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リアクション
澄んだ青空が広がり、少しだけ冷たい空気が会場を包む。けれども、2月だというのに式場の中は温かい空気に満ちあふれていた。
今日執り行われる結婚式に参列しに来た者、バレンタインのデートとして訪れた者と様々だが、仲睦まじい様子があちらこちらで見られる。ここ、ヴァイシャリーのエリアでは、ガーデン挙式を行うため邸宅内にいくつかの空き部屋があるため、少人数でのブーケ制作が行われている。
他のエリアでも同じように、ドレスの試着やウォーキング、プロポーズプランのランチやディナーと見学スペースを設けるために体験企画は少人数で分散されているようだ。
もちろん、理由はそれだけじゃない。折角の恋人同士のお祭りなのだから、2人でゆったりとした時間を過ごして貰えるように少人数にもしてあるのだ。
アルフレート・シャリオヴァルト(あるふれーと・しゃりおう゛ぁると)とテオディス・ハルムート(ておでぃす・はるむーと)は、地球の結婚式に興味があるというテオディスのため、結婚式に使われる小物を身近に感じられるセンスアップ体験へ参加することにした。ブーケを作ることにした2人は、花を扱うときの注意点を聞き早速作ってみるが、意外にも力仕事であることを知り無理をせずのんびりと進めていた。
「ブーケというから単なる花束かと思ったが……ワイヤーを巻いたりテープを巻いたり忙しいな」
絵画のセンスが無いテオディスだが、指導に従い組み立てる手際は見事な物で、茎と相性の良いワイヤーを選んだり花材が抜けないようにしっかり巻いていくのはアルフレートよりも早かった。
「……なかなか良い出来じゃないか。それなら……テーピングもしやすそうだな」
焦ることなく自分の分を1つ1つ丁寧に作り上げるアルフレートを見て、ふとテオディスは提案する。
「折角作るんだ、他の物も体験していかないか」
「……他の物?」
ちょっとしたティアラやコサージュなどのアクセサリーも作れそうだが、そういくつも作る時間は無いだろう。そう不思議そうな顔をする彼女の前で、テーピング前の花たちを束にしてみせ、バランスを見て見る。
「完成したら、これを持って歩いて欲しいんだ」
「ああ、ウォーキング……とかもあったな」
頭を動かさず背筋を正してお淑やかに歩く。普段見られることを気にして歩くこともないし、テオディスが楽しみにしているのならと口元だけ微笑みを浮かべる。
「いいぞ。……完成したら、だからな」
その約束に含みがあることも気付かないで、アルフレートは作業を続ける。そしてテオディスは約束を取り付けたことで、彼女がブーケを持ち歩いている姿を思い描きながら、丁寧に作り上げていくのだった。
そわそわと落ち着かない様子の皇祁 黎(すめらぎ・れい)は、ブーケを作る為に花を切りそろえるのも一苦労だった。ただでさえ指先が器用な方ではないのに、飛鳥 誓夜(あすか・せいや)へ告白するぞと意気込んでいるから緊張して手元が余計に狂ってしまうのだろう。
「う…………」
切ってく端から花びらを散らし、花が崩れないと思ったら茎が裂け。いつまでたっても先に進めず隣にいる誓夜の手元を見て参考にしようと思ったら、彼はすでに花を切りそろえワイヤリングも終わりテーピングに入ろうとしているところだった。
「な、なんで俺がまだ出来ていないのに誓夜は……」
これじゃあ、ブーケを完成させるのはいつになるかわからない。折角決心してブーケ作りに参加したのに、これでは完成どころか雰囲気作りも危ういのではないだろうか。
(これが出来たら……伝えたいことがあったのにな)
はぁ、と小さな溜め息が聞こえてきて、誓夜は黎の手元を見た。
「可愛らしく切れてるね、1つ貰ってもいい?」
「うにゅう……」
そんな失敗したものなんて見ないで欲しい。しょんぼりと耳を垂らして短く切りすぎてしまった花がどうなるのかと見ていれば、それは誓夜の手によってブローチへとアレンジされた。
「ほら、可愛い。ブーケと同じ生花をアクセサリーに出来たら素敵だよね」
自分にとっては失敗作だと思った花も、捨てられることなくワイヤーでアレンジされる。いつだったか、こんな風に助けてもらったことがあったかもしれない。
(あの時も居場所を無くしたと思っていた俺を、誓夜は助けてくれた。それは、ずっと変わらないと思っても良いのだろうか)
いつもさりげない優しさで包んでくれるけれど、これ以上負担をかけてはいけないと素直に甘えることが出来なかった。でも、この優しさは困っている誰かに与えられる物じゃなくて自分だけの物だとしたら。ブローチを手にとって、黎は微笑む。
「失敗を怖がっていれば、何も作りだせないな」
それは、ブーケのこととも伝えようとしていることにも取れて、誓夜は見守るように微笑んでいるのだった。
プレゼントのためにブーケを作る神和 綺人(かんなぎ・あやと)は、クリス・ローゼン(くりす・ろーぜん)と和やかに作業を進めていた。近々兄は神前結婚式をするが、どうやら相手は西洋式の物に憧れているらしく、それならば「結婚前に集まってちょっとしたパーティーしよう」ということに。そのときにブーケを渡して気分だけでも味わって貰えればと思って参加してみれば、見本の中には和装スタイルに合わせたブーケもあり、迷ったあげく2人で手分けして1つずつ作ることにした。
「それにしても、ブーケにもこんなに種類があったんだね。投げる物ってイメージが強かったけど……」
そう綺人が呟きながら作るのは、リースブーケ。花をぐるりと輪状に繋げている形が、二人の永遠の愛をイメージさせる穏やかなブーケで、兄たち2人幸せな生活がいつまでも続くことを願いを込めるために選んでみた。他にも、ラウンドブーケにトスブーケ、バッグブーケなどまであって、どれを作ろうか悩んだくらいだ。
クリスが挑戦しているのは、直径15cmほどの手毬風ブーケ。さすがに今日作った分を当日渡すことは出来ないだろうが、組紐を手に掛けて持つこれならば和装でもプレゼント出来そうだ。悪戦苦闘している様子を見ると、やはり鞠状に仕上げるのは難しいらしく、ダメだったら金扇子に和風の花をあしらった簡単な物にしようかも思う。
(……母さんも、皆みたいに結婚式挙げたかったのかな……)
式場に来ている幸せそうな恋人たちや、真剣に取り組んでいるクリスの様子を見れば、女の子にとってはやっぱり憧れなのかなと思う。
「やっぱりクリスも結婚式に憧れる?」
つい口から飛び出してしまった言葉に、クリスは驚いたように肩を跳ねさせた。
「え!? あ、アヤどうしたんですか。私がそんな、夢みたいな……」
これを持って、綺人の隣に立てたなら……そんな想いを見抜かれてしまったのだろうかと、慌てふためいて否定しようとする。けれど、何の気なしに尋ねた綺人には女の子らしい夢を持っていることが恥ずかしいように見えたようだ。
「夢を持つってことは……結婚したい相手とかいるのかな?」
わかりやすいくらいに固まって、しどろもどろになるクリスに少し気まずくなってしまう。
(……そっか、クリスは好きな人……いるんだ)
それ以上その話に触れたくはなくて、けれど自分が振ってしまった手前誤魔化すのも良い案が浮かばなくて。綺人は静かに作業を続けた。
「あの、大切な……方はいます。結婚とかは、まだ全然考えられるような間柄では無いのですが」
ポツリポツリと話すクリスを無言で見つめ、何かを決意したように拳を握りしめた。
「ねぇクリス。このエリアではガーデン挙式をやってるんだって。間に合ったら少し見学に行こうか?」
もちろん綺人に好意を寄せているクリスが彼の誘いを断る理由は無くて、喜んで返事を返すのだった。
そして、一足早くブーケを完成させたアルフレートとテオディスは、別室で行われているドレスの試着コーナーを訪れていた。
「……こんなこと、予想すらしていなかった……」
歩くだけと思っていたアルフレートは軽々しく承諾したことを、ほんの少しだけ後悔していた。まさか、歩くついでだと言わんばかりにドレスを着る羽目になるとは思わず。渋々了承したものの試着室から中々出ることが出来なかった。
(私がこういうのを着ても、似合わないと思うのだが……テオのヤツがしつこいから、だな……仕方無く)
着慣れない可愛らしい服に恥ずかしさが込み上げて心の中で言い訳してみるが、いつまでも引きこもっているわけにもいかないので、静かにドアを開ける。
「……着てみたが……これで、その……良いのか?」
背が高く細身な彼女ならどんなドレスでも着こなせるだろうとスタッフがいくつか見立ててくれた中で、テオディスが気に入ったのはホールターネックの身頃にビーズのトリミングをしたシンプルなトップと、ボリュームと透明感のあるスカートが印象的なドレス。ブライダルインナーで上半身にもボリューム感を出しており、女性らしいラインが美しく栄え、オーガンジーをふんだんに使用したスカートは、ボリュームはあっても軽やかでアルフレートにぴったりだと思ったのだ。
「たまには、そういうのもいいだろう?」
作り終えたブーケは、このドレスを着るとわかっていたかのようにピッタリはまり、そこらの花嫁に引けを取らない美しさだとテオディスは笑う。やっぱりそれに慣れないアルフレートは、いつも以上にそっけない切り返しをしてしまうのだが、貴重な経験をさせてくれたことに対しては礼を言ってやってもいいかと思うのだった。
その頃、オランダのエリアでも試着室は大賑わいだった。
ターラ・ラプティス(たーら・らぷてぃす)は自らがシンディ・ガネス(しんでぃ・がねす)にウェディングドレスが着て欲しいと頼んで連れてきたにも関わらず、ジェイク・コールソン(じぇいく・こーるそん)と一緒に待つのも飽きたのか、他のセンスアップ体験も面白そうだと出かけてしまった。楽しそうな彼女を引き止めることは出来ず、かと言って「シンディをよろしくね」と微笑まれては一緒に行くとも言い出せず、ジェイクは1人待合室のティーサロンで溜め息を吐いていた。
(今頃ターラは大丈夫だろうか……面白そうなことには首を突っ込むし、変なヤツに絡まれてなけりゃいいんだけど)
追いかけたい気持ちと頼まれたことを放り出せないという使命感の板挟みにあっていると、葉月 ショウ(はづき・しょう)がシンプルなタキシードを着てやってきた。ここを訪れている人はそういう体験にきているので普通なのだが、付き添いのジェイクは私服のままなので、逆にショウから変わった目で見られた。
「あれ、着替えないのか?」
「……俺は付き添いだ、その予定はない」
ターラが着るのなら着替えたかもしれないが、と心の中で呟くと彼も1人で相手を待つのは手持ちぶさたなのだろう、近くの席に腰掛けて軽く自己紹介をしてきた。そうして、男2人他愛もない話をしていると――
「何やってるのよっ!!」
部屋の外から大きな声が聞こえてくる。何事かと2人が廊下に飛び出せば、タキシードを着た風祭 隼人(かざまつり・はやと)が葉月 アクア(はづき・あくあ)とシンディの近くで足を抱えて飛び上がりながら、廊下の端へと移動していった。
当然の報いだとでも言いたげにアイナ・クラリアス(あいな・くらりあす)が彼に一瞥くれてやると、女性陣に向き直った。
「ごめんね、大丈夫だった? あの人、女の子を見付けると本っ当に見境ないから……」
ちらり、ともう1度見れば同情した男性陣が怪我の具合を心配している様子が見えて、少しくらい放っておけばいいのにと隼人に向かって舌を出す。
「私たちは大丈夫です、本当に挨拶をしていただけですから」
隣にいたシンディも同意するように頷いて、アイナは満面の笑みを浮かべる。
「良かったぁ。花嫁さんが、あの色ボケ隼人の餌食にでもなっちゃったら花婿さんたちに申し訳ないもんね」
サラッと言われた言葉に、4人は顔を見合わせる。ショウとアクアは付き合いだして間もないし、ジェイクとシンディは同じパートナーと契約する仲間同士。そんなことを言われれば恥ずかしくなって、どう返していいものかわからない。
「あれ、違った?」
「ち、違わなくなればいいなって思うけれど、まだ先の話だと思うし、可愛い結婚式をやりたいなぁとか考えて無いですよ」
慌てて否定したいのか肯定したいのかよく分からなくなっているアクアは、剣の花嫁用の純白のドレスを着ることがあるからか今回選んだのはオフホワイトなオーガンジーのフリルと、所々についたお花がちらちらと見える可愛らしいウエディングドレス。チューブトップのようなデザインだが、胸元のフリルは控えめに、スカートに行くほど大きくなっているおかげで大きな胸もそれほど強調されずキュートに纏まっていて、憧れの結婚式を思い描いて選んだのだろうことが伺える。
そうして、彼女がアイナに捕まっている間、シンディは見あたらない人影を探してジェイクに近づいた。
「ジェイク、ターラはどうしたの?」
「……えっ? あ、あぁそれが、他の所を見て回るって出かけちゃって……」
いつもは戦士系な装いで特に女の子として意識したことの無かったシンディが女性らしい格好をしたことで戸惑いを隠せないジェイクは、少し緊張した様子で質問に答えた。すると、シンディは少し驚いた顔をして、ターラなら「だって面白そうだったんだも〜ん☆」と悪びれもせず笑うのだろうということが安易に想像がついて苦笑した。
「自分で言っておいて、待てなかったのね……」
暫くこのままでいないと、戻って来たときに拗ねるだろうかと考える。そんな様子を言葉もなく見つめているジェイクは、露わになっている肩が剣を振り回す割に細いこと、胸元はターラほどのボリュームはないけれど、そこを飾るレースにすっきりしたウエスト、裾からのぞくチュールがボディラインを美しく見せていて女の子なんだと思うには十分だった。
(いや、さすがに男だと思ってたとか、そういうことじゃないけど……)
タッキングを施したアシンメントリーなスカートがスタイリッシュなアイボリーのウエディングドレス。それは共に戦う仲間じゃなくて、気を抜けば可愛いと口にしてしまいそうで。
「あ、うん……に、似合うと思うよ」
ふと比べてしまったターラの顔が横切って、その言葉を飲み込み代わりの言葉を口にする。けれど、自分にそんなことを言ってくれた人を亡くしてからは異性に言われる機会などなかったシンディは、まるで初めて言われた褒め言葉のように恥ずかしく思えて、ジェイクの背を向けてしまった。
「あ、ありがと……」
なんとなく、このままじっとしているのも恥ずかしくて、2人はゆっくりと散策に出かけることにした。
そして、アクアに見惚れていたショウはと言えば、彼女のように口に出さないだけで彼もまた幸せな考えを巡らせていた。
(いつか、剣の花嫁から俺の花嫁に……って俺はなにをあほな事を……うん悪くは無いけどな)
うんうん、と力強く頷いていると復活した隼人にポンっと叩かれた。
「いいよなぁ。やっぱり彼女にするなら、淑やかさとか女性のたしなみを身につけた子だよな」
「……アクは渡さないぞ」
少しムッとした顔で振り払うと、隼人は人の物に手を出す趣味は無いと言いたげに降参のポーズで苦笑しだして、からかわれたと思いながらもショウは楽しげに話すアクアを呼びに行った。
「ほら、今からウォーキングとか一通り流れ体験するんだろ? 行くぞ」
「待ってよショウ! じゃあアイナさん、またどこかで会ったらよろしくお願いします」
仲良く寄り添う2人を見届け、いつのまにか廊下には2人きりになっていたことに気付くと、アイナはまだ少し不機嫌なのか隼人の前で立ち止まると、どうだと言わんばかりに一回りして見せた。
パールのストラップが付いたタッキングが可愛らしいふんわりしたイメージのドレスには、無数のバラが散らされて可愛さの中に上品さをプラスしている。程よいドレーンが花嫁らしくもあるのだが、踏まれた足を思い返せばめかし込んでもがさつな性格は治らないのか、と溜め息も吐きたくなる。
「……似合うかな?」
照れ笑いを浮かべる彼女を、可愛くないとは思わない。顔も整っている方だし、ドレスは十分に着こなしているだろう。
「そうだな、人の足さえ踏まなければ可愛いんじゃないか?」
「それは隼人がアクアたちをナンパしようとしてたからじゃない!」
「じゃあ、口さえ閉じてれば。アイナは元気過ぎるんだ」
馬子にも衣装とは言ったものだな、と笑っているとアイナからの反論が無いことに気付く。がさつとは言え女の子、もしかして傷つけてしまったのかと彼女を見れば、憂い顔を浮かべている。
「おい……」
「ごめんなさい、無理に付き合わせて……」
1歩近づいて、両手を胸元で組み懇願するように顔を上げる。確かにお淑やかにしろとは言ったが、急な変貌に隼人の方がついて行けずオロオロするばかりだ。
「――なんて、言うわけない、でしょっ!」
「ぐっ!?」
ぎゅうぅっと隼人のネクタイを締め上げ、そのまま引きずるように記念写真の撮影場所へ向かうアイナ。
「そんな女の子は、色ボケ隼人の相手が務まるわけないじゃない。人のことを言う前に、隼人が変わりなさいよ」
折角ヘアメイクまでしてもらってガラリと雰囲気を変えてみたのに驚いて貰えなかったことに腹をたてたアイナの機嫌をとることに必死で、折角着飾った女性の多い会場だと言うのに目移りすることも叶わず、隼人はやはり恋人たちの日に独り身はロクなことがないと落ち込むのだった。
そして、ウォーキングレッスンに向かったショウとアクアは、ガランとした教会の中で祭壇まで歩み進めていた。
「で、ここで誓いの言葉とか言うわけか」
その昔、女王陛下が住んでいたという宮殿を再現した邸宅の一部にあるこの教会も例外なく天井が高く、大きな十字架を見上げているとアクアが後ろを振り返った。
「……でも、体験とはいえ参列者がいないのは少し寂しいね」
時折見学者らしきカップルが覗く程度で、大抵は庭園で行う挙式の見学をしようと出払っているため椅子に腰掛けて行く人はいない。
「いた方がいいか?」
自分としては恥ずかしいので居ない方がいいけれど、体験したいと言うくらいだから本物のように祝福されたりしたかったのだろうか。そう思って声をかければ、アクアはしっかりと腕に抱きついて来た。
「ううん、それは本番にとっておく。そのときも、隣にいてくれるよね?」
「……当たり前だろ」
再確認をすればなんだか恥ずかしくて、見学者が誰も居ないことを確認すると、ショウはふとアクアに同じ質問を返す。
「汝、葉月 アクアは、俺、葉月 ショウの花嫁として、将来結婚式をすることを誓いますか?」
結婚式の雰囲気を味わいたいと言った自分に合わせてくれているのだろうが、顔を赤くして尋ねるショウに嬉しくなってアクアも照れながら答える。
「――誓いますっ」
まだどういうものかしっかりと意識したわけではないけれど、この人とずっと一緒に、幸せに暮らせたらと願う延長線上にそれがあるのだとしたら、この誓いを違えることは無いだろう。そっと触れるだけのキスをして、2人は幸せそうに笑いあうのだった。
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