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リアクション
(3)13:00 犯人サイド
光と対になる存在、それが「(むだに)くろい部」。鳥羽 寛太(とば・かんた)は脅迫文の存在を知るとニヤリと笑った。
「ククク……混沌の時代が訪れた。誰が書いたか知らないが、僕も一枚かませてもらうよ……。生まれつき明るい性格の社交的な者どもよ、その身に刻め、(むだに)くろい部の存在を……」
のぞき部も兼部している彼は、特技の捜索で爆弾もどきの設置場所を探しに温水プールに向かっていった。そうだ、勧誘用のビラも印刷しなければ……ククク。濡れないようにビニール袋に入れなければ……ククク。ぶつぶつと呟くとまっすぐに女子シャワー室に向かい、15時頃にパイプが破裂する仕掛けを氷術で施した。
同時刻、春夏秋冬 真菜華(ひととせ・まなか)は棒付き飴をなめながら脅迫文のうわさを聞いた。
「なんかー、これじゃ犯人見つかるのも時間の問題っぽいよねー! んじゃちょっとゲームを面白くしよっか!」
鼻歌を歌いながら、いたずらに使えそうな材料を探すことにしたようだ。そーいや、前に入口でむかつく目つきメガネの野郎にあったんですよねー♪ 困ったらあいつに全部押し付けちゃおっかな!
真菜華の通り道にゴミ捨て場があり、そこには小さな段ボールやビニール、まだ使えそうな目覚まし時計が落ちている。
「チャーンス」
色っぽい表情でそれらを改造していく、数分後に、それらは立派な爆弾もどきになった。
日下 進士(ひかげ・しんじ)はティミドール・ノーブ(てぃみどーる・のーぶ)と共に薔薇の学舎に帰ろうとしていたが、周と涼司のやりとりが聞こえて足をとめた。
「ふふん、面白そうな話ですね」
「し、進士……僕は別に興味ないんだけど」
ティミドールの話を無視して、進士は機嫌よさそうに周の後を追いかけていく。片手で進士の手をつかんでいるのでどうやら無視することはできなさそうだ。
「まったく最近の人はお固くて、うんざりしていたところでした。この事件を盛り上げるための隠し味になりましょうかね」
「あれ……、進士、そんなメガネ持ってたっけ?」
見ると進士は涼司のメガネを首元にひっかけている。
「僥倖、僥倖」
後ろでは涼司が、ああ! 何でメガネがねえんだ!? と叫んでいるのが聞こえた。
他にも周たちのやり取りを聞いていたものがいる。
「へえ、いいこと聞いた」
天津 輝月(あまつ・きづき)は爆弾騒ぎを盛り上げようと、ネットの掲示板へ爆弾に関する偽の情報を流した。
・山葉 涼司がのぞきに協力!
・温水プールの犯人は女らしい など。
さあ、これからどうなることやら。私を楽しませてくださいね。
昼にカレーを食べたばかりなので、輝月は口笛を吹きながらのんびりと現場へ向かっていった。
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