リアクション
卍卍卍 一仕事を終えた遊女たちは、ようやく自分の寝床で睡眠をとることができる。 やがて昼前に起きだし、風呂や身なりを整え、午後からの見世に並ぶ。 暁仄も起きだして、胡蝶と海蜘が話し込んでいるのを見た。 「じゃあ、あの客に決めたんだね。身請けまでも?」 「あんな大金つまれちゃあねえ、断る理由もなし。いいんだね、胡蝶」と、海蜘。 ティファニーは小さく頷いている。 暁仄は残念そうな顔をして見せた。 「……アタシはお前が『竜胆屋』の看板をしょってくれるかと思ったのにねえ」 「暁仄姐サン……ミーは……」 ティファニーは言いかけて、黙り込んだ。 海蜘は巻紙を見てくれと暁仄の前に広げる。 ロザリンド・セリナ(ろざりんど・せりな)のパートナーテレサ・エーメンス(てれさ・えーめんす)が持ってきたものだ。 「100万G置いてったお嬢様の御使いっていう娘が来たんで、さっき話をつけたよ。遊女として使えないものや病気持ち、遊郭の禁を破った厄介者を押し付けてやったさ」 「じゃあ、ほかの者は残るんだね?」 「当たり前だろう。うちは太夫をだすような大見世じゃないが、初代将軍様が幕府を開いた頃からこの商売やってんだよ。突然やって来た外国連中に、つぶさせるもんかい。廓(くるわ)は遊女が全て。この大金も新しい娘を買ってくる金になるだけさ」 海蜘は胸を張ってそう答えた。 |
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