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リアクション
決着、エリザベートvsエギル 2
「何回もやられっぱなしじゃ終われないんだからね!」
「まあまあ、程々にしてくださいね」
魂の賢龍・フィオーレに乗った三笠 のぞみ(みかさ・のぞみ)を、無茶はしないようにとなだめるロビン・ジジュ(ろびん・じじゅ)。
「今度こそ倒れてもらうんだから!」
フィオーレと共に上空を舞い、エギルとの距離を縮めつつ旋回するのぞみ。
「私の一撃、食らいなさい!」
ちょうどエギルの頭上に来た時、エギルを貫かんと急降下を開始。
「その程度の攻撃、見切れぬと思ったか!」
上から来るのぞみの攻撃を察知しエギルが横へ飛びのく。しかし、のぞみとてその攻撃が当たるとは考えていない。
フィオーレは減速することなく飛びのいたエギルを追走。が、しかし――――。
「これも承知の上だ!」
「きゃっ!」
それすらも看破していたエギルは氷の刃を瞬時に作り上げ、のぞみ目掛けて放つ。
反射的にその攻撃をなんとかかわし、のぞみは再度上空へ。
「……貴様らの狙いは、マレフィキウムだろう? ならば攻撃を食らわなければよい……我が僕どもよ、今一度現れ奴らを始末しろ!」
その声に応じてゴーレムと夢魔が再召喚され、契約者たちへと詰め寄った。
「私は、死者の妄執よりも生者の未来のために戦います」
沢渡 真言(さわたり・まこと)が星辰の籠手から供給されるイーダフェルトのエネルギーを借り、ゴーレムを一層せんとしている。
だがそれをみて黙っている敵もなく、真言を潰そうとする。
それをパートナーである沢渡 隆寛(さわたり・りゅうかん)が止めに入る。
「それ以上の接近は許されておりません。お下がりください」
丁寧な口調とは裏腹に、スカージを使用して敵の力を封じつつ攻撃し、時にはシュトラールから交戦を放ちゴーレムを穿ち、敵を寄せ付けない隆寛。
「ゴーレム、君たちも疲れたろう。少し眠るといい」
また、ロビンによるヒプノシスがゴーレム全体を眠りへと誘いその意識を暗闇の中へと落とし込み、行動不能に陥らせる。
「ありがとうございます。これで、心置きなく焼き払えるというものです!」
隆寛とロビンが作り出した隙に感謝しつつ、武器から爆炎を放ち、ゴーレムを焼き焦がしていく真言。
一方、夢魔の対処は強盗 ヘル(ごうとう・へる)が雇った傭兵団がしていた。襲い来る夢魔たちに銃器などで応戦し、これを迎撃していく。
「ったく、あんまりしつこい野郎は嫌われるぜ?」
「いくですぅ〜! エギルともども蹴散らすですぅ!」
傭兵団の後ろには本物のエリザベートの姿があった。善戦する傭兵団に可愛い声色には似つかわしくない言葉でもって応援をしている。
「くそ! あいつら魔法で攻撃してきやがった! いてぇ、いてぇよ!」
「メディック! メディックはどこだ!」
「はいはーい、ここにいるよー! 負傷者さんはどなたー?」
「いてぇ、意識が、とびそうだ……!」
「あなたね? それじゃ搬送するから、じっとしててね!」
傭兵団から出た負傷者たちを搬送するメディック芦原 郁乃(あはら・いくの)。
彼女は安全な場所で負傷者の治療を行っている秋月 桃花(あきづき・とうか)の所へと負傷者を搬送することで、戦線が維持出来るように努めていた。
「……はい、これでもう平気ですよ。でも無茶は禁物ですよ」
「はっは、傭兵は二束三文でそこら這いずり回るんだ。無茶を通り越して馬鹿ってもんさ。
だが、治療してくれた嬢ちゃんの頼みだ、きかねぇわけにはいかねぇ。そいじゃちょいとヒーローになってくるぜ!」
「はい、お気をつけて」
癖の強い傭兵たちにもおどけず、明るく接しながら手当てをしていた桃花の所へ、郁乃が負傷者を連れてくる。
「おーい、急患だよ! 意識が飛びそうなんだって」
「……確かに重症ですね。メジャーヒールをした上で、更に手当てをしましょう」
「うん、任せた!」
――――メディーーーーーーク!
「はーい! 今いきますよー!」
激戦が繰り広げられる前線を陰ながら支える二人。
この二人のおかげで傭兵団も瓦解することなく次々と夢魔を撃退、次第に攻勢はエリザベート側へと傾いていく。