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オークスバレーの戦い

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オークスバレーの戦い

リアクション

「あ、ああっ。くる、くる、っ……」
 騎鈴隊長……やばくね?


第8章 共鳴

8‐01 ザ・シャンバラン・ショー

 その後、情報収集をしつつ、西の集落の人々と話して回る相良伊織とグラン・ブレイズ。
 どうやら集落の広場に、住民の人達が集まっているようだ。
「グラン。何か始まるのでしょうか? 行ってみましょうか」
「そうだな。これも試練。見てくるがいい」
「……またそんなこと言って……グランさぼりたいんじゃ……」
「かっ!!」
「い、行ってきます!」
 そこで相良は、奇妙な光景に出くわした。
「あ、あれは……オーク!!」
 ちょっとかわいいオークが、とことこと、村の広場の真ん中に現れた。
「コノ村ワー、ワタシガ頂イターー」
 右へ左へ移動し、手をぶんぶん振り回すオーク。
 そのとき、
「まてぃ!!」
 どこからともなく声が。
 皆が、声のする方を向く。そこには……神代 正義(かみしろ・まさよし)の姿が!
 バッ。屋根の上から飛び降りる。ザッ。オークの目の前に下り立ち、グァッ(お面を被って、)
「正義の使者! パラミタ刑事シャンバラン!!」
「ナマイキナー叩キ潰シテクレルワーー」
 棍棒を振りかざすオーク。バッ。シャンバラン、後ろへジャンプ。踏み込むオーク。ザッ。シャンバラン、飛んだり跳ねたり! オークの一撃。ちょ、あ痛! グァッ。シャンバランブレード! ガッ。右へ左へ! ググァッ
「シャンバランダイナミィィィック!!!!悪は滅びろ!!」
 チュドーーーーーン
 爆破演出付き!!(シャンバランは爆炎波を使った。敵に87のダメージ! 消費SP9。シャンバランの残りSPが3になった!)
「ヤーラーレーター」
 ぼんっ。オークの中から現れた美少女は、ご存知、太陽戦士ラブリーアイちゃんこと大神 愛(おおかみ・あい)
 わーーぱちぱちぱち
 子ども達が、シャンバランとオークアイちゃんのもとへ、駆け寄っていく。
「な、なんですか?! これは一体……」
 木陰に隠れて、攻撃の隙をうかがっていた相良。
「気づけよ!」
 グラン、バーストダッシュでヴァルキリーパンチ!
「オークたおすぞ! オークたおすぞ!」
 げし げしっ
「あうっ」けりを入れられる愛。「はあ、はあ……お、おねえちゃんHP0になっちゃったから、みんな、もうちょっとやさしくけってね? あ、ちょ、痛!」
 ヒーローショーが無事(?)終了し、子ども達の拍手のなか、感動に震えるシャンバラン。「出来得る希望を与える仕事は為した……!! むっ」
「オォォォォォク!!」
 キャァァァァァ!!
「ま、またショーが始まるのですか……」
「がつん! ちょっとおあつらえむきではあるがな。伊織、ゆくぞ。……泣くな!」
「うう、えっ、えっ」
 広場を蹂躙するオークの群れ。かなりの数だ。
「シャンバランダイナミィィィック!!!!悪は滅びろ!!」
 ……
 シャンバランは爆炎波を使った。……SPが足りない!
「くっ。ならば」
 たあっ
 ヒット&アウェイ! ヒット&アウェイ!
 ドッ、ドッ。真面目にオークを打ち払うシャンバラン、神代 正義!
「作り話なんかではない! 本物のヒーローがいるってことをここの住民達に伝えるためっ! いざ!」
 神代はシャンバランの格好のまま、オークの群れに突っ込んでいく。
 オークの群れは、突入してきたのとは反対方向、本陣のある方向へとそのまま突き進んでいった。「あれ? ラブリーアイちゃんは……?」――オークのきぐるみを着たままの愛を先頭にして。「きゃぁぁ、いやぁぁぁシャンバラーーン!!」
「くっ。まってろ、アイちゃん。そして、まってるんだ、ここにいる子ども達! シャンバランが必ず、この峡谷に平和を取り戻す」
 シャンバランBダッシュ! ……SPが足りない!
「くっ」神代は、本当に真面目にオークを追って走っていった。



8‐03 騎鈴ちゃん誘い受け☆

 ドン。ドン。ドンツク。ドン。
 ひときわ大きくなる、太鼓の音。
 ドン。ドン。ドンツク。ドン。
 丘陵の頂。
 廃墟へと忍び込んだ、黒炎の四人と、マリー&カナリーは、オークの妖しい儀式を目の当たりにした。
 ドン。ドン。ドンツク。ドンツク。ドン。ドン。ドンツク。ドン。
 匡、クロードらが、森の遭遇戦で切り抜けたオークの群れよりもっと多いだろうか、五十、六十、……? いやもっと、……
 どうも、ただオークを集めているのではないらしい、これは明らかにまじないの類の儀式だ。
 全身に奇妙な模様を描かれたオーク達。
 武具を振り乱して踊り狂うオークの群れの真ん中で、座して呪文を唱え続ける仮面とフロシキに身を包んだ魔術師。
「……どう見る、匡?」
「……ンー……困りましたねえ(くすり」
「これは……」
「わ、わかるのか、マリー殿?」
「撲殺寺院」
「そ、それはやばそうだねぇ」
「……ではなかったでありますか」
 ずるっ。身を潜めていた屋根から、レイユウの足が滑って、半身が下のフロアーに落ちそうになる。
 ばっ。レイユウの手をつかむ、匡、クロード、戒羅樹。純白のドレスが破けた。見上げるオーク。全員の動きが、止まった。
「別に、あなたが気にする必要はありませんよ……?」首を傾げ、微笑してみせる匡。
「……だよなぁ」レイユウ。ニッと口の端を引き上げて、不敵に笑い返してみせた。
 だだーん!
 フロアに下り立つ、黒炎の四人!
「行くよ、クロ!」
「さぁ、永久殿……参ろうか」
 オークが一斉に向かってくる。尋常でない速度だ。
「ハアアア!!」
 オークの群れの上に、マリーが降り立った。
「匡、クロ、永久、レイ!(勝手にあだ名御免!)……逃げるであります!」





 更に、丘陵の下、本陣後背の森でも、依然、激戦が繰り広げられていた。
「ガハハハハ!! 元気か、ガキども!!」
「おっさんこそ……元気だよね」
 久多は、ボロボロになりながら、弾切れになったアサルトカービンで、オークの頭を打ち続けていた。
「ガハハハ……さあ、ガキども……戦は引き際も大事だぜ」
 急に真面目になって、カイルは言った。
「お、おっさん、だいじょうぶか?」
「ここは俺が引き受けた。行きな、ガキども」
「よしわかった。じゃあてめえら、」
 ガッガッ、橘が、鮮やかな木刀さばきで、後ろに回りこんでいたオークを討つ。
「どきな! マリーア! 早く、アメリアさんも」
「私は大丈夫!」アメリアは、盾でオークの攻勢を防いでいる。
「お嬢さん方は、先へ! おいにゃんこも逃げな?」
「コルァ!」「コルァ!」「コルァ久多! レベルが低い奴が先逃げニャ!!」
「……なんでこのにゃんここんなにかわいくねえんだ」





 森。
 ここでも、にゃんこ兵を率いて戦う、黒乃、比島らに、限界が近付いていた。
「はっ! はっ!」サイモン・アームストロングは、ドラゴンアーツで、まじめに、オークを討ち取り続けている。
 その周りでは……
「逆ヴィの字でござるニャ!」「逆ヴィの字でござるニャ!」
「にゃんこの統率全く執れてないし……」
 ここには、あれからナイトのユウ・ルクセンベールと、ルミナ・ヴァルキリーが援護に駆けつけている。
 二人は共に、バーストダッシュで、高速の戦闘を繰り広げる。
 増えつづける、オークの群勢。
「こ、ここまででありますか」
「ぶんた〜い! 後ろへっ!!
 ……たいきゃ〜〜く」
「ぶんた〜〜い、退却でござる〜〜、退却でござーる〜〜」
「逆ヴィの字でござるニャ!」「逆ヴィの字でござるニャ!」





「……ん? 今のは……上官ど、いや騎鈴教官、丘陵の上に敵が見えたようだ……指示を頼む」
「ああんっ、きた、きた、っ……!!」
「少し、心配です……」
 グレンと顔を見合わせる、ソニア。
 次の瞬間。
 東西南北より、本陣に押し寄せる、オークの群れ群れ群れ。
「オォォォォォォォォォク!!!!」
 騎鈴はナギナタを、ずっと持っていた。このときのために。
 丘陵の上からは、マリー&カナリーに、黒炎が、オークに追われて駆け下りてくる。「騎鈴ちゃん、やはりわての予想通りでアリマス!!」
 後背からは、ドラゴンアーツで黒乃と比島とフランソワを抱えたサイモンを先頭に、ユウ、ルミナがにゃんこを守って、駆けてくる。それに続くオーク兵。
 東からは、橘、マリーア、高月、アメリア、久多&にゃんこ! オークと一緒に、カイルも走ってくる。
 西からは、ラブリーアイちゃんが、オークを率いて突っ込んでくる。それを追うシャンバラン。グラン。相良。
「オォォォォォォォォォク!!!!」
「……失せろ! その下品な口……黙らせる」グレンは銃を抜き放つ。
「グレンは私が守り通します、絶対!」その前に立つ、ソニア。
 リースは、スコップを構えた!
 戦部は、アサルトカービンを、ぶっつけるように撃ちまくる覚悟はできていた。



8‐03 鉱山

 暗い暗い坑道を進む、沙鈴と綺羅。
 カツン、カツン、……
 どこまで、続くのだろう。
 とても、静かだ。
 ……
「はっ。だ、誰……?」
「機晶石はあたし達のもの……」
「誰にも渡さないよ!」
 不意に、坑道の天井に光る、四つの眼。そして、牙。
 襲いかかってきた。
「吸血鬼……?」
 が、それはすぐ、闇の奥へと消えていった。
「沙、沙鈴さん〜〜……」
「……まだ、もう少し、進んでみましょうか……」





 ……
 カツン、カツン、……
 どこまで、続くのだろう。
 とても、静かだ。
 ……





 そして、二人が見たものは……
 晧晧と灯かりに照らされ、視界の開けた巨大な穴の中で、鉱山を掘り続けているオーク達であった。
 その何百というオークの所々に見える、仮面とフロシキに身を包んだ魔術師らしき者達の姿。



8‐04 クルード・フォルスマイヤーとオーク八人衆

「クルードォォ、フォルスマイヤァァァァ!! ココ迄ダハァァァァ!!
 我等、オーク八人衆ガ来タカラニワ、クルードォォ、貴様乃命モコレ迄ョ。覚悟ワイイナ?」
 敵は確かに八人。何れも、めいめいが強力な武器を持ち構えている。
「ヒュヵァァァ」
「シュゴォォォ」
「ドゥワラャャャ」
 斬馬刀に斬羽刀、斬婆刀などを手にしたオーク強豪。クルードにとって、今、最強?の敵が立ち塞がった。
 ざっ ざっ
 クルードを取り囲み、間合いを縮めて来る、オークの目にいやらしい光がよぎる。
「クルードワコノ場デ斬リ殺ス。……傍ラノ嫁ワ、ヒャハヤ、巣ニ持チ帰ッテ慰ミモノダ!! ヒャッハァァァ」
 オークどもの、下品な笑い。一瞬だった――「駿狼!」 クルードの姿がふっと消えたように見えたとき、
「ガッ」
「ギャ」
「ドゥワラャャャ」
 八人衆が次々と倒れていく。
「……爪狼連牙斬! ……よし……次へ行くぞ! ユニ」
 クルードは、ユニを抱え、すでに血にそまりゆくオークの死骸を後にしていた。
「はい! クルードさん!」

 ……もっと強いやつ……もっと強いやつはいないのか…!! ……俺は必ずそいつを探し、倒してみせる……





ぽかぽか温泉であったまろーね♪♪♪

 さて温泉。
 ようやく、たどり着いた宇都宮が、温泉の調査を開始していた。
「お姉さま……どうして、浴衣に……?」
「だって……温泉と言えば、浴衣じゃない。ビバノンノン♪」
 ハッ。誰かいる……
 お湯に、プカーリと浮いているのは……ネ、ネイト・フェザー! のぼせてしまったのかしら。ど、どうしよう。また介抱してさしあげようかしら。で、でも裸だし……
 そこへ、ザバー――と立ち現れたのは、「………………キングさんご機嫌いかが?」