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キロス・コンモドゥスの罠、夏來香菜を助け出せ!

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キロス・コンモドゥスの罠、夏來香菜を助け出せ!

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うん……じゃあよろしく……うん、大丈夫。香奈は見つけたぜ。ああ、しばらくすれば目を覚ますと思う。
……うん、それでキロスのことだが……うん、分かった。リネンもよろしく頼む。

香奈は目を覚ました。目をこすって体を起こして周囲を見回している。
「香菜!よかった、みんな!香菜が起きたよ」
面倒を見ていたローズが気がついた。
キロスの様子を見ていた唯斗と美羽が香菜の元へ向かっていく。
1人離れたところにいたコハクは驚いた顔をすると「じゃあ、よろしく」と携帯電話を切って香菜の元へと走った。
「香菜、大丈夫?助けに来たよ」
コハクが心配そうに香菜を見つめて言う。
「助けに……あっ、そうか確か私、凶霊団に捕まって……ごめんなさい、みんなに迷惑かけちゃって。でも大丈夫心配しないで」 
そう言って祭壇から降りるが「いたっ」と顔を歪め足首を押さえてしまった。
「おっと足を捻っていたのかな、目覚めたばかりなんだ無理をしちゃいけないよ」
ローズはスキルの治療を施して香菜の足を癒した。
「ごめんなさい、私たち迷惑ばかりかけちゃって」 
「礼には及ばないよ医者として当然さ。それにしても香菜。一体何があったんだい?」

香奈は言う。
あの日の夜の学校帰りに凶霊団に襲われたことを。
凶霊団を指揮していた女はたくさんの手下を引き連れて自分とキロスに襲い掛かってきたのだという。
キロスは香菜を守ろうと女に戦いを挑んだのだが。相手が悪かった。相手は奈落人だったのだ。
しかも相当の実力者だったようでキロスは抵抗することもできずに体を乗っ取られてしまったのだという。
「……いたたたた。んもー頭がぐらんぐらんだわ……お花畑が見えないだけまだマシってとこー……」
話が終わった直後、壁にもたれ掛っていたキロスは立ち上がり祭壇に集まった契約者を見た。
「うぬああああー!!」
彼の眉が思いっきり釣り上がった。足元に転がっていた剣取って頭上に掲げた。
キロスを中心に真っ赤なオーラが集まってくる。
アジト全体が軋みだし、グラグラ揺れ始めて契約者たちはよろめいた。
「あっはっはっは、覚悟しなさいあなたたち。私の全身全霊の一太刀でアジトごとバイバイさよならよー!」
「口だけじゃないわ!キロスを乗っ取った奈落人よ!」
「確かに!キロス――いや奈落人の太刀筋、ただものではありませんでした。……これは少し面倒なことになりそうです」
「香菜!早く私の後ろに隠れて。キロス――奈落人とはなんて運の悪い……」
「こ、恐くないもん!わ、私の足技の相手じゃないんだらね!」
「ぼぼ、僕だって!今がここぞってときなんだ!」

遺跡の振動はどんどん強くなっていく、天井から小石がぱらぱらと落ちてくる。
キロスは白目をむいて、髪を逆立たせて、顔中の血管を浮き上がらせて、
凶暴なモンスターように契約者たちに向かって突進してきた。
「うおおおおおおりゃああぁッ!!!」
が!勢いよく転んでしまった。
うつ伏せに倒れると揺れはピタッと止まった。キロスに集まったオーラも嘘のように消えていた。
呆気にとられている契約者たち。彼らは床に突っ伏したキロスの姿を抜け殻になって見つめている。
するとキロスの体からボロボロの奈落人が抜け出した。
奈落人は15、6歳ぐらいの女の子だった。
彼女は両方の手の人差し指と親指をLの形に開いて、その2つをくっつけて四角を作った。
四角を片方の目にもってきて「カシャ!カシャ!」と言いながらで契約者たちを撮影している。
「あっはっはっは。バッカねー、びっくりした?びっくりしたでしょ?あはっはっは面白い顔が撮れた。
額縁に収めて玄関に飾りたいわね。撮影者リリー・ペラドンナ。タイトル。『アホ面の契約者』みたいなー?
ふふふ……なーんてね。もうやーよ、おしまいよー、痛いのはごめんなのよー」
奈落人は何処かへと駆けて出した。
「…………しまった!ええい誰がアホ顔ですかふざけた真似を!もう一度インペリアルイディクトです!」
そのときようやく正気をとりもどした唯斗が奈落人の背中を追いかける。
だが彼の足が止まった。奈落人は何かを落としていった。