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リアクション
■□■7■□■ ノーブルジャスティス!
金属のぶつかる音がして、アルバ・フレスカのハサミが受け止められる。
「クリスティーさん!?」
静香が駆け寄るが、クリスティーは無事だった。
アルバ・フレスカを止めたのは、仮面をかぶった
真口 悠希(まぐち・ゆき)だった。
「宦官になりたくない人を無理矢理なんて……間違っているっ!」
「な……」
アルバ・フレスカが後ずさる。
「ボクが代わりに十嬢侍のリーダーになります
そして……生まれてくる子ども達を初め
皆が幸せになれる世界へ導いてみせる……!」
悠希は、別世界で十嬢侍となり、
かつて訪れた未来のような「仮面のユーキー」になると決意していたのだった。
(悠希……自分も愛した人と子どもを作りたかった筈なのに
静香や皆の為、その望みを捨てて……)
カレイジャス アフェクシャナト(かれいじゃす・あふぇくしゃなと)が、その様子を見守る。
【自分の科学の発明で仮面のユーキーや民を幸せにする】のが夢の、
優しい小ラズィーヤ。
科学者としての勉強で、失敗もするけれど、
優しく厳しい教育係のユーキーとは、
幸せな日々を送っている。
「十嬢侍のリーダーですって!?
そんなこと許されるわけが!」
「許されないのはおまえだ!」
エヴァルト・マルトリッツ(えう゛ぁると・まるとりっつ)が、
アクセルギアを全開にして、
アルバ・フレスカにハイキックを叩き込む。
別の次元に飛ばれてしまう前に、決着をつけるための猛攻だった。
「うあっ」
「過去の栄光にすがるだけなら構わんが、
それを現在にまで持ち込むことは阻止させてもらう!
どうせシャンバラを己の意のままに支配しようというのだろう!」
エヴァルトの厳しい問いに、アルバ・フレスカが反論する。
「違います!
ボクは、静香校長が完璧な男の娘だから宦官になってほしいだけです!」
その時。
「選定鋏」が一閃して、アルバ・フレスカの角を落とした。
「予備のつけ角をまたつけていたとはね」
「か、【仮面雄狩る】!」
仮面をつけた、リカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)であった。
「本物の宦官であったことには素直に敗北を認めようアルバ、否張譲君。
けれどこれではっきりしたこともある。
私にとって決して宦官=男の娘ではない、
しかし君にとってはそれが絶対条件なのだという超えられない壁があると。
はっきり言おう、私は男の娘など求めてはいない、
むしろ欲望を隠そうともしないぐらいの方が都合がいいのだよ。
その猛々しさを呪われし行程によって方向転換してこそ
歴史に名を残す宦官が生まれる……違うかな?」
「たしかに、認識の相違ですね」
アルバ・フレスカが、もう片方の角を捨てる。
「故に!
真なる宦官を求むために!
私は君に挑戦する。
フフ、安心したまえ。
前回言ったように君にはまだ大事なものが残っている。
その髪をきれいさっぱり切り落とし、
国家神でもある女王に使える身になることは理屈として何も間違ってはいないのだから」
「はい?」
リカインは微妙に東洋の思想が頭の中でごちゃまぜになっているらしかった。
「さあ、宦官、英霊に続く第4の人生を歩むといい!」
「って、ぎゃあああああああああ!?」
リカインが、アルバ・フレスカの髪を切り落とそうと迫る。
「ふふふ、別にオマタゲ・ソルデス的な何かでも……」
「なっ、そんなことに何の意味が!?
こうなったら、時空を操る力で大爆発を起こしてやります!」
★☆★
時空が歪み始めた。
「って、アルバ・フレスカ!
反則すぎだろう!」
エヴァルトが突っ込む。
「オマタゲ・ソルデス!?
そうだ! ヘルジャッジメントだ!」
「何言ってるんだポシブル!?
……まさか!」
ポシブルと小ラズィーヤは、
桐生 円(きりゅう・まどか)の遺伝子提供で、
巨大化属性を身につけていたことを気づく。
「今、このアルバ・フレスカによって歪められた時空であれば、
小ラズィーヤとプロフェッサーは、
あらゆるパラレルワールドで得た能力を使えるはずなんだよ!」
「ノーブルジャスティスッ!」
掛け声とともに、小ラズィーヤは巨大化した。
「さあ、私が素手で時空のゆがみを押さえてる間に!」
「ポシブルちゃんよく気づいたです!」
ヴァーナーは、小ラズィーヤとして扱っているポシブルの頭をなでてハグちゅーする。
「そう、プロフェッサーはえらいのダ!」
しかし、クリスティーは。
「これで終わりなはずが……」
と、ポシブルを警戒していた。
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