空京

校長室

開催、空京万博!

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■最上階を目指せ

そのころ、たいむちゃんタワーの最上階を目指して、走る者たちがいた。

「タワーダンジョンと聞いては気になるじゃないですか……(もぐもぐ)」

『仮想現実』 エフ(かそうげんじつ・えふ)が、恵方巻きを食べながら言う。

「金色の鎧兜の兄ちゃんが……って、なんでやねん!」

由乃 カノコ(ゆの・かのこ)が、ツッコミを入れる。

「なんや派手なんはあっちででかい音したさかい、
倒されたんやと思うけど……て、おぎゃー!」

ゆる族怪人の姿に、カノコがグレネードランチャーをぶっ放す。

「今のうちに進みましょう(もぐもぐ)」

エフは、こんな時も恵方巻きを食べながら言う。

他方、ハイナ・ウィルソン(はいな・うぃるそん)を姫に見立てて、
南部アメリカ出身らしく、ダンジョン探索にやってきた二人組がいた。

マイト・オーバーウェルム(まいと・おーばーうぇるむ)
マナ・オーバーウェルム(まな・おーばーうぇるむ)である。二人も最上階目指して突き進む。

「U・S・A! U・S・A!」

「ゆーえすえーゆえすえー」

マイトとマナは、それぞれ槍と剣を振り回しながら叫ぶ。

「ヒャッハー! テキサス魂、ウェストバージニア魂!
ハイナの双丘が待ってるぜ!」

マイトは、同郷のハイナにタワー攻略に成功したら、
おっぱいダイブさせてもらう約束をしたつもりになってるのだが、
もちろん、実際にはそんなことはない。

「北部メリケンには負けないぜ!
南部メリケン魂を見せてやるぜえ!」

マイトは南部出身のプライドにかけて突き進む。

カレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)も、塔は登るものと考えており、
ジュレール・リーヴェンディ(じゅれーる・りーべんでぃ)とともに、最上階を目指す。

「こんな面白い事、ロイヤルガードとして要請されなくてもするよ!
いったい奥には何があるんだろう?」

「ふむ。
やはり、ここは秘宝が眠っているというのが常道であろうが……」

「お宝!?」

「いや、あくまで推測の話だ……って、聞いてないな」

ジュレールが、
カレンの好奇心にさらに燃料投下したのに気付いた時には、
パートナーは階段を二段飛びで駆け上がっていた。

「い、今起こったことをありのままに話すよ!?

セラさんが唐突に、

『たいむちゃんタワーはポータラカ人が作った星間ロケットだったのです!』

とか言い出したんだ!

催眠術とか新興宗教だとかそんなチャチなものじゃない……。
もっと恐ろしいモノの片鱗を見たとか見ないとかだよっ!?」

そのころ、琳 鳳明(りん・ほうめい)が、
セラフィーナ・メルファ(せらふぃーな・めるふぁ)の発言に衝撃を受けていた。

「……」

セラフィーナは、ちょっとした冗談のつもりで言った発言を、
パートナーが本気にしてしまったので、どうしようかと思ったが、
引っ込みがつかなくなっていた。

「いっそのことたいむちゃんタワーの最上階まで行きましょう!
ポータラカ人が関わっているのなら、ブライドオブシリーズもあるはずです!
久々の花音特戦隊としてのお仕事ですね!」

「わ、わかったよ、セラさん……!」

(……あれ? 何故だか目から汗が)

セラフィーナが滂沱しつつ、鳳明とともに階段を駆け上がる。

(きっと私が最近少尉になって、
お姉さんキャラってアイデンティティが揺らいでるから不安定になってるんだね……)

鳳明はそんな風に思っていた。

「天辺やー!」

「ヒャッハー!」

「お宝は!?」

「ブライドオブシリーズは!?」

カノコとマイトとカレンと鳳明が、
ほぼ同時に屋上に到達すると。

弁天屋 菊(べんてんや・きく)親魏倭王 卑弥呼(しんぎわおう・ひみこ)が、
移動劇場で、
秋葉原四十八星華のゲリラライブをやっていた。

「みんな乗ってるか〜い?」

『小さな翼』を歌って、卑弥呼が会場に呼びかける。

その上では、
茅ヶ崎 清音(ちがさき・きよね)をいつものように置いてきている、
キャンディス・ブルーバーグ(きゃんでぃす・ぶるーばーぐ)が、たいむちゃんの像にしがみついていた。

「たいむちゃんタワーの衣装を決めるにあたって、
ろくりんピックのロゴを入れるように提案したのに、入ってないなんて……。

しかたないからミーがオデコにペイントするネ!」

ずっこける一同だった。