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魔女が目覚める黄昏-ウタカタ-(第1回/全3回)

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魔女が目覚める黄昏-ウタカタ-(第1回/全3回)

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■ エンディング

 ヤグルシがセテカであることに心底から驚き、戦意を喪失している間に、セテカはカイやその配下の忍者たちを連れて姿を消していた。気絶していた忍者たちも運び去られている。
 広目天王は動けない玄秀とハリールを交換し、オイレで飛び去った。
「セテカ、どうして…。理解できないよ…」
「美羽」
 コハクがいたわるように声をかける。
「コハク、どうしよう? こんなこと、とてもバァルに報告できないよ…」
 美羽は力なくうなだれ、コハクの胸に額を押しつけた。




 そして北カフカス山では。
(――ええっ?)
 祥子がたった今目撃したことに息を飲んでいた。
「お姉ちゃん、来るよ。隠れて」
 義弘の言葉に無意識的に従って、岩陰に身をひそめる。
 その人物は祥子の前を通りすぎ、洞窟の出口へと向かう。出る直前、振り返り、つぶやいた。
「悪いな。あんたに直接の恨みはない。だが、あんたに目覚められると困るんだ」
 オズトゥルクは眠る女性が閉じ込められたクリスタルの周囲の岩壁に、今しがた自分で入れた亀裂に長く視線をとどめたのち。
 ゆっくりと背を向け、その場を立ち去った。
「これはどういうことなの? まさかこれが最初から彼の目的だったってこと?」
 あとに残ったのは、呆然とつぶやく祥子だけだった。



 また、首都アガデ、領主の居城では。
「ええっ? 本当なの?」
 フェイミィからの報告に、リネンは驚かずにいられなかった。
「ああ。リージュが見たそうだ。セテカは休暇に入る前にエンヘドゥへ手紙を出している
 これってやっぱり、あの例の護衛要請の件だよな? 時期的に見ても」
「ずい分とおかしな話ですわね。なぜご自身がいらっしゃらなかったのでしょうか? セテカさまのご依頼でしたら、お力になりたいと申し出る方はほかにも何人もいらっしゃるのは分かっていましたでしょうに」
 ユーベルもとまどい、首をひねるばかりだ。
「ああ。なぜこんな回りくどいことをしたんだ? それに、あいつならそんな事件があるのを知ってたら、自分が護衛についてたっておかしくないはずだ。
 あいつ、一体何をたくらんでやがる」
 くしゃくしゃと、フェイミィは前髪を掻き上げる。
 そしてまた、別の場所では。
「――あっ」
 リカインは差し込むような痛みを感じて、胸を押さえた。
 そで口を掴んで後ろを歩いていた河馬吸虎が、あわててぺったりと貼りつく。
「大丈夫よ。少しちくっとしただけ」
 心配そうな目をして見る彼女をなだめるように、髪をなでた。
「どうかしたんですか?」
 お茶を入れていた手を止めて、ネイト・タイフォンが訊く。
「いいえ。何でもないです。ありがとうございます。ご心配をおかけして申し訳ありません」
「そうですか」
(どういうことかしら? なんだか胸で小さな光が散っているような……体じゅうで小さく鈴が鳴ってるみたいな…。
 これは何?)
 とまどいながらも面には出さず。ネイトの入れてくれたお茶を飲みながら日常会話に花を咲かせる一方で、それとなく横の窓に目を向ける。
 東の空はもうすっかり真っ暗だ。
 だがその先で、リカインは何かが自分を呼んでいる気がしてならなかった。
 



『魔女が目覚める黄昏 −ウタカタ−第1回  了』

担当マスターより

▼担当マスター

寺岡 志乃

▼マスターコメント

 こんにちは、またははじめまして、寺岡です。

 ご参加いただきました皆さん、今回もお待たせてしてしまって本当にすみません。
 『魔女が目覚める黄昏 −ウタカタ−第1回』をお届けすることができて、今はほっとしています。

 当初、わたしの予想としましては護衛パートにかなりの人が来るのではないかと思っていました。
 わたし、バトル系のシナリオが多くて、ご参加いただいている方もバトル系の方が多いですから。
 ですがふたを開けてみますと、皆さん均等に各パートにきれいに分かれていました。そのため特にアガデパートは充実して、かなりの情報が出たと思います。
 勘のいい方は、もう真相が分かったのではないかと……。

 そしてその分、護衛パートの方は苦戦を強いられることになりました。すみません、敵多すぎました(汗)

 第2回のガイドは近日中に出させていただく予定です。(これから作ります)
 また次回もどうぞよろしくお願いいたします。



 それでは、ここまでご読了いただきまして、ありがとうございました。
 次回『魔女が目覚める黄昏 −ウタカタ−第2回』でもまたお会いできたらとてもうれしいです。
 もちろん、まだ一度もお会いできていない方ともお会いできたらいいなぁ、と思います。

 それでは。また。