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■□■2■□■ 本当のヒーロー

こうした、大騒ぎの中、
蒼空学園の
四谷 大助(しや・だいすけ)は、
黒コートになった魔鎧四谷 七乃(しや・ななの)を身にまとい、
救助活動を行っていた。

「ちっ……ここも崩壊が激しい。急ぐぞ」
「心配いらないです! 炎でもなんでも、マスターは七乃が守りますから!」
「ああ。信頼しているぞ」

もう一人のパートナー、グリムゲーテ・ブラックワンス(ぐりむげーて・ぶらっくわんす)も、
レッサーワイバーンで突入してきていたが、
これ以上、撮影での同行は危険なので、大助に後を任せたのだった。
「黒印は、何色にも染まらず『守護』という一つの信念に基づく紋章
……誰かを守る時こそ、その真価は発揮されるのよ」
脱出の際、グリムゲーテはそう告げていた。
「大助!!『黒印の拳』のその力、存分に見せつけなさいッ!!」
「ああ。必ず、この力で皆を助ける」
大助はうなずき、取り残された者の救助に向かった。

「早く帰ってきなさいよ。
いい絵が撮れそうだわ」
グリムゲーテは、ビル近くをレッサーワイバーンで飛びながらつぶやいた。

シャンバラ教導団のマグナ・ジ・アース(まぐな・じあーす)も、
パワード・マグナとして、
リーシャ・メテオホルン(りーしゃ・めておほるん)とともに、
消火活動を行っていた。
「起こった事件を解決するのに、
『ヒーローかどうか』というのは関係ない。
今目の前にある事件と全力で闘うのみ!」

「うん! 早く火災を消し止めないとね!」

マグナに、リーシャがうなずく。

ヒーローたるもの記録に残るのではなく記憶に残るものこそが真のヒーロー

パワード・マグナの外壁には、そう浮かび上がっていた。

★☆★

大助は、暗闇の中、ぐったりとしている女性に近づいていった。

「あ……」
漆黒のコート姿の大助は、悪魔のように見えたかもしれない。
しかし。
「よく、がんばったな」
大助は女性を抱きかかえると、
窓を突き破って、
パワード・マグナの肩の上に着地した。
「大丈夫か!?」
「ああ、心配ない。
それより早く救急車へ!」
マグナの問いに、大助は冷静に告げる。

一方、アインも、
取り残されていた子どもを抱きかかえて機晶姫の飛行機能でホバリングし、
ブースターを一気に加速させて脱出する。
「必ず、助ける!」
アインは、父として、自分の子どもたちと、その子の姿とをオーバーラップさせていた。

★☆★

こうして、取り残された人々は全員救助することができた。

助かった人々が、家族と無事を確認している。
変身をといた巽がうなずく。
「あの笑顔が一番の報酬だね」

「皆、大丈夫!?」
駆けつけてきた高根沢 理子(たかねざわ・りこ)に、
巽が厳しく言う。

「ヒーローショーがやりたいなら、デパートの屋上でやればいい」
「え?」
「人の命がかかっている状況をテレビで流して、ランキングだ人気だ広告だ……
そんなモノがヒーローだというのならこっちからお断りだ。趣味人助けの単なるお節介野郎で十分だ」

マグナとリーシャも、

「テレビに映りたいからヒーロー活動をするというわけではないだろう」
「活躍してる、っていうのは、ランキング上位だからってわけじゃないわ。
困ってる人に手を差し伸べることができるかどうかがヒーローの条件じゃないかしら。
……つまり、誰だって、ヒーローになれるってことだけど」

そう、理子に伝える。
「ちょっと、待って、あたしは……」
理子が何か言いかけた時。

一方、鬼羅は、カメラに向かって仁王立ちでブイサインしていた。

「いぇーい!! 母さん! 糞じじい! そして地球のみんな見てるかー?
パラミタにオレが居る限り! 人々の平和は守られたようなもんだ!!!!!」
鬼羅は相変わらず全裸だったが、
テロップなどでうまい具合に見えてはいけない部分が隠れていた。

「早く服を着なさい!」
理子が赤くなって叫ぶ。

毒気を抜かれてしまった巽とマグナたちだが、
理子は真面目な顔を作って向き直る。

「まあ、その、皆にも家族はいるでしょ?
これで、パラミタで活躍してるのを見て、安心してくれる人もいると思うのよ。
まあ、アレは例外かもしれないけど」

「いえーい! 母さん! 糞じじい!
故郷に錦を飾ってやったぜー!!」

理子は、一瞬、鬼羅の方を見て、コホン、と咳払いする。

「契約者って、特殊な能力を持ってるから、そうでない人からは恐がられたりもするし。
こういう番組を通じて、
少しでも多くの人に実態を知ってほしいのよね。
まあ、アレは別の意味でコワイと思うけど」

「そうか。
視聴率の事だけ気にしてたわけじゃないんだな」
巽はうなずき、理子に和解の握手を求めた。

「うん、あたしも、頭に血が昇っちゃうところがあるから、
心配かけてたらごめんね。
でも、皆がいるから、きっと大丈夫よ」
理子と巽は握手をかわし、それに、マグナも加わった。

「この番組で契約者に注目が集まって、
少しでも救われる人が増えればいいね。
その、服は着てた方がいいけどね?」
朱里が苦笑しながら言う。

「ええ、それに、契約者でも、そうでない人でも、
これで、少しのことでも勇気を出せる人が増えるといいね」
リーシャもうなずいたのだった。