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迷子の少女と森探検

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迷子の少女と森探検

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第一章 ピクニックよ!!
「よし、ここら辺で飯にしようぜ!」
銀色のさらさらした髪の少年アッシュ・グロック(あっしゅ・ぐろっく)が、切り株に腰を下ろして言った。

「アッシュったら、もうお弁当?! まぁ、私もお腹減ってるけど」
蒼空学園制服に身を包んだ美少女、雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)が、お腹を押さえた。
 
「そうですね。この辺はモンスターも出ないポイントなので、安全ですしね」
ジャタ族の衣装を優雅に着こなしているサクラコ・カーディ(さくらこ・かーでぃ)は、そう言うと白砂 司(しらすな・つかさ)を見た。
短く切った黒髪と、精悍な顔立ちの司は、サクラコを見返し頷いた。

サクラコと司の会話を皮切りに、それぞれお弁当を広げたり、食材を探したりと思い思いの行動を取り始めた。


「沢山サンドイッチとフルーツ持ってきたので、皆さんどうぞ!」
綺麗な青色のボブカットの美少女、杜守 柚(ともり・ゆず)が作ってきたお弁当を差し出した。
「僕、ピーナツバターのサンドイッチ!」
柚の弟の杜守 三月(ともり・みつき)が、ヒョイとサンドイッチを掴んだ。
蒼空学園新制服に身を包んだ小柄で、可愛いらしい少年だ。
「おーっ! スゲェ! 頂きまーーす!!」
アッシュがサンドイッチを二、三個つまむ。
「オレも頂きまーーーす!!」
ランディ・ガネス(らんでぃ・がねす)が赤いクリクリした目を、嬉しそうに細めながらサンドイッチを掴む。
アッシュとランディは、凄い勢いでサンドイッチを食べ始めた。
「アッシュ! ランディ! そんなにガツガツ食べると、喉に詰まるよ!」
金色の綺麗な髪をポニーテールにした、白波 理沙(しらなみ・りさ)がアッシュと、ランディに突っ込んだ。
アッシュはウーン? と聞こえない振りをしている。
「んぐんぐ! 大丈夫だって! やっぱり外で食べるご飯は美味いぜ!」
サンドイッチを飲み込んで、ランディは言った。
「ふー! 本当ね。いつもより美味しいわ」
雅羅が一口サンドイッチを食べて、うなった。それを見た理沙も、サンドイッチを一口食べてみる。
「美味しいー!!」
確かに、いつもより美味しい気がする。
「美味しそうだね。僕もサンドイッチもらうね」
シャギーの入った黒髪に、青い瞳の清泉 北都(いずみ・ほくと)がサンドイッチを掴む。
「あーっ!! それオレが取ろうと思ってたサンドイッチ!!! オレの!!」
白銀 昶(しろがね・あきら)が北都に向かって叫んだ。
金色の目を大きく見開き、大きく開いた口から八重歯が覗いている。
「はいはい、わかったよ」
北都はやれやれと言うように、サンドイッチを昶に渡した。
昶は、嬉しそうにサンドイッチを食べ始めた。
「北都ちゃんは優しいね」
その様子を見ていた騎沙良 詩穂(きさら・しほ)がフルーツを食べながら言った。
セミロングヘアに、眼鏡が似合っている。可愛い少女だ。
「そうかな?」
北都は少々恥ずかしそうに首をかしげた。
「美味しそうなサンドイッチだね。……優しくて、素敵なお嬢さん、花をどうぞ」
魅惑的な緑の瞳に、端正な顔立ちのエース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)が、一輪の薔薇を柚に差し出した。
「えっ? あ、ありがとうございますっ」
柚は照れながらも薔薇を受け取る。
「何々?!」
三月が何事かと二人を見ているが柚は、サンドイッチを差し出してごまかした。
「やれやれ、騒々しいね。……まぁ、たまには、こういうのも面白いけどね」
一連のやりとりを見ていたメシエ・ヒューヴェリアル(めしえ・ひゅーう゛ぇりある)が言った。
吸血鬼ならではの色の白さに、気品のある綺麗な顔をしている。


「皆さん楽しそうですねぇ」
少し離れた所で、森の食材を物色している西条 霧神(さいじょう・きりがみ)が、言った。
肩まである銀色の髪に、貴族の服を着こなした姿が決まっている。
「皆楽しそうで何より。それにしても、すっかり秋の景色だな……ぶはっ」
木の根元に生えているキノコに顔を寄せ、胞子を浴びてしまったブルーズ・アッシュワース(ぶるーず・あっしゅわーす)が咳き込んだ。
キリッとしたドラゴニュートの彼だが、どこか愛嬌がある。
「……あっちに、もっとキノコがある所がある」
重力に逆らった銀髪に、大人びた風貌の呀 雷號(が・らいごう)が、茂みの奥に向かい歩き出した。
「行ってみよう! 今日は黒崎のためにも、秋の味覚を探し出す!」
細身の体に薔薇のドレスシャツをさらりと着た、鬼院 尋人(きいん・ひろと)が気合を入れる。
「それは楽しみだね」
ふふっと黒崎 天音(くろさき・あまね)が小さく笑った。端正な顔立ちで白馬にまたがるその姿は、絵になっている。
天音は雷號の後に続いた。

 秋の味覚のキノコや、山菜、木の実を収穫した尋人達は、皆が居る所に戻ってきた。
「ふん。なめこの味噌汁に、栗とむかごのご飯を作ってやろう。食感を楽しめるだろう」
ブルーズが、いそいそとオカンの様に調理を始めた。
霧神と雷號はブルーズの調理を手伝った。
尋人と天音は、少し離れた所で何やら語っているようだ。

 旬の食材を使った料理が出来上がり、ブルーズと霧神は料理を皆に振舞った。

「このなめこの味噌汁うめぇーーー!!」
サンドイッチを食べ終わったアッシュが、ブルーズの作ったなめこの味噌汁、栗とむかごのご飯を盛り盛り食べながら唸った。
「アッシュさん……それにしても、凄く食べてますね」
赤嶺 霜月(あかみね・そうげつ)が、やや驚いて言った。
サバイバルベストにジーンズと言う、カジュアルな出で立ちが、森に似合っている。
「その細い体の、どこに入っていくのかしらね」
霜月の妻、クコ・赤嶺(くこ・あかみね)も、驚いている。
眼帯にライダースジャケット、銀色のロングヘアが風に靡いている。
「そうか? これ位そんなに食べてる内に入らないぜ!」
アッシュは自慢げに言った。
「まったく、食べ過ぎよ!」
雅羅がアッシュを見て、ため息をついた。
「おいアッシュ! オレと大食い勝負しようぜ!!」
両手いっぱいに食べ物を抱えたランディが現れた。
「おっ?! ランディやる気か? 手加減しないぜ?!」
アッシュはニヤリとランディを見た。
「はいはい、そこまで。 二人に食材食べ尽くされちゃたまらないわ」
理沙がランディとアッシュの間に入った。
「なんだよー」
ランディが残念そうに口を尖らせた。
「グロック! ランディ! ほら、メロンパンやるよ」
呆れたように見ていたスレヴィ・ユシライネン(すれう゛ぃ・ゆしらいねん)が、メロンパンをアッシュとランディに差し出した。
薔薇の学舎新制服に身を包んだ、赤い髪の青年だ。
「スレヴィ。 ありがとう! でも、いつもどこにパンを忍ばせてるんだ?」
アッシュは喜んでメロンパンを受け取り、スレヴィの不思議に眉を潜めた。
「ありがと。確かにどこにパンを隠してるんだ?」
ランディも首をかしげた。
「スレヴィさんの、あんぱんとメロンパンの秘密は、奥が深いですよ」
もふもふしたうさぎの様な姿のゆる族、アレフティナ・ストルイピン(あれふてぃな・すとるいぴん)がアンパンを頬張りながら言った。
「わー! もふもふして可愛い! 触らせて!」
西表 アリカ(いりおもて・ありか)がブルーズの作った料理を片手に、やって来た。
「えっ。 どうぞどうぞ」
アレフティナは素直に身を預けた。アリカは喜んでアレフティナを撫でた。
数分が経過した。アレフティナは、冷や汗を浮かべている。
「アリカ、そろそろいいんじゃないか? アレフティナさんも疲れてるだろ」
サバイバルベストを着た優しそうな青年、無限 大吾(むげん・だいご)がアリカに言った。
「わかった。あー可愛い!!」
アリカは触るのを止めたが、ニコニコとアレフティナを見ている。

「ユリナおねーちゃーん、お腹すいたぁ〜」
リゼルヴィア・アーネスト(りぜるゔぃあ・あーねすと)がお腹を抱えて言った。
銀色の髪が日差しにキラキラしている。
「はい、これルヴィちゃんの分のお弁当」
ユリナ・エメリー(ゆりな・えめりー)は、リゼルヴィアに手作りお弁当を渡した。
リゼルヴィアは早速お弁当を広げ、食べ始めた。
それを見たユリナは微笑んだ。白い肌に黒髪と赤い目が生える。
「大勢でピクニックってのも楽しいな!」
黒崎 竜斗(くろさき・りゅうと)が、隣で持参したお弁当を食べ始めたユリナを、優しい目で見た。
「そうですね♪久しぶりに皆で出かけましたし、楽しいですね」
「セレンは眠そうだなぁー。弁当食べたら昼寝か?」
竜斗は、眠そうな顔でお弁当を食べているセレン・ヴァーミリオン(せれん・ゔぁーみりおん)に言った。
「んーー楽しいけど、眠い。これ食べたら寝る!」
セレンはそう言うと、緑色の目を細めた。

 大体皆が食べ終わった様なので、霧神はひっそりと持参したハーブティーを入れ始めた。
「どうぞ、食後のハーブティーです。リラックス出来ますよ」
「ハーブティー! 珈琲も良いけど、ハーブティーも良いわね!!」
奥山 沙夢(おくやま・さゆめ)が、ハーブティーを受け取り目を輝かせた。
緑色の髪を後ろで束ねた、妖艶な雰囲気の女性だ。珈琲が好きで、カフェなどの話には目がない。
「そうでしょう? このハーブティーは、特選された茶葉で煎れてますからね。香りもいいでしょう?」
霧神は嬉しそうに喉を鳴らした。
「本当ね。 上品な匂いの中に、どことなく自然の匂いを感じるわ……」
沙夢が匂いを嗅いで、うっとりと言った。何やら不思議な連帯感が生まれたようだ。
「あたしもハーブティー下さーい!!」
まったりした紅茶談義空間に、元気な声が飛び込んで来た。
沙夢の知らぬ間に、ピクニック場内をつまみ食いの旅に出ていた、雲入 弥狐(くもいり・みこ)がひょこっと現れた。
「どうぞ」
霧神は、弥狐にハーブティーを渡した。
「弥狐! どこ行ってたのよ?」
「ピクニック場内を彷徨ってた。えへへ」
沙夢の問に、弥狐が八重歯を見せて、てへへと笑った。どうやら食べ歩いていたようだ。

 「ハーブティーどうぞ」
「ありがとう。 良い匂いだな」
アルツール・ライヘンベルガー(あるつーる・らいへんべるがー)は、霧神からハーブティーを受け取った。
イルミンスール制服に身を包んだ、知的な青年だ。
「良い匂いだし、美味しいわ。落ち着くわね」
霧神からハーブティーを受け取ったエヴァ・ブラッケ(えう゛ぁ・ぶらっけ)が、穏やかに言った。
「さすが、こだわりのハーブティーよね。お店で飲む紅茶みたいだわ」
いつの間にか隣に来ていた雅羅が、ハーブティーを飲みながら言った。
「あつっあっつーーーー」
アッシュがハーブティーを飲みながら、悶えている。
「面白い男だ」
アルツールはクスリと笑った。

 ハーブティーを飲み、まったりと会話しているアッシュと雅羅達。
「そうだわ。さゆみ。あれ歌って欲しいわ」
雅羅は肩で切り揃えられた黒髪の美少女、綾原 さゆみ(あやはら・さゆみ)を見た。
一瞬びっくりしたさゆみだったが
「わたくしも聞きたいわ」
アデリーヌ・シャントルイユ(あでりーぬ・しゃんとるいゆ)は微笑んだ。
白い透き通るような肌に、黒髪の美少女だ。
「幸せの歌? うん、良いよ!!」
そう言うとさゆみは、透き通った歌声で歌いだした。
アデリーヌは、歌うさゆみをうっとりと見た。

ふいに詩穂の歌声が、さゆみの歌声に重なった。
ディーバードも一緒に歌いだし、綺麗なハーモニーが出来上がる。
さゆみと詩穂は楽しそうに、目で合図を出し合いながら歌う。

仲間達は、さゆみと詩穂の歌に聞き入っている。