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コーラルワールド(第2回/全3回)

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コーラルワールド(第2回/全3回)

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第13章 コーラルワールド
 
 
 全員が死の門をくぐり、門が閉ざされると、そこには何もなくなった。
 門が無い。ただ空間が通っているだけだ。
「出口が無い……?」
 そこは、重く、精神を侵食するような世界だった。
 闇の中のような気がするのに、先の方まで見通せる。地面を踏んでいる気がするのに、足元には何も無かった。
 息苦しい瘴気の漂う、ナラカ特有の雰囲気に満ちている。虚無霊か屍龍か、蠢くものの気配を感じた。
「こっちだよ」
 ぱらみいが歩き出す。
「道を外れないように気をつけてね。はぐれちゃったら、もうここにもどってこれないよ」

 いつの間にか、深い森の中を歩いていた。
 瘴気がなくなり、空気も清浄になっている。
「あっちだよ」
 ぱらみいが導く方向へ歩いて行くと、やがて、人影を見つけた。
 二人の、子供の人影。
 近づいて見て、彼等を知る者達は驚いた。
 イルミンスールの校長、エリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)と、エリュシオンの皇帝、セルウスだったからだ。
「皆、此処まで来たんですねぇ」
 エリザベートは苦笑し、セルウスはむっつりと彼等を睨みつけている。
「どうしたの、ふたりとも、そのかっこう」
 駆け寄ったぱらみいに、エリザベートは笑った。
「皆に合わせて、人の姿を取っているのですぅ。ユグドラシル様は嫌がってましたけどぉ」
「当たり前だ。何故、人間に合わせてやらねばならぬ」
 セルウスが、ぶつぶつと文句を言う。
 契約者達は顔を見合わせた。
 会話から察するに、この二人はエリザベートとセルウスではない。
 セルウスが、ユグドラシルと呼ばれたということは。
 契約者達は、エリザベートを見た。
「もしかして、イルミンスール?」
「そうですよぉ。外見を借りたら、口調までこうなっちゃいましたぁ」
「フン、未熟者めが。だからお前は雑草だというのだ」
「……雑草じゃ、ありませぇん」
 じろっと睨みつけるユグドラシルに、イルミンスールは小声で反論する。
 それを無視して、ユグドラシルは、同じ視線を、契約者達に向けた。
「……ぱらみいを殺さなかったことを、一応、評価しよう。
 殺していたら、お前達など、此処に受け入れさせはしなかった」
「わたしが、鍵になるって言ったんだよ」
「そうだろうとも」
 ぱらみいの言葉に、ユグドラシルの眉間に皺が寄る。
「ぱらみいはぁ、ユグドラシル様が生まれた時からの友人なのでぇ、ずーっと、ハラハラ心配してたんですぅ」
 一体何の話だ、という顔をしていると、イルミンスールが声をひそめ、た格好をしつつも普通の声音で、契約者達にそう教えた。
「フン。貴様等の事情に、我々の関係など、どうでもよいのだろうよ」
 ぷい、とユグドラシルはそっぽを向く。
「もー、頑固だときらわれるよ」
「人間共に嫌われたところで、痛くも痒くもない」
「アールキングに乗っ取られそうになった時、みんなに力をかしてもらって、たすかった、って言ってたじゃない」
 そう言うと、ユグドラシルの眉間にはますます皺が寄り、長い間を置いて、じろり、と契約者達を睨む。
「さっさと用事を済ませて行くがいい」
 聖剣の力を受け入れるって。
 ぱらみいが、そう翻訳した。
 
 

担当マスターより

▼担当マスター

九道雷

▼マスターコメント

 
 第二回リアクションをお届けします。
 ユグドラシルは、偏屈じじいなイメージです。本当は孫(イルミン)可愛いとか思ってたりするんだぜ、きっと。というのは私の夢想ですが。


 アクションを総合した結果、門の鍵には、巨人アルゴスの命が使われることとなりました。結果が正解です。

 巨人は「攻撃する」ではなく「門を壊す」と言っていましたので、「巨人の攻撃を見切る・躱す」というアクションは……
 基本、門の破壊と防御以外、攻撃をするつもりはなかったので……。
 彼は魔法等の攻撃方法も持っていましたが、とにかくそんな訳でした。


 その他解説は、次回リアクションの巻末で、まとめて行わせていただきたいと思います。

 それでは、次回最終回も、よろしくお付き合いお願いいたします。