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「死の予言」を打ち砕け!

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「死の予言」を打ち砕け!

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第2章 「死の予言」に抗う者たち

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汝、ルカルカ・ルー(るかるか・るー)は、国軍の任務中、
金 鋭峰(じん・るいふぉん)暗殺を食い止めようとして、凶弾に倒れ、死ぬであろう。
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「死の予言」を受けたルカルカ・ルー(るかるか・るー)は、
パートナーのダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)に、
夢の内容を相談した。
「無意識の恐れが夢として現れただけだ」
ルカルカを安心させるために言ったダリルだが、用心を重ね、式典当日を迎える。

もちろん、ルカルカも、万全の態勢で、式典を迎えていた。
(団長を暗殺するなんて、【金鋭峰の剣】である私が許さないわ。
私の死もだけど、その前提として、団長の命が危ないなんて……)

団長と強い信頼関係で結ばれたいと望むルカルカにとって、
団長を守ることはごく当たり前のことであり、
テロリストはけして許せない敵であった。

空京での国軍式典において、護衛として、ルカルカは団長の間近で警護を行う。

団長の演説は、シャンバラで起こっている同時テロや、
魔物の事件を受けてのものであった。

演説が佳境に入った時、ダリルが、怪しい動きを感知する。
「ルカ!」
「危ない!」
ダリルが注意を促すと同時に、ルカルカが団長の身体を押し倒す。
銃弾がそのすぐ上を駆け抜ける。

すぐ立ち上がったルカルカは、
軍服のスカート下に隠したミリタリーナイフを、
犯人の脚と銃を持った腕に向けて1本ずつ投擲する。

ダリルは、SPとして会場に配置した親衛隊員とともに、
会場内にいる敵一味を掃討する。

会場が騒ぎにつつまれる中、
ルカルカは肉食獣のように跳躍し、
最初に団長を撃った犯人に迫る。
「あなた達のバックにいるのは誰なの?」

と、それと同時に、
ルカルカをルース・マキャフリー(るーす・まきゃふりー)が突き飛ばす。

次の瞬間、犯人は自爆した。

「危なかったですね。もう少しでルカが巻き込まれるところでした」
「ルース!
私を尾行してたのね。なんて無茶するの!」
「ルカが言わないでください。
団長をかばって、自分が銃弾を受けたらどうするつもりだったんですか」
「私、防弾チョッキ着てたもん」
「じゃあ、俺に死の予言は出ていませんでした」
ルースは、自分には「死の予言」がなかったからと、
ルカルカを守ろうとしていたのだった。
「俺は死ぬ運命にないということですからね」
ルースが胸を張ってみせる。

「つまり『二人とも』無茶していた、ということだ」
テロリストを制圧したダリルが嘆息した。
それを聞いて、ルカルカとルースは同時に吹き出した。
「お互いさまってところね。どうもありがとう」
「仲間なんだから当然じゃないですか」
屈託なく笑うルカルカに、ルースが肩をすくめてみせる。

「ダリルもありがとう」
「“たんぽぽ頭”の無茶には慣れてる」
ダリルが、ルカルカの金髪をくしゃりとなでた。

「団長、お怪我はありませんでしたか?」
「ああ。君達のおかげだ。
国軍軍人の鑑だな」
団長は、ルカルカ達を称賛するが、真面目な表情で言った。
「だが、私より先に逝ってはならない。
君はシャンバラにとっても……私個人にとっても、必要な人間だ」
「私は、団長を孤独にしないと誓ってるんです。
先に死んだりなんかしませんよ」
ルカルカは、冗談めかしたように言った。

「私は【金鋭峰の剣】なんだから、防ぐだけじゃなくヤッちゃいますよ」
明るく笑うルカルカに、団長も珍しく笑みを浮かべる。
「頼もしいことを言ってくれる。
ぜひ、これからも、ともにシャンバラの平和のため尽力してほしい」
「もちろんです!」
団長に最敬礼したルカルカに、会場から拍手が巻き起こった。

その後、公務は滞りなく進行した。
ルカルカ達は、引き続き、団長に随行し、
国軍総司令の行動がテロなどでは揺らがないということを、示したのであった。