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キロス・コンモドゥスの罠、夏來香菜を助け出せ!

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キロス・コンモドゥスの罠、夏來香菜を助け出せ!

リアクション

「さてさて凶霊弾の目的はなんなのかな。返答次第じゃ詩穂のグーが飛んじゃうよ?」
蔦に縛られたハデスとアルテミス。
アルテミスはガタガタと震えている。ハデスは俯き息を殺して笑っている。
「ふふふっ……この俺が簡単に口を割るとでも?」
「ほう強がりを言うのお。頼むぞ貴公」
エースはにっこりと微笑むと蔦を操作してハデスを締め付け始めた。
「うげぇ!まてまてまて、せ、せ、世界征服だッ!」 
「……ハデス様、それはオリュンポスの目的です」
「うぐ、な、何を言うかアルテミス・カリスト。凶霊団はゆくゆくはオリュンポスの一員となるのだ、未来の
オリュンポスなのだ!だからオリュンポスの目的は凶霊団の目的で、いでででで……」
「これぐらいにしてあげましょう。どうやら何も知らないみたいですし、それにちょっと可愛そうです」
ウィルに同意したエースは魔法を解くとハデスは、はぁはぁと息を切らすのだった。
「みたいだな。凶霊団の目的も気になるがローズは大丈夫だろうか」
アルテミスは涙を浮かべていた。彼女にはどうしても叶えてもらいたい願い事があるのだ。
だから彼女は負けるわけにはいかない。

「まだです、まだ負けるわけにはいきません!葛城吹雪様!葛城吹雪さまー!たすけてくださいー!」
アルテミスが叫ぶと、ゴゴゴゴと重い音を引きずって石の扉がゆっくりと開き広間に白い光が流れ込んできた。
眩い光を背景に体全面黒い影に染まってるその人は葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)だった。 
彼女はどんと腕を組み仁王立ちしてる。
「フフフ、(テロの為の)活動資金の為、死んでもらうであります!!諸君らは既に自分のトラップの中。抵抗は無駄なのであります!!」
「生憎だけどお嬢さん、こっちには地雷撤去のプロ達がいるんだ」
クリスと貴仁の間に立つエースは2人の方に肩に手をのせた。
クリスの隣に立つファラは「そういうことじゃ」と鼻で笑った。
「残念ですが、あなたの言うトラップなんてもう何処にもないですよ。
ダメージトラップもポイゾントラップもワープトラップもこの部屋に設置されていたものは全部俺が解除しましたから」
「俺たちを甘く見ちゃ駄目だぜ。それはそうとお近づきのしるしだ。花をどうぞ」
エースはどこからともなく取り出した花を吹雪に差し出した。
「ふふふ……甘いのはそっちであります」
吹雪は指をパチッと鳴らした。すると突如契約者たちの足場が崩れ始め全員真っさかさまに落ちていった。
「フフフ、こいつでトドメであります」
吹雪は穴に近づくと彼女は爆弾を取り出した。
「さようなら契約者諸君。これも吹雪の活動資金のため……君たちはよく頑張った、さようならであります」
導火線に火をつけて放り投げた。爆弾は深い闇の奥底へ小さくなって消えた。
吹雪はハンカチを取り出してバイバイと振るのだった。


■■■


左右の壁のたいまつが通路をぼんやりと照らす中をローズは歩いていた。さきほどトラップの件もあるから足取りは慎重だ。
「弱ったな早くみんなと合流しないと……」
彼女は角を曲がり通路を出ると天井がぐんと高くなった。広間は松明がどこよりも多く焚かれていて中央には石の祭壇が設置されていて、
「香菜!」
祭壇の上に香菜がいた。彼女は口をテープで塞がれ体は縄で縛られていた。
ローズは走り近づいて縄を解こうとしたそのときだった。
静かな空間にコツンと波紋が浸透していく。
ローズは振りかえる。
「キロス!」
キロスと大勢の凶霊団たちがいた。キロスは刀身が不気味に光る剣を持っている。
引き連れているのはナイフを持った凶霊団たちとボウガンで武装した凶霊団たちだった。
「こんちゃー契約者さん。お1人様でここまでやってくるなんてよっぽど強いのねーあなた」
「……いや君たちのおかげだよ。方向感覚はあまり良いほうじゃないし。私1人じゃここまでたどり着けなかっただろうね」
キロスは不思議そうに首を傾げるが「まあいいわ」と軽く流した。
突如ローズの足元に何かが鋭く突き刺さった。 
ボウガンの矢だった。

「あーっと驚かせちゃってごめんなさい。下手に動かないほうが身のためってわけ」
ローズは「……これはちょっと甘く見ていたね」と小さな声で呟いた。
これでは身動きはとれない。逃げ出すことも攻撃に出ることもできない。
そのとき突如、キロスの後ろの壁がドカンと弾け大きな穴が開いた。
もうもうと上がった土煙が徐々に薄れていく。
現れたのは拳を構えた紫月 唯斗(しづき・ゆいと)だった。
彼が鬼種特務装束【鴉】【PCM−NV01パワードエクソスケルトン】を放ち壁を破壊したのだ。
隣には小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)
がいて彼女の後ろにはコハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)が隠れていた。
「まったー!お医者のおねーちゃんに手を出したら私たちが許さないんだから、あちょー!」
美羽は片足でバランスをとり、もう片方の膝を上げてポーズを決めている。得意の足技を炸裂させる気まんまんだ。
「御託はいりません、覚悟してくださいキロス!」
唯斗はキロスに向かって走る「させるかよ!」とナイフを持った凶霊団が邪魔をするが
あっというまに殴り捨てられた。キロスは口元だけで笑い唯斗を迎え撃つのだった。

美羽と唯斗が戦っているその隙にコハクはローズの元へ駆け寄った。
「怪我はないかローズ」
「私は大丈夫、それより香奈を!」
2人は手早くロープを解く。
「香菜!僕だよ、起きてよ香菜!」
香菜は目覚めない。確かに呼吸はしているのだがコハクの問いかけに応じない。
「見たところ怪我はない……どうやら気を失っているみたいだ」

「ち、ちくしょう、お、俺たちじゃ無理だ!」「逃げろ逃げろ!金より命だっての、撤退だ撤退!」
凶霊団たちは次々と逃げ出していく。やはり契約者と雇われの凶霊団とでは力に差がありすぎた。
だがキロスは違う。1人で美羽と唯斗の2人を相手に互角、いやそれ以上に戦っているのだ。
美和の蹴りを踊るようにかわし、唯斗の攻撃を受け止める。
キロスは美羽へ手のひらを向け炎の魔法を放つ。
美羽は咄嗟に受け止めるが勢いに耐え切れず吹き飛ばされてしまった。
「美和!……っく!」
唯斗はキロスから大きく間合いをとった。
「どうしたのどうしたの?さっきまでの勢いはどこへいっちゃったのかしらー?」
「言葉遣いといい、妙に体をくねらせた動きといい……どうもキロスらしくない。だとしたら操られているのでしょうか」
唯斗インペリアルイディクトを放とうと隙を伺っている。しかしキロスはふざけているように見えるが隙はない。
もし誰かに操られているのだとしたら。全力の攻撃をぶつければその衝撃で魔法は解けて元のキロスに戻るかもしれない。
「うー、いったった……でも負けないんだから。あんなのキロスじゃないもんあんな人私知らないもん。
待っててキロス、今元に戻してあげるんだから!」
美羽は走る、壁をバーストダッシュで駆け抜け天井を駆け抜け、そして勢いのままに、
「元にもどってー!」
キロスの脳天の踵落としを放った。
キロスはよろめいた。だが美羽に向かって余裕で「ぶいっ」とピースするのだった。
しかしそれが命取りとなった。
「そこです!!」
唯斗は間合いを一気に詰めてインペリアルイディクトを放つ。
直撃を喰らったキロスは「うぎああああゃー!!」と叫びながらふっとんでいき壁にぶつかる、大きな亀裂が生まれて彼は気を失うのだった。
「少しやりすぎましたか……これでキロスが元に戻ると良いのですが」