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魔女のお宅のハロウィン

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魔女のお宅のハロウィン
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リアクション

「へーか、もうちわけございましぇん」
 そんな悪戯なお菓子を食べた1人、早川 呼雪(はやかわ・こゆき)は涙目でリーアの家の前に立っていた。
「しゃっきもらったおかちをたべたら、ちいたくなってちまいまちた」
 ネフェルティティ・シュヴァーラ(ねふぇるてぃてぃ・しゅう゛ぁーら)が視察帰りに寄ると聞き、案内をしようと待っていたのに……不可抗力で舌足らずな3歳くらいの幼児と化してしまっていた。
「まあ、可愛らしいです。ぼく、何才ですか?」
 ネフェルティティは腰を落として呼雪を見て、微笑みかける。
「ちがくて、おれは……っ」
「どうしたの〜コユキ、ちっちゃくなってるよ!?」
 パートナーのファル・サラーム(ふぁる・さらーむ)が気付いて慌てて駆け寄ってきた。
「おかち……おかちたべたら、こんな、なった……」
 悔し涙を浮かべながらファルを見る呼雪。
「あはは、陛下のご案内はボクがするから大丈夫だよ! 大人の服じゃ動き辛いでしょ? 部屋の中で着替えてきなよ♪」
 言って、ファルは呼雪の小さな背をおして、ログハウスの方へと向かわせる。
「いってきましゅ」
 呼雪は騎士達と共に訪れているネフェルティティに頭を下げると着替えに部屋に向かっていった。

 ネフェルティティの来訪を聞いたリーアはさすがに驚いて、お菓子作りをエリスと壱与に任せて、挨拶に出てきた。
「ザンスカールで頂きましたお菓子です。少しずつですみません。どうぞ」
 ネフェルティティは腰を落として、近づいてくる子供達にお菓子をあげたり、頭を撫でてあげたりしていた。
「初めまして、女王陛下。こんな辺鄙なところにお越しいただきまして、誠に恐悦至極で存じます」
 ぼんきゅぼーんな姿のまま、リーアはネフェルティティに挨拶をする。
「ふふふ、そんなに畏まらないでください。今日はこのような素敵なパーティを開いてくださり、ありがとうございます」
「へーか、しちゅれいちました……」
 リーアに指示された通りに着替えた呼雪は、何故か白雪姫の服を着ていた……。
「わ〜、コユキ、それ可愛いね。似合ってるよ」
「うん、やっぱり似合うわよね」
「りーあしゃん、これちかのこってないって……おイタはほどほどにちてくだしゃい」
 涙目で呼雪は抗議するが、リーアはごめんねーといいながら楽しそうに笑っていた。
「それにしても、リーアさんがこんなにイタズラな人になってるなんて。昔は神子の人達の多くは、真面目な人だと思ってたから意外〜」
「最近になって薬を作る楽しさに目覚めちゃったのよねー。役目から解放されたからかしらね? あ、私は元々神子じゃなくて、神子の力を預かってただけなの」
「そっか、それで陛下とも初めましてなんだね」
「うん。遠目で見たことくらいはあるんだけどねー。あ、これ食べる? 安全なお菓子よ」
 リーアが動物型クッキーをファルに差し出す。
「毒は入ってないけど、子供化するお菓子だったり?」
「ぴんぽーん。陛下子供好きみたいだし、あなたも子供になっちゃいなさいよ」
「ボクはこのままでいいよ。陛下がうっかりちっちゃくならないように気を付けないといけないし」
「ううーん、そうね〜。それじゃ、薬が入ってないお菓子と飲み物教えておくわね」
 さすがのリーアも女王へ悪戯はする気はないようで。
 ファルに薬の入っていない食べ物、飲み物を教えてくれた。
「へーか、たのしいでちか?」
 呼雪はファルが選んでくたお茶を、そっと運んでネフェルティティに差し出す。
「ありがとうございます。とても楽しいです。
 かつて……皆さんにはとてもご迷惑と、ご苦労をおかけしました」
 ネフェルティティは、ファルとリーアを見て軽く頭を下げて。
「そして、世界産みに協力していただき、こんな楽しい時間を過ごせる機会をくださったことに、深く感謝をしています」
 そう言って、呼雪や子供達、集まった人々を見回して微笑を浮かべた。
「はい……ええっと……」
 5000年前も、少し前までも。
 苦しい事が沢山あった。大変な日々だった。
 これからはこんな楽しい時間が増えるといいなと、そんな気持ちを伝えようとしたが、幼子になってしまっていて、呼雪は上手く言葉にできなかった。
「こちらも、どーぞ」
 言葉で伝える代わりに、ファルが選んでくれた美味しそうなサンドイッチを呼雪はネフェルティティに差し出す。
「ありがとうございます。でも今日は皆さんが主役なのですから、もっと楽しんでくださいね」
 サンドイッチを受けとって、ネフェルティティは呼雪の頭を優しく撫でた。
「うう……なでなで、うれしいです。でも、おれはー」
「お菓子食べますか? から揚げも美味しそうですよ。私の膝の上にどうぞ。はい、あーん」
 ネフェルティティは呼雪のことを幼子だと思い続け、その後もとても可愛がってくれた。

「ようじょ、ようじょはどこだー。おまえかー」
「くすりいり……じゃなかった、ふつうのおかしあげるぞ〜。ようじょちゃーん」
「やあっ、やめてぇ」
 ブラヌ・ラスダーと若葉分校の悪ガキ達が、女の子を追い掛け回している。
 だけれどなかなかターゲットの女の子は見つけられないようだった。
「オレはようじょなんてきょーみねーぞ。たぶんここにいるようじょたちは、オレとおんなじだ」
 カボチャ頭の案山子の格好をした、国頭 武尊(くにがみ・たける)は小さな女の子達を眺めまわす。
 子供になってしまい、難しいことは考えられなくなっていたが、幼児化したということは覚えていた。
 多分、この場にいる幼女たちは自分と同じように、薬を飲んで子供化した学生や大人の女性達だろうと。
「つまり、だいたいのようじょのぱんつは、おとなぱんつだ。
 ……たとえば、あのこだって! きっとすごいのはいてるにちがいない!!」
 武尊が目を留めたのは、小枝をぶんぶん振り回している黒髪ポニテの小さな女の子だった。
 無理やりだと、小枝で叩かれたり、人を呼ばれてしまうだろうから――。
「く、苦しい」
 武尊は胸を抑えて、ポニテの女の子――三歳児と化した神楽崎 優子(かぐらざき・ゆうこ)の前によろよろと歩いていき、倒れ込んだ。
「どうしたっ!?」
 正義感の強い優子は、直ぐに駆け寄って、心配そうに武尊を助けようとする。
「うう、苦しい。ぱんつ、ぱんつを……」
「? ……パンツがきついの?」
「ちがうんだ……ぼくは、ていきていにぱんつを……ぱんつをかぶらないとダメなんだ」
 武尊の言葉に優子は怪訝そうな顔をしている。
「お願いだ。きみのぱんつをぼくにっ」
「パンツははくものだよ?」
「ううっ、きみにとってはそうかもしれないけれど、ぼくにとってはかぶるものなんだ……っ うあああああ」
 苦しそうに倒れる武尊。
「だいじょうぶ? じぶんのパンツかぶれば……?
「そんなことをしたら、あっかしていきがとまってしまう……たのむ、もうげんかいだ」
「わかった、よくわかんないけど、わかったよ。それでなおるんなら……えっと、でもゆうこズボンだから……えっと、ちょっとまってて!」
 優子は武尊を残して木の陰に行くと、パンツを脱いで持ってきた。
「だいじょうぶ? じぶんでできる? ゆうこやろうか?」
 温かなパンツを渡しつつ、とってもとってもとっても心配そうな顔をする優子。
「だいじょうぶだ。これさえあれば! さんきゅーーーーーーー!」
 パンツを受け取ると、ダッシュで武尊は去っていった。
「こ、これは……なぜかすっごくエネルギーをかんじるぱんつだ。とてつもないぱわーをかんじる……ぐぬぬ」
 左右を紐で結ぶタイプのそのパンツを見ていると、凄く満ち足りた気分になった。
 そして何故か武尊は軽々しくそれを被ることができなかった。
「これは、ただのぱんつではないな……あの子はいったい、なにものだ」
 この格好のままでは、あの子に治ったのなら返してと言われるかもしれない。
 とりあえず着替えてからじっくり吟味しようと思うのだった。

「鈴子さ〜ん!」
 手作りお菓子を沢山持って、雷霆 リナリエッタ(らいてい・りなりえった)桜谷 鈴子(さくらたに・すずこ)のところに駆けてきた。
「リナさん、来てらしたのですね。……お菓子を持ってきてくださったということは、今回は子供化しないのですね」
 くすっと鈴子が笑みを浮かべる。
「ダメです、それは思い出してはダメです、ううう」
 過去、子供化する薬をうっかりリナリエッタは飲んでしまって、決して見せたくはない黒歴史な過去の自分の姿を、鈴子に見られてしまっていた。
「お菓子、会場にいらしている皆さんに配るのですよね?」
 鈴子がそう尋ねた途端。
「お願いです鈴子さん!」
 リナリエッタは突如、鈴子の前で膝をつき、勢いよくジャパニーズDOGEZA!
「リ、リナさん??」
「どうしても幼女鈴子さんといちゃつきたいんです!」
「えっ!?」
「お願いします! ちっちゃくなる薬飲んでください!」
 驚く鈴子にリナリエッタは頭を下げたまま、幼児化する薬を差し出す。
「ま、待ってリナさん。私は子供達のお世話を……」
「それなら大丈夫です。大人の姿の人も沢山いますし、ここの子供達の殆どは薬で幼児の姿になっているだけの青少年ですから。
 服もご用意してきました! その他必要なものも全部私がご用意します、お世話します! だからお願いします」
 リナリエッタは再び、床に手をつき頭をつき、土下座をする。
「わ、わかりました……。分かりました、リナさん。そんなに仰るからには……多分、楽しいのですよね?」
「はい、私が! あ、もちろん鈴子さんも楽しめるよう精一杯尽くしますので」
「ふふ……ありがとうございます。そうですね。
 私もたまには、子供化して遊んでみたいです」
 言って、鈴子は幼児化する薬を飲んだ。
「ふくがぶかぶかに……」
 服に埋もれながら、恥ずかしそうにリナリエッタを見上げる鈴子は、日本人形のようにとっても可愛くて。
「それじゃ、お着替えしましょーーーーー」
 ぎゅーっと抱きしめて、すりすりしながら、リナリエッタは着替え用の部屋に連れていくのだった。

「と、とりっく・おあ・とりーと」
 魔女の姿と化した鈴子が恥ずかしげにリナリエッタに言った。
 小さな鈴子は、大人しくて恥ずかしがりやさんだった。
「どうぞー、いくらでもどうぞ〜〜〜。ああんもう、可愛い。マシュマロ作って来たんだけど、このほっぺの方がずっと柔らかなマシュマロー」
 思わずちゅーすると、鈴子が「きゃっ」と小さな声を上げた。
「あ、ごめんなさい。嫌なら嫌っていってね。我慢するから」
 笑みが止まらない状態で、鈴子を撫で繰り回しながら、リナリエッタは言った。
「やじゃないです。リナさんのほうが、やわらかい、です……」
 じーっと鈴子はリナリエッタの胸を見ている。小さな姿で見ると、それはもう凄まじい爆乳なのだ。
「お互い気持ちいいなら、問題ないわねー。うふふっ」
 リナリエッタは鈴子をぎゅっと抱きしめ、すりすりしながら、外へと連れて行く。
「さ、鈴ちゃん、大人達からお菓子もらいましょう」
 そして手を引いて歩き出す。
「はあい」
 可愛い返事をして、ちょこちょこと歩く鈴子はくらくらするほど可愛くて。
(ああもうどうしよう。連れて帰りたい。でもそれじゃ、誘拐犯になっちゃうわー)
 リナリエッタは心の中で葛藤しつつ。
「とりっく・おあ・とりーと」
「この子にお菓子をくれないと、悪戯しちゃうわよぉ」
 大人の元を回って、お菓子を食べて。一緒にめいっぱいハロウィンを楽しむのだった。