リアクション
■□■ ピンチのシャンバラ王国だが、敵は静香帝国だけではなかった。 ツァンダが砲撃を受け始めたのだ。 どーん、ばーん! 「みんな瑠璃に平伏するのー」 紫桜 瑠璃(しざくら・るり)が西シャンバラの地祇の王になろうと、 侵略を開始したのだ。 瑠璃が持つ多量の大砲によってツァンダは滅びに瀕していた。 「瑠璃、久しぶりですけど頑張っていますね。 その調子で征服するといいですよ」 「兄様ありがとう! 瑠璃頑張るね!」 久しぶりに瑠璃と再会した緋桜 遙遠(ひざくら・ようえん)も パートナーの侵略を暖かく応援する。 その間にもツァンダは次々と破壊されていた。 こうしてシャンバラは空京を静香帝国、ツァンダを瑠璃によって征服された。 ■□■ 空京。シャンバラ宮殿。 「アイシャ女王、こちらへ!」 「はい」 シャンバラ女王アイシャ・シュヴァーラ(あいしゃ・しゅう゛ぁーら)は 空京を脱する事になった。 護るのはロイヤルガードであり、恋人でもあるリア・レオニス(りあ・れおにす)。女王のためなら全てを投げ捨てる覚悟のあるリアにとってこの事態は非常に辛いことであった。 「ザンスカールへ向かいます」 リアのパートナーであるレムテネル・オービス(れむてねる・おーびす)はリアの補佐をつとめ脱出の準備を整えていたのだ。 「まさかこんな事態が起きるなんて。 ……悪夢を見ているようです」 「ああ、悪夢に違いない。夢は必ず覚めるものだ。心配するな」 脱出に使われた飛空艦の中でリアは不安そうなアイシャを抱きしめた。 民衆には決して見せられない一幕である。 (リア、あなたの大切な人を必ず守って見せますよ) レムテネルが安全なルートを確保したお陰で、 女王アイシャは無事ザンスカールにたどり着いた。 ■□■ この10年間でザンスカールの森は拡大し、 シャンバラ大荒野の多くも森になっていた。 佐倉 美那子(さくら・みなこ)と吾妻 奈留(あづま・なる)が尽力し、 イルミンスールの苗を植樹したためである。 そのため世界樹イルミンスールは大きさこそ小さいものの多数の樹のネットワークにより、今や世界中の中でも最も大きな存在となっていた。 「今やイルミンスールは最強の世界樹! 女王様も安心して」 森の管理人である、美那子は力強く宣言した。 何かあれば他の世界樹の力を使うこともできるのだ。 「ロイヤルな女王の安全はロイヤル確保出来たとして、 次は反撃ロイヤル!」 「そうだよロイヤル!」 修行の旅を続けていたラルク・アントゥルース(らるく・あんとぅるーす)はロイヤルガードの隊長に任命された。 副隊長の秋月 葵(あきづき・あおい)もロイヤルガードへの情熱のあまり言葉にロイヤルが混ざっている。 「でも、葵ちゃん。 そんなに簡単に行かないかも知れません……ロイヤル」 葵のパートナーにして妻(?)のエレンディラ・ノイマン(えれんでぃら・のいまん)は恥ずかしそうにしながら葵に新たな情報を伝えてきた。 「何があったの〜?」 葵たちに合流していた秋月 カレン(あきづき・かれん)の言葉にエレンディラは、 「シャンバラに新たな女王が即位しましたロイヤル」 と告げた。 ■□■ 空京。 「……ってマジかおい!?」 シャンバラの新女王に即位したのは シリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)であった。 「ええ。かつてツァンダ家に誕生した女王に相応しい力の持ち主、ミルザム・ツァンダ(みるざむ・つぁんだ)。 彼女はカンテミールによって殺され、 シャムシエルになっていたとされていましたが、 それもまた真実ではありませんでした。 シリウス・バイナリスタ。 あなた様こそが本当のミルザムだったのです。……女王陛下」 ロザリンドは平伏しながら真実を告げたが、 (ですが、静香さんが究極皇帝になるまでのつなぎという所ですけど) というのが本音であった。 「フフ。まさかキミが女王になるなんてね。 真の蛇遣い座の十二星華として、護らせてもらうさ。 女王を護るのが十二星華本来の使命。 ロイヤルロイヤル言ってる連中に負けはしないさ」 サビク・オルタナティヴ(さびく・おるたなてぃぶ)は思わぬ運命の流れに笑っていた。 ■□■ ロイヤルガードはラルクの部隊と葵の部隊に別れて作戦を開始した。 残存する国軍は静香帝国の乙女部隊と戦うので精いっぱいだった。 ツァンダ。 「ちっちゃいロイヤルガードめー! くらえー!」 ばーん、ばーん! 瑠璃の砲撃を避けながら葵はキレる。 「自分の方がちっちゃいくせに、ちっちゃいいうなロイヤルー!」 葵の戦っている隙に、エレンディラは瑠璃に接近する。 「葵の敵にはロイヤル完全消去(デリート)してもらいますロイヤル!」 歴戦の魔術の光弾が瑠璃に注ぎ込まれる! 「きゃああーーっ!」 瑠璃は吹き飛んで泣き始めた。 「うっ……一人で寂しいから手下の地祇が欲しいだけなのに、 なんで邪魔するの?」 「迷惑かかかるからですぅ! それならあおいママやエレンママと一緒に、 ロイヤルガードになって地祇を守ればいいんですぅ!」 葵たちと一緒に来ていたカレンの言葉に瑠璃は納得しなかった。 「平伏させないと楽しくないよー」 「諦めないようでしたら……」 エレンディラは【完全消去の女王(デリートクイーン)】と呼ばれる本領を発揮しようとしたが、 「こういうのはどうでしょうか? 瑠璃が大砲で空京侵略……ではなかった奪還に参加するのは?」 「敵を『どーん』して『ばーん』出来るならいいよー!」 と遙遠がフォローに入り、瑠璃の大砲群も空京に向かうことになったのだった。 ■□■ 空京はミルザム女王を擁する静香帝国と、 アイシャ女王を擁するシャンバラ王国軍の決戦になっていた。 そしてシャンバラ宮殿にラルクたちロイヤルガードが突入した。 「ロイヤルッ!」 ラルクはロイヤルガードの最終形態になっていた。 ロイヤルしか喋れなくなっていたのだ。 それを見て女王ミルザムことシリウスは問いただした。 「オレだって女王なんだぜ? ロイヤルガードならオレに従えよ」 「ロイヤールッ!!」 「ハッ、忠誠心の厚いことだ」 「シリウス、アイツの話してる意味分かるの?」 「そりゃまあ、女王だからな。 ……戦うしかないみたいだぜ! サビク!」 「仕方ないなあ」 シリウスとサビクは二人でラルクに立ち向かった。 だがロイヤルガード最終形態のラルクには叶わず、 ラルクの拳に武器を折られてしまう。 するとシリウスは宮殿の窓をたたき割った。 「この辺が潮時だな。 セレブ暮らしにも飽きてきたしな! 俺もシリウス・バイナリスタに戻らせてもらう。 逃げるぜ、サビク!」 「またねえ、ロイヤルさん♪」 と二人はあっさりと脱出してしまったのだ。 女王を失った静香帝国は劣勢となり、 残るは乙女部隊とロザリンドと静香だけとなった。 (ラルクさんと私は互角。 決定打になる力が要ります……こうなれば) ロザリンドの額に●が浮かび上がる。 「ロザリンドさん、目つきが怖いよ」 「少しだけ我慢して下さい、静香さん!」 ロザリンドは手刀を振り上げ、静香の股間に振りおろそうとした。 静香を宦官にして戦力とし、状況を打開しようとしたのだ。 「ロイヤルーーッ!!」 ラルクは止めようとするが間に合わない。 が、 「宦官だけはダメです……ダメなんです!!」 ロザリンドは苦しみながらも手刀を止めた。 「……ごめんなさい。 静香帝国はシャンバラ王国に降伏します」 ロザリンドの苦しむ姿を見て静香は決断を下した。 その後地球でも静香帝国は解体され、 シャンバラ王国の危機は去ったのだった。 |
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