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リアクション
次世代の校長たち
静香帝国解体後、シャンバラは再び平穏が戻った。
そしてシャンバラは新しい校長たちの時代に突入した。
「蒼空学園校長として、イルミンスール魔法学校に勝負を申し込むよ!」
埼玉に帰った山葉 涼司(やまは・りょうじ)に代わって
蒼空学園の理事長兼校長兼生徒会長に就任した小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)はイルミンスール魔法学校に挑戦状を叩きつけた。
何故か?
それが蒼空学園の伝統だからである。
「蒼空学園の校長は三代に渡って生意気な奴ばかりですねぇ。
……生き恥かかせて美羽も埼玉に帰してやるですぅ!」
相変わらず校長のエリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)も、
口ぶりの割には嬉しそうだ。
かつて御神楽環菜と戦った日々の事を思い出しているのだ。
そこにエリザベートのお付きのメイド、
神代 明日香(かみしろ・あすか)がテレポートで出現して、エリザベートに囁いた。
「エリザベートちゃん、この勝負負けられませんよ〜。
もし負けちゃったら夜に“特訓”しないといけませんね」
「ア、アスカ、変な事言わないでほしいですぅ!」
エリザベートは顔を赤らめている。
二人の関係は誰の目にも明らかである。
「肝心の勝負内容はどうしますか?」
と美羽のパートナー、
コハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)が校長たちに問いただすと、
「うーん、考えてなかったわ。夏らしいのがいいよね。
……そうだ、金魚すくいにしよう!」
「金魚すくいねぇ。構いませんよぅ」
と思い付きで決定した。
「その金魚、我々に用意させてくれないか?」
新たに設立された【シャンバラ植物専門学校】の校長、
藍澤 黎(あいざわ・れい)である。
同学校は今やパラ実農業科や空大農学部を追い抜き、
シャンバラの植物利権を牛耳っている一大勢力である。
「植物の学校に、金魚が用意出来るのですかぁ?」
明日香の言葉に黎は笑って、
「ああ。最高の金魚を用意しよう」
と断言した。
そして勝負当日。
「金魚すくい用のプールを用意したのですよ」
黎のパートナーである、あい じゃわ(あい・じゃわ)が直径500メートルはある円形の巨大ビニールプールを用意し、そこに種のような物を蒔いた。
その種はみるみる成長し、
じゃわの顔をした巨大な金魚が大量出現した!
「じゃわと金魚の遺伝子を入れたシボラの大豆の一種なのですよ」
パラミタの植物の乱獲や乱開発を防止し、
その上で植物の力を利用した各種薬品や農業技術の開発を目指して作られた【シャンバラ植物専門学校】。
最近になって発見された●(あいじゃわさんの目玉ではありません)によってその技術は飛躍的に進歩したのだ。
「……それって、植物なのかな?
おまけに凶暴そうな牙生えてるし」
コハクは心配だったが、美羽とエリザベートは問題ないようなので
そのまま勝負は開始されたのだが、
「ギャーッ!」
「飲み込まれたぞっ!!」
「チクショウ、金魚の奴め。一矢報いてやる!」
金魚すくいというよりは、
“金魚の脅威から人を救い出す”競技と化し、
両方の生徒ともほぼ全滅してしまったのだった。
「どっちの生徒も全滅ってことは……今回の勝負は引き分けね」
「チッ、次こそ目にもの見せてくれてやるですぅ」
こうして蒼空学園とイルミンスール魔法学校の対決は終わった。
これからもこうして勝負は続くのだろう。