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まほろば大奥譚 第三回/全四回

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まほろば大奥譚 第三回/全四回

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第九章 マホロバ門外ノ変

 マホロバ国内の情勢が不安定となる中、それをいっそう拍車をかけるように城下ではビラが撒かれていた。
 役人達はビラをかき集めたり、シャンバラを非難する立て札を引き抜いている。
 獣人羽皇 冴王(うおう・さおう)が手下を使って吹聴していた。
「シャンバラの連中がマホロバを好き勝手しようと手を引いてる黒幕は、葦原明倫館総奉行{SNM9998935#ハイナ・ウィルソン}様ときたもんだ。総奉行はマホロバを売る気だね!」
 そう言っては無弦は、城下人にハイナの名を出して金品を要求していた。
「だって、仕方ねえだろ? 総奉行は亜米利加さんなんだから、マホロバを金づるにしか考えてねえよ。金出さなきゃ、攻めくるかも知れねえなあ」
 マホロバ城に仕える家臣の屋敷には、両ノ面 悪路(りょうのめん・あくろ)戦ヶ原 無弦(いくさがはら・むげん)の姿がたびたび目撃されていた。
「葦原と繋がっている米軍と天御柱学院がマホロバを侵略しようとしているのですよ。マホロバの誇りである鬼鎧を横流しているのがその証拠。マホロバ人として、許すことができましょうか?」
 マホロバ人の悪路はまた、事実上そうさせてしまっている幕府も批判していた。
「今の幕府にマホロバを治める資格無し。この混乱は幕府に責があります」
「やれやれ、また戦かのう。今度はどれだけの血が流されるやら……」
 無弦は街中で民の不安をあおっていた。
 マホロバ内で戦の噂が絶えなくなってきている。


「日数谷、今何を考えておる」
 瑞穂藩士と共に、三道 六黒(みどう・むくろ)は仲間の城下の動きに合わせ、出兵の準備に追われている。
「何に替えても守りたいものがあるなら、実行すれば良い。目的を未だ見失わぬならな」 現示はこのところ、考え込むことが多くなっている。
「説教ならきかねえよ」
「説教ではない。おぬし自身が気付かぬ真の目的のことを言っている。取り返しのつかぬ一歩を歩ませることになると」
 現示は六黒の言葉の真意を探ろうとしている。
「六黒先生はどうして俺に、瑞穂に付こうと思ったんだ」
「気に入らんからだ。この上っ面な世の中が」
「なんだ、俺と同じじゃねえか」
「それに、わしはおぬしの執念が気に入った。せいぜい壊れるまで足掻き、戦い、生き続けろ」
 六黒が四の五を言わず、常に己の価値観と考えで不言実行するのを、現示は好ましく思っていた。
「ああ、善人面する奴が世の中を動かすときは、大抵気持ち悪い方向にしかいかねえもんだ。あんたもなんか考えがあるんだろうけど、悪党だろうと何だろうと、そのままがいいぜ」

卍卍卍


 早朝未明。 
 その日は朝から雪が降っていた。
 まだ薄暗い中、マホロバ城に登城する駕籠がある。
 楠山大老の駕籠であった。
 通常は四つ時(午前10時ごろ)登城するのが一般的だが、大老は仕事熱心であり、夜が明けきらないうちから執務を行うことがあった。
 雪はかなり降っている。
 護衛は雨合羽を羽織り、刀の柄には袋をかけていた。
 彼らは視界の悪い中、足早に進んでいたが、目の前には大きな荷車が立ち往生している。
 そこで不意に行列の供頭に近づいた人影があった。
「なんだ女か……」
 前衛にいた侍が口にするや否や、その人影――久坂 玄瑞(くさか・げんずい)は刀を相手に抜いた。
「瑞穂藩脱藩浪士、津島保容でござる!エリュシオン帝国に代わり、楠山大老の御命頂戴仕る!」
 玄瑞は名前も肩書きも偽り、駕籠に襲いかかった。
「鬼の力……発揮させてもらうぞ!」
 同じくマホロバ人御壇多 ギン衡(ごたんだの・ぎんちか)は荷車からやおら立ち上がると、巨大な体躯へと変貌した。
 彼は他の護衛を押しのける。
 驚いた護衛は一斉に反撃に出ようとしたが、咄嗟に抜刀できなかった。
 彼らは鞘で抵抗したり、素手で刀を掴んでいた。
 突然、仲間に引き入れていたはずの反幕府派脱藩浪士が銃声を放つ。
 銃弾は駕籠に向かい、中にいた大老に直撃した。
 籠の中からはうめき声が聞こえ、驚いた駕籠かきは遁走した。
 駕籠は動かすことができず、歯止めもきかない刀が次々に突き立てられている。
「雪が……赤い」
 オルレアーヌは雪が舞い散る中、赤く染まっていくそれらを眺めていた。
「睦姫様……これで貴女を解放できるでしょうか……」
 白い雪は彼女の問いかけには答えない。
 ただ鮮血の赤だけが、それを証明していた。
 大老はこうしてマホロバの門外で暗殺された。

卍卍卍


 この事件は、幕府と瑞穂藩の間柄を急速に悪化させた。
 藩主を殺された楠山藩邸では瑞穂藩への制裁を求める声が強く上がり、それは幕府内の家臣たちも間にも広がっていた。
 実行犯を捜し出し斬首するべしとし、幕府は瑞穂に対する挙兵することを早々に決めていた。
 このマホロバでの内紛を幽閉中の将軍や葦原明倫館の力で簡単に止められるものではなかった。


「二千五百年前のように、力づくで奪い取らなきゃいけねえみてえだな」
 現示たち瑞穂藩急進派は、将軍家の兵と一戦交える決意を固めていた。
「瑞穂が幕府に取って代わり、天子様を奉る!」


 二千五百年の時を越えて、再び両者が相まみえようとしていた……。


担当マスターより

▼担当マスター

かの

▼マスターコメント

 こんにちは、「かの」です。
 まほろば大奥譚 第三回、ご参加いただいきありがとうございます。

 今回はアクションによりマホロバ情勢の変化が激しくなっています。
 情報量もかなり多いのでアクションをかける際には一度整理してみてくださいね。
 最終回となりますので、今後のマホロバにも影響があります。
 先々を見据えた上でのアクションをお願いします。

 貞継と交わりを持った女性キャラクターは托卵されたか否か、出産するか否かを次回アクションに記入してください。
 ゲーム時間内において約一ヶ月後に出産となります。また、托卵者は捧げる身体の一部を指定してください。
 托卵による出産は、このシナリオのおいてのみ身体的ペナルティを負います。
※これらは、特に指定がなかったときは、マスターの方で判定します。
※ペナルティはシステム上キャラクターデータには反映されてませんが、このシナリオに参加される方は私の方でチェックを入れてます。
※托卵者は所属が葦原明倫館生に限ります。その他の学校生は寵愛のみの対象となります。
※(追加)托卵以外の普通の妊娠・出産も可能です。その場合『天鬼神の血』によるリスクや『力』がない代わりに、将軍継承権もありません。システムの関係で年齢設定などの問題はありますが、LC登録は可能です。
※(追加)将軍継承権のある子供は現時点ではNPC扱いとなっているため、今のところLC登録はできません。ご了承ください。


 いよいよ最終回。
 第四回のシナリオガイド発表は12月1日(水)の予定です。
 年末進行により、スケジュールがかつかつで申し訳ありません。
 みなさまの悔いのないアクションお待ちしています。
 それでは、またお会いいたしましょう。

※年末にイベントシナリオをやりたいと思っています!
 詳しくは未定ですが、12月中旬から下旬にかけてシナリオガイドを発表したいなと思っています。
 よろしくお願いいたします。


【NPC一覧】
鬼城貞継(きじょうさだつぐ)……マホロバ将軍
房姫(ふさひめ)……葦原藩姫
睦姫(ちかひめ)……瑞穂藩姫

ハイナ・ウィルソン……葦原明倫館総奉行(=校長)。房姫のパートナー
ティファニー……葦原葦原明倫館・分校長 大奥入り
楠山……大老
御糸……大奥総取締役

白之丞(はくのじょう)……貞継と(SFM0033439)樹龍院 白姫の子
穂高(ほだか)……貞継と(SFM0034290)ファトラ・シャクティモーネの子
雪千架(ゆきちか)……貞継と睦姫の子


日数谷現示(ひかずやげんじ)……瑞穂藩士
瑞穂弘道館分校……葦原明倫館分校と同じで、マホロバ内作られた瑞穂藩分校

漆刃羅シオメン(うるしばらしおめん)……エリュシオン帰りの龍騎士

【付録】
●大奥内部構造
マホロバ城……表、中奥、大奥の三つの空間に分かれる。
表は職務など行う公的な場所、中奥は将軍の居住空間、大奥は将軍に仕える女性たちの居住空間
根の口……中奥との通用門
花の実……将軍が大奥で過ごす場所
繭の間……寵愛を望む女官の住まい
広敷……大奥の入口部分で、警備・事務の男性役人の詰所

緑水の間……房姫の部屋
紫光の間……睦姫の部屋

●大奥の身分
大奥取締役(おおおくとりしまりやく)……大奥を取り仕切る女官の最高権力者
御花実(おはなみ)……将軍や姫の世話役。大奥取締役から選ばれた娘たち。将軍はこの中から手をつける。手付けとなったのもは他の女官から嫉妬や皮肉から御花実様と呼ばれる
御繭(おまゆ)……御膳の用意や献上品の管理、対面所の掃除などを担当する。ここから御花実様になる者もいる
御根口(おねくち)……大奥の出入り口である錠の管理を担当

●大奥の男性
役人……警護や事務で広敷にいるが中には入れない(老中や上級官吏は入れる)
警護……大奥周辺や庭を警護するが中には入れない
医者……奥医師として大奥に入って診察を行う
雑用係……上級女官に雇われた使用人。勝手口までで奥には入れない
その他、上級女官の親類や九歳以下の男児は特別に許される

●表、中奥
御従人……将軍の警護など行う親衛隊

●東光大慈院……マホロバ城から東に少し離れた将軍家の菩提寺。療養などにも使用される