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【蒼空に架ける橋】最終話 蒼空に架ける橋

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【蒼空に架ける橋】最終話 蒼空に架ける橋

リアクション

――クク・ノ・チ達から少し離れた場所。
「俺様つっよぉぉぉぉぉい!」
 メルキアデスが叫びながら、ヤタガラス達の攻撃を避けつつ、時折【武器の聖化】により聖なる気を宿した【フロンティアソード】で斬り付けていた。
 聖化により少しは効果があるようだが、それ以上に数が多すぎる。それに加え、ヤタガラス達はメルキアデスの【フロンティアソード】に模した影を持ち、斬り付けてくる。
「俺様強いけど……流石にこれはやべぇって!」
【殺気看破】で予測し、強化した足で避ける。しかし次第に体力も消耗し反応も遅れだす。
「おっと!」
 シグルズが【則天去私】でメルキアデスに襲い掛かろうとしていたヤタガラス達を吹き飛ばす。
「大丈夫か?」
 シグルズの言葉に息を切らしつつ、メルキアデスがサムズアップで応える。
「けど確かに、あまり長く続くとヤバいな……」
 シグルズの頬に冷たい物が伝う。
 アルツール達はクク・ノ・チを攻め入る――と見せかけて、ヤタガラスを引きつける陽動の役割をしていたのであった。
 アルツールの【不滅兵団】により数で押し、逃した敵をシグルズが討つ。
 だが【不滅兵団】は基本物理的攻撃しかできない。随神はともかく、ヤタガラス相手に次第に数を減らしていった。
「【不滅兵団】も減ってきてます。何か策は、司馬先生?」
 アルツールが仲達に問うが、
「他の者が上手くやってくれることを祈るだけよ」
と返される。
「バズーカももう弾数あんまりないわよ」
 コルセアが言うと、吹雪はライフルのスコープでクク・ノ・チを見ていた。
「ふぅむ、奴がその依代というのを持っていればよかったのでありますが……」
 残念ながらそれらしきものが見当たらなかった。
「……こいつがもう少し役に立てば良かったでありますが」
 スコープから目を離し、吹雪はゴミを見るような目でボロ雑巾になったイングラハムを見る。
 敵に特攻をかけ(させられ)たイングラハムは、勿論敵うわけがなかった。
 一方的にやられる様を見て、吹雪が「最終兵器であります」とイングラハムに括りつけた爆薬を爆発させたのだ。
 それにより多少は吹き飛ばす事が出来たのだが、イングラハムは御覧の有様である。
「流石にそろそろ限界……お?」
 逃げ回っていたメルキアデスが足を止める。
 追っていたヤタガラス達が動きを止めたからだ。
「……俺様の動きについてこれなくなったか?」
 そう言った直後、ヤタガラス達は突然消滅した。後には何も残らない。居た痕跡すらなくなっていた。
「どうやら、別働隊が依代を破壊したようですな」
【不滅兵団】を従え、アルツールが呟く。
「どうやらその様だ。どうする司馬先生? 一気にクク・ノ・チに挑むかい?」
「いや、我らはこのまま囮になり続ける。まだ他にもいるようだからな」
 ヤタガラスが消滅したが、別の式神である随神は活動を続けている。
「ふむ、まだまだ活躍の場はありそうでありますな、蛸!」
「な……我をこれ以上酷い目に遭わせるというのか!? ウス異本みたいに! ウス異本みたいに!」
「アンタみたいなのがリョナられたって誰も得しないわよ」
 吹雪とコルセアが、嫌がるイングラハムに爆薬を括りつける。先程爆発したはずなのに何故コイツは死なないのだろうか。

※               ※               ※


――依代が破壊されたことにより、場にいたヤタガラスやミサキガラスは消滅した。
 それによりクク・ノ・チの戦力は半減し、そのまま一気に攻め入る事ができる、と思われた。
 しかしヤタガラス達が居なくなった事により、クク・ノ・チは自ら術を使う様になってきた。
 自らの式神を巻き込む様な大がかりな物まで使い、ナオシ達を攻め立てる。

「……どうする、このままじゃやべぇぞ」
 垂がナオシに問う。
「おい、生きてるか?」
 ナオシが問うと、マルティナとフレイアが「なんとか」と答える。
「あのバカヤロウ相当苛ついてるようだな。自分の式神すら巻き込んでやがる」
 ナオシの言う通り、そこいらにかつて随神であった人の形をした紙切れが散らばっている。これらはナオシ達にやられた物だけではなく、クク・ノ・チの術に巻き込まれた物も少なくない。
「けどこれ以上あいつの攻撃を食らい続けるのは拙いわ」
 フレイアの言葉にマルティナが頷く。2人だけではない、攻撃を食らい垂もナオシもボロボロである。
「こちらの攻撃が通りさえすればいいんですが……」
「やれなくはないかもしれねぇぞ」
「おい、どういうことだよ」
 垂がナオシの言葉に食いつく。
「奴の周りを見てみろ。ああ見えて、結構限界に近いと見える」
 ナオシの言葉に従い、クク・ノ・チを見る。
 よく見ると、クク・ノ・チの周囲に罅割れの様な物が時折見える。
「奴の周囲は結界の壁の様な物で覆われている。けどさっきの爆発で大きなダメージを受けていたみたいだな。よく見ると、何か食らう度に亀裂が増えてる」
「つまり、破りさえすればこっちの攻撃が通るってわけか」
 垂の言葉にナオシが頷く。
「けどこっちもこれ以上食らい続けるのはヤバい。一発で決まらなかったら終わりだ」