、皇彼方が反則じゃないのかと指さした。
「何を言う。可愛いペットたちではないか。のお、おまえたち、よしよし」
 これ見よがしに、曹丕子桓が獅子の喉をなでてゴロゴロ言わせた。
『さあ、試合開始です』
「いや、試合ったって……うおおおお!」
さて、遊んでやるか。おまえたち、ちょっとじゃれてきなさい」
 曹丕子桓の命令で、七匹の獅子たちがどどどどっと皇彼方に突進していった。そのまま、一斉にじゃれついてゴロゴロと転がる。当然、リングアウトだ。
「ふふ、たわいもない。いつでもまた相手になってやるぞ」
『勝者、曹丕子桓選手です』
 
 
第四十八試合

 
 
『続いては、なんと同門対決となりました、コア・ハーティオン(こあ・はーてぃおん)選手対、龍心機 ドラゴランダー(りゅうじんき・どらごらんだー)選手です』
「ええっと、この場合は、どちらを応援したらいいの?」
 超ミニのチアガール衣装で両手にボンボンを持ったラブ・リトル(らぶ・りとる)が、困惑の表情で武舞台の上の二人を見つめた。
「うーん、そうだ、両方応援しちゃおう。どっちが三途の川に落ちても面白いだろうしぃ。
 頑張れ頑張れハーティオン♪
 負けるな負けるなドラゴランダー♪
 しばいたれー♪オー!
 しばいたれー♪オー!
 シメは簀巻きで〜♪
 川にたたきこめー♪
 ファイト〜! オー♪」
『応援合戦も、激しくなって参りました。それでは試合開始です』
「まさか、これも運命だというのか……」
『ガオォォォォォン!!!!』
「だが、たとえ相手がドラゴランダーだとしても、手を抜いたりはしない。むしろ全力でいかせてもらう」
『ガオォォォォォン!!!!』
「いくぞ!」
『ガオォォォォォン!!!!』
 巨大な龍心機ドラゴランダーに、コア・ハーティオンが突っ込んでいく。
「いくぞ! 必殺! 勇心剣! 流星一文字斬り!
 コア・ハーティオンが、勇心剣で龍心機ドラゴランダーに斬りかかっていった。それを、龍心機ドラゴランダーが尻尾の一振りで弾き返す。
『ガオォォォォォン!!!!』
 今度は、龍心機ドラゴランダーが巨大な前足の爪で打ちかかっていった。
 間一髪で、コア・ハーティオンが避ける。
「さすがは、ドラゴランダー。やるな」
『ガオォォォォォン!!!!』
 体勢を立てなおしたコア・ハーティオンが、龍心機ドラゴランダーの頭にちょこんと乗っているちっちゃな紙風船をめがけてジャンプした。コア・ハーティオンのシンボルは右胸につけた蒼空学園の校章なので、龍心機ドラゴランダーの巨体ではそれだけを狙うというのは不可能だろう。
 唐竹割りに紙風船を割ろうとしたコア・ハーティオンにむかって、龍心機ドラゴランダーが巨大な口を開けて噛み砕こうとする。あわやというところで、コア・ハーティオンがロケットパンチを放って反動で龍心機ドラゴランダーの牙を回避する。そのままロケットパンチは龍心機ドラゴランダーの尻尾を攻撃したが、あっけなく弾き返されて戻ってきた。
「やはり、まだ私は本気ではないと言うことか。ならば、全身全霊、本気でいかせてもらう!」
 そう叫ぶなり、コア・ハーティオンの全身が金色に輝き始めた。
『ガオォォォォォン!!!!』
 それに呼応したかのように、龍心機ドラゴランダーの全身もゴールドに輝き出す。
フレイムブースターフルパワー! 必殺! バーニングドラゴン!!』
 コア・ハーティオンが炎を纏って龍心機ドラゴランダーに突っ込んでいく。それを龍心機ドラゴランダーがまっこうから受けとめた。
「避けないのか、ドラゴランダー!!」
 コア・ハーティオンのブースターがさらに出力を上げた。ついに、龍心機ドラゴランダーの両足が浮かびあがる。
「あっ!?」
 勢い余って、そのまま二人は武舞台の外へと猛スピードで飛び出していった。
「引き分けたか……。だが、よい勝負だった! またいつか戦おう」
『ガオォォォォォン!!!!』
「ちょっとー、二人共どこまで飛んでいくのよー。戻ってきなさいよー」
 お空のお星様になっていくコア・ハーティオンと龍心機ドラゴランダーにむかって、ラブ・リトルが叫んだ。
『両者リングアウトです!』