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花粉注意報

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花粉注意報

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戦士よ、立ち上がれ――


「パルフェ、どうしたんです?! 正気に戻ってください!」
「うつき……良い物見つけたよ……」
 とろんとした目で鬱姫に近づくパルフェリア……その手にはサキュバスライムが握られていた。
「これ、ひんやりして気持ちいいの……きっとうつきも気に入るよ……」
「……嫌……やめてぇ……」
「ふふふ……」
 抵抗する鬱姫を組み敷くパルフェリア、そのままサキュバスライムを……

 ――斬!

「え?」
 鬱姫の目の前で分断され、水分と化すスライム……一瞬遅れてパルフェリアが倒れこむ。
「パルフェ?! しっかりして……」
 何が起きたのかわからず、パルフェリアを揺り起こそうとする鬱姫。
「……峰打ちだ、安心しろ」

 高周波ブレードを手に、その男……エヴァルト・マルトリッツ(えう゛ぁると・まるとりっつ)は立っていた。

(……高周波ブレードで峰打ち?)
 慌ててパルフェリアを確かめる鬱姫……とりあえず、外傷はないようだ。

「エロ花粉の次はエロスライムか……」
 エヴァルトは憎々しげにつぶやいた……
 サキュバスライム狩りを続けてきたのだが、このままでは埒が明かない。
 頼みの治療薬は、未だ目処が立っていないという話だ……

「やはり、根源を断つべきか……」
 エヴァルトが見上げた空には、相変わらずの黄色い花粉……そして、その中を進んでくる飛空挺の姿があった。

「お待たせしましたデ〜ス」
 飛空挺を駆るコルデリア・フェスカ(こるでりあ・ふぇすか)が手を振る。
 すでに花粉を吸い込んでしまっているコルデリアだったが、幸いなことに暑さで服を脱ぐ症状は出ていないようだ。
「コルデリア……お前……」
「さぁ、乗ってくだサ〜イ……どうしまシタ?」
 おかしな口調に渋い表情を浮かべるエヴァルト……コルデリア本人には自覚がないらしい。
「まぁ、脱ぐよりはマシか……出してくれ」
「イエッサー」
「……」
 頭を抱えるエヴァルト……だがもうしばらくの辛抱だ。
 パラミタ杉さえ切り倒せば、症状も落ち着くに違いない。
 二人を乗せ、飛空挺は飛び立っていった……



「はは……参ったな、こりゃ……」
 十田島 つぐむ(とだじま・つぐむ)が乾いた笑いを響かせる。
 たまたま自宅に居た為、彼は花粉の被害を免れたのだが……

「坊ちゃん、どうしたザンスか?」
 ミゼ・モセダロァ(みぜ・もせだろぁ)は花粉にやられていた。
「まさか、坊ちゃんも花粉でおかしくなったでガンス?」
 竹野夜 真珠(たけのや・しんじゅ)も花粉にやられていた。
「フンガー」
 ガラン・ドゥロスト(がらん・どぅろすと)も花粉にやられていた。

「お ま え ら……」
 すっかり(口調が)変わり果てたパートナー達に、つぐむは頭を抱えた。
 これはまずい……色々な意味で危険だ。
 なんとか治療薬が手に入らないかと手を尽くしたのだが、肝心の治療薬自体が未だ目処が立っていないという……

「こうなったら……やるしかない……」
 パワードスーツを身に纏うつぐむ……
 パワードスーツは気密性が高く、花粉を遮断する事が出来そうだ。

「坊ちゃん、お出かけザンスか? レレ……むぐぐ」
 もっと危険な発言が出る前にミゼの口を押えるつぐむ。

「ある意味この世界の危機だ……いくぞ」
 かくして……
 この世界を守る為、つぐむは立ち上がったのだった。