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リアクション
序章
「くそ! ここはどこなんだ!」
洞窟内で、戦士風の男が呻いた。
蒼空学園内に突然現れたという例の洞窟に潜りこんだ三人組の冒険者。彼らは数々のトラップに翻弄され、方向感覚を狂わされ、マッピングしていたタブレットも落としてしまい、完全に孤立してしまっていた。
「おい! あれ見ろ! 明かりだ!」
「あ、本当だ! 誰かいるみたいだ! 行ってみようぜ!」
魔術師風の男と侍風の男が、視界の向こうにわずかに見える光に向かって駆け出した。
その光の向こうには、広い広い大広間。
「あ……」
そしてそこにいた者たちに、三人は凍り付く。
見た。見てしまった。見てはいけないものを見てしまった。
――うわああぁぁぁぁ……
そこに蠢くおぞましいものに、彼ら三人はどこまでもこだまする悲鳴をあげた。
彼らは後に語る。
知らない方が幸せだった、と。
気絶した三人が、引きずられて広間のさらに奥へと連れ込まれていく。
「他に誰も来ておらんか?」
「へえ。こっちには見当たらねッス」
「よし。こっちも誰も来ておらん。とにかく少しでも証拠を残しておいてはならんからな」
どこか老人風な口調の少女は、蒼空学園の制服を着ていた。
「うまくいった。これで……」
少女が嬉しそうに笑った。
「これで、お前たちのパラダイスは完成じゃ!」
わあ、とその場が歓喜に湧いた。
「ありがとうございます。俺たちあんたに感謝してもしきれねえ……」
「なに、このくらいお安い御用じゃ! はっはっは……」
その一連のやり取りは、パニックを起こした三人の冒険者たちの持っていたトランシーバーが拾い、電波として周囲に発信されていった。
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