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全学最強決定戦! ~ラストバトル~

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全学最強決定戦! ~ラストバトル~

リアクション

「えーここで参加者が三人となったため、ここからは総当りとなります!
 まず始めは……
 リネン・ロスヴァイセ(りねん・ろすヴぁいせ)ルカルカ・ルー(るかるか・るー)になります!
 それでは、はじめっ!」
 開幕動き出したのはリネン。
 ネーベルグランツを駆り、ルカルカへと一直線。
「この一撃にかけるわ! これで勝負よ!」
 何のためらいもなくネーベルグランツから降りて、
 空中できりもみしながらルカルカに接近。
「フリューネ、技を借りるわ! ロスヴァイセ家の名にかけて!
 ロスヴァイセ流星穿」
 それはフリューネの必殺技。その名前を借りて、共に攻撃する。
 その一撃を受けないわけにはいかないと、ルカルカも武器を構える。
 みるみるうちに二人の距離はなくなり、激突。
 リネン渾身の一撃はルカルカの防御を越えて、その身を貫かんとする。
 だが、一歩、あと一歩が足りずルカルカに手傷を残すだけに終わる。
「いい一撃、私も負けないわっ!」
 創世を振りかざし、思い切り振りかぶってリネンへ攻撃するルカルカ。
 どうにか受けるリネンだが強力な一振り、また技の硬直もあり体が上手くうごかせず、
 いなせることができず吹き飛ばされ、復帰も間に合わず海面へと着水し敗北となった。

 続いては、
 リネン・ロスヴァイセ(りねん・ろすヴぁいせ)紫月 唯斗(しづき・ゆいと)
「ではでは、はじめっ!」
 直後、唯斗の姿が消える。縮界だ。
 さすがのリネンもこれには即応することはできない。
 そう判断し一旦空中へと退避する。
 武器と盾を構えて防御態勢を整え、どうするかを考える。
 だが、そんなことを考える予知すら与えない、とでも言わんばかりに唯斗がリネンへと攻撃を開始。
(まさか、空中でもこの速度とはね……!)
 ファランクスでどうにか唯斗の攻撃を凌ぐリネンだが、
 防戦一方、反撃の糸口がつかめない。
「悪いが、このまま押し切らせてもらう!」
 唯斗の攻撃の手を休めない。打って打って打ちまくる。
 このままではジリ貧で負ける、リネンはそう判断した。
 ならば一か八か、己の勘を信頼し聖剣カエラムを何もない空間へと突き出す。
 だが当たることはない。だがまだだ。
 槍を突き出した方向に唯斗がいないなら、そこ以外を攻撃する。
 伸るか反るかの賭けは、アイオーンのトリガーに込められて、発射された。
 その銃弾は――
「いい勘だが。あと数ミリ足りなんだな」
 唯斗を掠めるだけに終わり、鳩尾に一発強烈なパンチを受けたリネンは、
 意識を闇の底へと落とした。

 最後は、
 ルカルカ・ルー(るかるか・るー)紫月 唯斗(しづき・ゆいと)
 事実上の優勝決定戦
 多くの観客が沸きあがり、全員が総立ちでリングへ視線を注いでいる。
 唯斗は目を瞑り精神を統一させ、ルカルカは観客たちを満足そうに見ていた。
「皆、楽しそうだね。……それじゃ、よろしく」
「ああ。よろしく頼む」
 二人とも礼儀正しいが、その眼光は勝利のみを見ていた。
 いまかいまかと合図を待つ。
「……何か私の方が緊張してきました。
 だけど、それでもやってやります!
 それはで、はじめっ!」
「馬鹿の一つ覚えかもしれんが、いかせてもらう!」
 唯斗の縮界。観客も姿が見えなくてとも沸きあがる。
 対してルカルカも、気を活性化させ加速させることで、目にとまらぬ速さで行動。
 速さはほぼ互角。いや唯斗が上か、いやいやルカルカが上か。
 最早比較することすらできない。何せどちらも目で追えないのだから。
 リングは無人と化していた。しかし、時折走る激しい攻防からなる鬩ぎあいの音。
「……そろそろ決めようじゃないか」
「そうだね! お互いの思いっきり、ぶつけよう!」
 更に苛烈に、鮮烈に二人の攻撃を始まる。
 空間がゆがむのではないかと思われる一撃一撃が、拳を叩き、武器を弾く。
 その刹那、唯斗が明日へと希望を繋ぐ一撃をルカルカへと放つ。
 ルカルカはそれを潜在能力を解放させてどうにか避ける。
「わかってたさ。避けるなんてことは!」
 そう言う唯斗が実体型の分身を四体生み出す奥の手を出す。
 絶体絶命のルカルカ。だがその顔は、不敵に笑っていた。
「わかってたよ。何かしかけてくるってことは!」
 ルカルカが金色のオーラを放つ。
 肉体を巡る全チャクラを開き覚醒する、究極の技「八門遁甲・鳳凰千輪の術」。
 迫り喰らう五人の唯斗へ、それまで以上の速度でもって対応するルカルカ。
 今のルカルカは音を置き去りにしていた。
 そして、四体の分身である唯斗を打ち倒す。
「……奥の手がやられるとはな」
「これでも倒しきれないの……?」
 互いに驚愕する。相手の強さに、惚れ惚れとする。
 そしてこの一撃こそが決着となる。
「……たまにはスキルも何も無しで、ぶん殴るとするか!」
「思いっきり、ありのままに振り下ろすわよ!」
 スキルも何もない、純粋な真っ向からの攻撃。
 互いに最高のスキルを出した。もう出し尽くした。
 ならば最後は高め続けた自身の変哲もない一撃を、何も考えずに相手へと叩きつける。
「はああああっ!!」
「てぇやああっ!!」
 力と力がぶつかり合う。
 最早、どちらが勝ってもおかしくはない。
 その軍配は、果たして。
「……我が一撃、届かず、か」
 そういい残して、唯斗は意識を失った。
「そこまでぇ!
 紫月 唯斗、ダウンです!
 従って、今大会の優勝は!
 ルカルカ・ルー(るかるか・るー)さんとなります!
 皆様、盛大な拍手を――」
 泪に言われるまでもなく、観客たちは惜しみない拍手を送っていた。
 優勝者であるルカルカは気を失った唯斗を持ち上げて、救護班の元へと送った。
 こんな強敵と戦えたこと誇りに思いながら。


 しかーし! 戦いはまだ終わりではない!
「な、なんか私よりテンション高い人がいるような……。
 そんなことはどうでもいいのです!
 皆さん、お忘れになっておりませんよね。
 そう! この大会の最後を飾るのは前大会の優勝者と、今大会の優勝者の戦いです!
 では両者のご紹介です!」
 泪が一拍置く。
「まずは前大会の優勝者にして、目立つことが大好きな元気娘!
 そのスカートの鉄壁の先を見たものには制裁を!?
 蒼空学園から、小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)さんです!」
「今回も負けないよー!」
 観客へウインクを一つかましてやる美羽。
 観客は大喜びだが、コハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)は夫として微妙な心中だった。
 だがそれでも、心の中では「頑張ってね、美羽」とエールを送っていた。
「続いて今大会の優勝者にして、好奇心満載でこちらも元気で明るい女性!
 最終兵器とか呼ばれてるけどか弱いんだぞ、とは本人談!
 シャンバラ教導団から、ルカルカ・ルー(るかるか・るー)さんです!」
「さあ、このまま全勝するよ!」
 右腕を天高く掲げ、観客へとアピールをするルカルカ。
 既にアピ−ルの段階から戦いは始まっているのだ。
 以下観客席から声を一部お聞きいただこう。

――美羽ちゃんかわゆいよー!
――スカートの中を見せてー! むしろ埋まらせてー!
――美羽! 美羽! 美羽!

――ルカルカさん麗しいですわー!
――私の忠誠心をお使い下さい。ただし忠誠心は鼻から出血の形ででるぞ!
――ルーカ! ルーカ! ルーカ!

 完全にコールは真っ二つ。
 変態発言もあるかもしれないが、お祭り騒ぎなのでよしとしよう。
「それではラストバトルのラストバトル!
 悔いのない様に、思いっきりやっちゃってください!
 それでは、はじめっ!!!」
「開幕全開っ!」
 ルカルカが火門遁甲を発動。まずは小手調べ。
 当然、美羽もこれを予測しており飛行翼とバーストダッシュを駆使して回避。
 今度は美羽が反撃をする。
「ちょっとした水鉄砲だから、受けてもらって平気だよ!」
 と言うが、その銃からは超高圧力で押し固められた巨大な水の弾丸が発射されるわけであり、
 被弾すればそれだけで相応のダメージを負う恐ろしい代物だ。
 ちょっとしたというか、どうかした水鉄砲である。
「水遊びはまた今度ねっ!」
 ひょいひょいと攻撃をかわすルカルカが逆に反撃に転じる。
 多少強引にでも接近し、美羽へ差し迫る。
 ある程度接近したところで、意表をつくようにポイントシフトで一瞬のうちに美羽の眼前へ。
 既に創世を振り下ろす体勢だ。
「そんな簡単には喰らわないよっ」
 美羽もまたポイントシフトを使いルカルカから距離を取る。
 同時に水銃を乱射して、ルカルカを追い詰めようとするが、ルカルカは水しぶきで足元を濡らしただけ。
 頻繁に距離を取るような美羽の行動、そして武器が銃な点。
 それらを考えて、ルカルカは接近することを決意し、再度美羽へと向かう。
 美羽は地面へと着地して更に距離を取ろうとするが、ルカルカはそれよりも速い。
「今度こそ捕えた!」
「負けないんだからっ!」
 追いすがるルカルカを見て、美羽がアクセルギアを使用。
 自らの体感時間がトリップしたかのような無敵感。
「決めるよっ!」
 この時を待っていたと言わんばかりの、嵐のような蹴りをルカルカにお見舞いする。
 とんでもない数の蹴りが自分に振ってきている、そう認識はできるものの、
 今更離脱することもできないルカルカは、必死に攻撃を耐える。
 と、ここでアクセルギアの効果が終了。
 ルカルカはここぞとばかりに剣の柄に力を入れて、今度こそ美羽を捕える。
 だが、ルカルカはまったく手ごたえ感じなかった。
 そして知る。今自分が攻撃したのは美羽の幻影であることを。
「いつの間にっ……!」
「蹴りの間にねっ!」
 ルカルカへと、極至近距離から水銃を放つ美羽。
 その攻撃を受けたルカルカはリング端の床へと吹き飛ばされる。
 美羽もまた、ルカルカを追った。
 ルカルカはダメージを追いながらも、向かってくる美羽を見据えてまずは武器を構えなおす。
 が
「きゃっ!?」
 ルカルカが滑る。足元を見れば、自分の足、更にリングまでもが凍っていた。
 美羽の氷術によるものだ。
 バランスを崩したルカルカ、その眼前にはもう美羽がいる。
 ルカルカはバランスを崩しながらも創世を振るう。
 だが力が入りきっていないその攻撃は、
 ディストーティッドフィールドを施していた美羽に軸をずらされ決定打にはならない。
「これでおわりだよっ!」
 先ほどの攻撃で傷を負いながらも、一切の躊躇いなく、
 鉄壁のスカートから覗く足から、蹴りの乱舞、そしてその最後に思い切り力を込めた回し蹴りを入れる。
 その蹴りをあびたルカルカは海へと一直線。
 必死に体勢を立て直し、翼を動かそうとして復帰を図るが、間に合わず、
 ルカルカは海面へと着水した。
「そこまでっ!
 まさかそんな手があるとは……。
 と、ともかく勝敗は決しました!
 エキシビジョンマッチ、勝者は――
 小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)さんです!」
「いえーい! 皆、勝ったよー!」
 美羽が360度にいる観客たちへ手を振りまくる。
 観客は美羽を称える一方で、ルカルカも称えていた。
「まさかそんな手でくるとはねー……。
 でも、うん。とっても素敵な闘いだった!」
 ルカルカが空を飛び、美羽と一緒になって観客に手を降り始めた。