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ザンスカール・フェスティバル

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ザンスカール・フェスティバル

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3.食べ物屋台連合にて

 お祭りに来る人たちも増え、屋台の界隈はかなりのにぎわいをみせていた。

 特に、食べ物屋台連合の周辺は人気だ。

 そこかしこに、おいしそうな屋台が軒を連ねている。

 喧騒と、食べ物の匂いにつられて、どんどん人がやってくる。

 では、それぞれの食べ物屋台の様子をみてみることとしよう。


魔女の鉄板焼き

 羽瀬川 セトがやっている「魔女の鉄板焼き」の店内には、特別メニューとしてでかでかと張り紙に 魔女焼き と書いてある。

「羽瀬川さん、この魔女焼きってなんですか?」

「ああ、峰谷さん、いらっしゃい。
 これは、ミアが考案したものでして、見た目はアレですが至福の時を得られとかなんとかいってました・・・・・・
 食べたい方はどうぞ。
 あまりお勧めしませんが・・・・・・」

 セトが峰谷 恵に説明していると、横からエレミア・ファフニールが割って入ってきた。

「・・・・・・ん? 「魔女焼き」とは何かとな?
 これはじゃな、セトの故郷の食べ物のお好み焼きというものをアレンジしたものでな
 材料にウィッチクラフトの材料を使ったものでな・・・・・・
 まぁ見てもらった方がいいなこれじゃ」

 それは、一見すると広島風お好み焼きだが、黒こげのトカゲの足が見えていたり、何かの目玉がこちらを睨んでいたりと、なかなかグロテスクなものだった。

「これはその人にとって一番うまいと思う味がする不思議な食べ物でな
 一口食べれば至福の時に誘ってくれるんじゃ。
 まぁたまにトリップする奴もいるからの・・・・・・
 食べ過ぎに注意じゃ」

 峰谷 恵は、おそるおそる食べてみると、複雑な表情をうかべてこう言った。

「うーん、至福だ・・・・・・」

 これをみた羽瀬川 セトは、心配になってすかさずフォロー。

「本当ですか!?
 まぁともかくみなさんにはおいしいもの食べて楽しんでいってもらいたいものです」


 次に、グレン・ラングレンが、アーデルハイト・ワルプルギスを連れてやってきた。

 食事のお代は、ラングレンが払う。
 彼は、この日のために、いくらか借金までしているのだ。

 アーデルハイトへの思慕は、伝わっただろうか?


 ラルク・クローディスも、王 大鋸を伴って魔女の鉄板焼き店にあらわれた。

「おおー!! こんな所に焼きそば屋があるぜ!
 なぁなぁ、食いに行こうぜ!」

 焼きそば好きのラルクは、そういった美味しそうに屋台のメニューに舌鼓を打っていた。


バナナの叩き売り

 こちらでは、クラーク 波音が、ハリセンを叩きながら軽快に口上を述べていた。

「さぁさぁせっかくお祭りに来てくれたんだ、ちょっと聞いてもバチは当たらないんじゃないかな!
 このバナナ、イルミンスールのとってもよいバナナだよ!
 そこのお姉ちゃん、お兄ちゃん買ってみない?
 買うならおまけも付けちゃうよ
 ちなみにそこの魔女の姉ちゃんに頼むとチョコバナナにしてくれるってさ。
 今のバナナ売りはサービス旺盛だね!
 なになに、お前もチョコバナナを食いたいだけだろうって?
 えへへ、ばれちゃったね、その通りだよ!
 いっぱい売れるとあたしも食べられるからね!
 さぁ、買った買った!」

 波音の威勢の良い口上にひかれて、デズモンド・バロウズとアルフレッド・スペンサーがやってきた。

 デズモンドは、平常心を装っているが、溢れるワクワクは隠しきれていない様子。

 屋台とか屋台とか屋台とかをひたすら楽しみにしているのだ。

「俺様、甘いものが大好きなんだぜ! バナナちょうだい」

「まいどー。
 チョコバナナにもできますが、いかがですか?」

「お! いいね。ぜひ頼むよ」

 それを聞いたアンナ・アシュボードが、イルミンスールらしく魔法の火術で湯煎したチョコレートをバナナに付けて、デズモンドに渡した。

「うおー、美味しい!」

 チョコバナナは好評のようだ。


 柊 美月も茅木 綾人と一緒に食べ物屋台連合のあるところにやってきた。

「えっと、綿飴、チョコバナナ・・・・・・食べたいものがいっぱい♪」

 すると、クラーク 波音がバナナ売りの口上が聞こえたので、お店にやってきた。

 美月は、バナナにジャムをトッピングとしてつけてもらった。

 これらはアンナ本人が作ったもので、お店ではトッピングが解けないように、氷術で冷やしているのだ。


 シャーロット・マウザーとシルフェノワール・ヴィント・ローレントも、食べ物屋台を楽しそうに歩いていた。

「わぁ、凄いですねぇ。
 面白そうなお店がいっぱいですぅ」

 フルーツ系が好物のシャーロットは、迷わずバナナをゲット。

 トッピングはアンナの作ったアイスクリームだ。

 シャーロットが、バナナを美味しそうに食べながら歩いていると、シルフェノワールが、ぱくっと横取り。

「ふふ、貰ってしまいましたわ」

「あー、ずるいー」

 シルフェノワールは、そういって追いすがるシャーロットの手をしっかり握ると、人ごみの中に消えていった。


 晃月 蒼は、王 大鋸とのお祭りめぐりにオーケーをもらったものの、少々不安だった。

「多分、ワンちゃんは人気者だろうから・・・・・・
 どうにかして、ゆっくりお話したり出来るように持っていきたいところだねぇ
 ら、拉致しかないか?! ワンちゃん拉致」

 というわけで、半ば王 大鋸をここバナナ屋まで連れてきたのだった。

 生クリームをトッピングした食べながら、晃月はワンちゃんとの会話を楽しんでいた。


 愛沢 ミサは、シー・イーにバナナを買ってあげていた。

 屋台の代金は、シー・イーなら奢る。
 ミサはそう決めていたからだ。


イルミンスール魔法学校名物 「クトゥルフ焼き」

 本郷 涼介のやっているこちらの屋台では、クレア・ワイズマンが呼び込みをやっていた。

 クレアの格好は可愛い浴衣で、雰囲気はまさに看板娘だ。


 和原 樹は、このクトゥルフ焼き屋台に思いきり食いついていた。

「たこ焼きがクトゥルフ学科名物みたいなことにっ。
 関西出身としてこれは見逃せない事態だ・・・・・・!
 ・・・・・・2つくれ」

 と、抗議でもするのかという勢いで買い求めた。

「たこ焼きと明石焼きは、見かけると食べずにはいられないな」

 おいしそうにたこ焼きを食べている和原 樹の顔に、フォルクス・カーネリアがヌッと近づいてきて
「ソース付いているぞ、樹」
と口の端を舐めたのだ。

 途端、樹のグーパンチがフォルクスに炸裂したのは言うまでもない。

 この屋台の特典は、なんといってもダイスの出目によるサービスだ。

 和原 樹は、2パック買ったので、ダイスを2回振ることができる。

 1回目は失敗したが、2回目に3のゾロ目が出た!

 「ヤッター。半パック追加だ」

 たこ焼きが好物の和原 樹には、うれしい限りのサービスである。


 戸隠 梓は、エリザベートに対して、やたらと屋台で売っている食べ物をあげていた。

 そして、このクトゥルフ焼き屋台にもやってくると、梓はエリザベートにたこ焼きを買っていた。

 小さな少女が大きなぶつ切りのたこをおいしそうに食べている様子を見て
「可愛い・・・・・・」
と梓は惚けていた。


 アーデルハイトを伴った茅野 菫も、ここにやってきた。

 菫は、
「わぁ、おいしそう!」
といって、8つのクトゥルフ焼きをペロリと食べてしまうのだった。

「8個入りというのはタコの足の数からなんだよ」

 本郷 涼介の説明を聞きながら、菫がダイスを振ってみると、見事6のゾロ目が出て、もう1パックゲット。

「あなたクジ運強いねー」

 本郷 涼介にそういわれ、菫はうれしそうにアーデルハイトと追加のクトゥルフ焼きを食べ始めた。


 織機 誠も、立川 るるとともにクトゥルフ焼き屋台にあらわれた。

「欧州のお祭り屋台といえばポッフェルチェ!
 たこ焼きみたいなお菓子で、甘くて美味しいんですよ」

 るるにそう話しながらクトゥルフ焼きをのぞきこんだ。

 しかし本郷 涼介に
「ああ、これは残念ながらポッフェルチェではないんだよね」
といわれてしまい、結局普通にたこ焼きを買うことにした。


 さて、お次は羽高 魅世瑠とフローレンス・モントゴメリーが、王 大鋸の左右を「両手に花」状態にしてやってきた。

「わぁ、これおいしそう。
ねえキング様ぁ、買ってよー」

 羽高がこうねだるのも、キング様の鷹揚さをアピールするための計算だった。

 もちろん、おねだりするのは、キング様の懐具合で十分買ってもらえそうな食べ物や飲み物に限るが。

「おお、いいぜ」

 王 大鋸はそういって、羽高たちにクトゥルフ焼き買おうとしたところ、愛沢 ミサとシー・イーが屋台にやってきた。

 見ていると、ミサはシー・イーにたこ焼きを奢っている。

 王 大鋸は、愛沢 ミサに向かって
「おう、俺にも奢ってくれ」
と頼んでみたが、断られてしまった。

 ミサは、シー・イー以外の人には、奢りも奢られもしない主義なのだ。

 残念、今回は王 大鋸のイメージアップならず。


炭火焼屋台

 店先では、片野 永久が大きな声で呼び込みをやっている。

「さあさ、いらっしゃい! いらっしゃい!
 おいしい炭火焼屋台はいかが?
 巫女さんが焼いてますよ!」

 これを聞いた三池 みつよは
「って、ボク本職の巫女じゃないよ!?」
と否定するが、この際本職かどうかはどうでもいい。

 すると、巫女さんが焼く姿を見ていたラルク・クローディスが、みつよをナンパしてきた。

「ちょっと、うちの看板娘連れてかないでくれるー?
 あ、でも完売まで手伝ってくれるなら良いわよ?」

 片野 永久がこうやってナンパを軽く妨害するが、ラルクは懲りるどころか
「じゃあ、ねえちゃんでもいいんだぜ!」
と永久も誘ってきた。

 しかし、したたかな片野 永久は軽くスルー。

 みつよは、これをみて笑顔で黙って見ていたが、内心では
「なんでスルーしちゃうかなぁ?」
と疑問にも感じていた。


 やがて、リリサイズ・エプシマティオがやってきて、じぃっと物欲しげに永久を見つめていた。

「いらっしゃいませ!
 巫女さんの焼く炭火焼屋台はいかがですか?」

 そう永久が声をかけたが、リリサイズは
「わたくしは歩きながら食事などと、はしたない事は出来ませんの!」
というと、プイっと立ち去ってしまった。

 リリサイズと一緒にまわっていた譲葉 大和は慌ててフォロー。

「女性の楽しみこそ正義。
 ただ一時の暇つぶしのお相手として粉骨砕身、七転八倒するのみです。
 俺はなんと言ってもドMですから・・・・・・
 振られても、断られてもサービスあるのみ!
 目指せ脱、三枚目! つかめナンバーワンホスト!」

 こう喚きながら、リリサイズの後を追いかけていった。


 水神 樹とカノン・コートもやってきた。

 カノン・コートは、屋台で楽しそうに色々買い込んで食べていた。

 ここでも、ご多聞にもれず、炭火焼をほおばっていた。

「あなた、ちょっと食べすぎなんじゃない」

 樹にこう言われても、カノンは
「こんな風に祭りを楽しむことなんてなかったから、嬉しいんだ」
と微笑んでいた。


 エリザベートと行動している戸隠 梓も、炭火焼屋台に来た。

 梓は地図を持っているので、どこそこにこんな出店があったり、あんなイベントが催されたり・・・・・・等々を把握している。

「迷子になったら大変だわ。
手をつないであげなきゃ」
と、エリザベートへの気づかいも忘れない。

 しかし、梓は炭火焼屋台で商品を買い込むと、お願いするような目でキリエ・フェンリスを見た。

「あー、はいはい。
荷物は俺が持ちますよ、
ったく・・・・・・」

 キリエは番犬役に徹しているのだ。


 グレン・ラングレンもアーデルハイトを伴ってやってきた。

 巫女の焼く炭火焼を食べながら、グレンはお祭りのことなどを尋ねてみた。

「俺様はよぉ、この祭りの由来が知りてぇんだけど、教えてくんねぇかな?」

「ほう、それは感心。
そもそもこの祭りはじゃな・・・・・・」

 と、説教好きのアーデルハイドは、長々と説明をはじめた。

 自分の知識を披露することが好きなんだろうというグレンの狙いは当たったようだ。


 晃月 蒼も王 大鋸の武勇伝を聞きたいようだ。

 ふたりは炭火焼屋台に腰掛けると、晃月が質問した。

「ワンちゃんのこといろいろ聞いてみたいです・・・・・・あんなことやこんなことまで!」

「そうか、じゃあ俺様が中国山間部で林業をやっていた時代について話しちゃろう」

 晃月 蒼は、楽しそうに王の物語を聞き入っていた。


 王 大鋸が自伝を語っているとき、店員の三池 みつよは、料理をしながら道行くカップルをキラキラした目で眺めていた。

「いいなぁ、いつかボクもあんな風に・・・・・・」

 しかし、片野 永久はなんとも冷めている。

「見てる分には素敵に見えるかもしれないけど、恋愛って面倒よー?
 一時の勢いで付き合うと、段々と相手の嫌な面とか見えて後悔するしー
 まぁお金持ちそうなイケメンが来たらアタックするつもりだけど」

 みつよは、永久に夢の無い体験談を語られて現実に戻らされたようだ。

「・・・・・・うー、酷いよ。
 ていうか永久の恋愛が上手くいかなかったのって、面倒くさがりなのが一番の原因なんじゃないかなぁ?」

 そんなやりとりをしていたが、屋台の売れ行きは良かったようで、めでたく完売した。

 ふたりは、売り切れの札を立てて、祭りに行きかう人たちをのんびりと眺めることにした。


オレの料理

 ルース・メルヴィンのやるこの屋台にやってきたのは、リリサイズ・エプシマティオと譲葉 大和のふたりだ。

 リリサイズは、さきほどプイッと他の店を出て行ってから、ひとりで歩いていたのだ。

 人ごみを掻き分けながらなので、時々人にぶつかると
「痛ッ!ちょっと失礼ですわよ!」
と、つい相手を非難してしまう。

 しかし、内心では心細く想いながら歩いていると、やっと譲葉 大和が追いついてきた。

 そうして、リリサイズは、さっきと同じく「オレの料理」店主のルース・メルヴィンをじぃっと物欲しげに見つめた。

 だが、ルース・メルヴィンは、リリサイズに声をかけなかったので、リリサイズは、ため息交じりに立ち去ってしまった。

「なんだ、オレの料理を食べさせてカップルのラブラブをぶち壊してやろうと思ったのに」

 ルース・メルヴィンは、肩透かしを食らってしまったようだ。


 次にやって来たのは、峰谷 恵とエリザベート。

 峰谷は、エリザベートとはぐれないように手をつないできた。

「あ、ここおいしそうね。
校長先生、一緒に座りましょう」

 やがて料理が来て、ふたりは食べ始めた。

 すると、おもむろに峰谷 恵がエリザベートをひょいと抱え上げ、膝の上に座らせた。

 そして・・・・・・、 撫で倒す!!!

 勇気を持って撫で倒しを実行したものの、エリザベートに怒られるんじゃないかと内心ヒヤヒヤしていた峰谷 恵だが・・・・・・

 その心配はなさそうだ。

「おお、なかなか気持ちがいいですぅ」

 なんと、エリザベートは目をトロンとさせ、口元にソースをつけながら、気持ちよさそうに撫でられていた。

「やったわ!」

 作戦大成功である。

 しかし、料理のほうは見た目と違って味は「・・・・・・」だったようだ。


 當間 光も、エリザベートと一緒にここで食事をした。

 食べているとき、當間 光がエリザベートに話を持ちかけた。

「ねえ校長先生。
 遊びですが、罰ゲームつきの勝負をやりませんか?
 ルールは簡単!
『敗者は勝者の言う事を何でも一つだけ聞く』
ということです。
 ゲームの内容は、校長先生が決めてもいいですよ」

 すると、エリザベートは驚きもせず、あっさりと承諾してくれたのだ。

 どうやら、勝負の内容を決めさせてもらうというのが、彼女の気に入ったらしい。

「では、相性占いでお願いしますぅ
 私とあなたの相性がいいか悪いかで、勝負しましょう」

「わかりました!
 では、恋愛支援のお店に行きましょう。
 あそこでは相性診断をやっているそうですから」

 そういうと、當間 光はエリザベートと一緒に次の屋台に向かった。


 グレン・ラングレンは、さきほどからこの屋台で「オレの料理」を食べながら、アーデルハイトの話を聞いていた。

 今度は、ザンスカール家の話をしてもらった。

 世界樹イルミンスールを守護したことなど、アーデルハイトの口から語られる昔話に耳を傾けている。

 グレンはまたひとつ利口になったわけだ。

 だが、話を聞き終わったグレンは、店主のルース・メルヴィンに向かって聞こえよがしにこういった。

「しっかしこの料理、うまくねえなぁ」

 パラ実生としては、真面目な話だけでは肩が凝るのだろうか。


 羽高 魅世瑠と王 大鋸も、この店に来た。

 ビキニ姿の羽高と、モヒカン頭の王のいでたちを見て、周りにいたイルミンスールの生徒たちがコソコソと悪口を言っている。

 すると、羽高が彼らに向かって
「どうしてそれがいけないのか説明して欲しいんですけどぉ?」
と文句を言い始めた。

 イルミンスールの生徒が、何かを言い返したが、羽高は
「よくわからないので、もっと判りやすく説明して欲しいんですけどー」
とやり返す。

 暖簾に腕押し攻撃で相手のやる気を封殺という算段らしい。

 オレの料理がまずいことも手伝って、雰囲気が少し悪くなってしまった・・・・・・。


チョコバナナの屋台”BJBJ”

 まず、この店にやってきたのは、デズモンド・バロウズとアルフレッド・スペンサーのふたり。

 店主の藤原 和人に歓迎され、甘いものに目がないデズモンドはチョコバナナを注文。

 ブラックジャックもやってみると、2連勝してなんと5本ゲット。

 デズモンドは喜びながらも、両手に持ちきれないほどの量になったので、アルフレッドに持たせて別の屋台に梯子しようとする。

 しかも、以前別の屋台で買ったチョコバナナの残りもある。

 アルフレッドは
「まず残っているものから食べちゃってくださいよ」
と、少々呆れ顔だ。

 柊 美月も、さっきバナナの叩き売りにいったけど、こちらにも惹かれてやってきた。

 ブラックジャックをやってみるが、残念ながら負けてしまった。


 ダブルデート中の東雲 いちるとヤジロ アイリたちも、BJBJに来てチョコバナナをお買い上げ。

 ヤジロ アイリは、ギルベルト・アークウェイに片思い中の東雲 いちるを気づかってか、なにかといちるにちょっかいを出している。

「ギルとの予行練習しよう」
といって肩を組んでみたり。

「チョコバナナあーんして」
と要求したり・・・・・・。

 適当にちょっかいを出し終えると、いちるをギルベルトの元に返してやった。

「少しは優しくなるとよいんだが・・・・・・」

 そう思いつつ、パートナーのセス・テヴァンを見ると、全然アイリには関心がない様子。

「セス、いちる達ばっか見てね?
 ・・・・・・なんかもやもやする。まあいいか」

 アイリは、どうも寂しい事に気づいていないようだ。


 ヘレトゥレイン・ラクシャーサと譲葉 大和も、連れ立ってBJBJにあらわれた。

 店主の藤原 和人がラクシャーサに、なぜ譲葉 大和と一緒にいるのかを訊かれたので、ラクシャーサはこう答えていた。

「行きずりの人達と一緒に屋台の雰囲気を楽しみます。
 折角の合同祭りなので楽しく過ごしたいですわ。」


 エレクトリック・オーヴァーナイトは王 大鋸とのデートを楽しんでいる様子だ。

 この屋台でも、
「勿論王さんのおごりでお願いしたいわ」
と、おねだりも忘れない。

 さらに、エレクトリックは
「パラ実での武勇伝、聞かせて頂けるかしら」
と持ち上げる。

「よしきた!」
と、王 大鋸は得意げに武勇伝を語るが、調子に乗りすぎて、バナナの皮ですってんころりん。

 したたか頭を打ってしまった・・・・・・。

「あちゃー・・・・・・当方は一切感知しません」
と、藤原 和人は”免責事項”を強調した。


灼熱!外道焼き

「さあ、バンバン汗をかいて夏バテを吹っ飛ばそぉー!
 ・・・・・・って、ちっとも売れないねぇ?」

 店主のカレン・ドレッドノートは、ぼやいていた。

 売れるわけないのはわかっているが、やっぱり客足がないとさびしい。

 大量に用意しておいたイボガエルも、半分ぐらい逃げ出してしまったが、面倒くさくて追う気もしない。

 と、そこへ客が来た。

 柊 美月と茅木 綾人だ。

 美月は、何か変わった食べ物がないか探していたが、いかにも怪しそうな外道焼きを見て、こういった。

「ねえ綾人。
 あの外道焼きっていうの、ちょっと試しに食べてみて」

「なんだ、その食い物は?!
 ゲテモノっぽいのだけ俺に押し付けるんじゃない!
 や、やめろーーー!!!」

 美月がイボガエルの姿焼きを綾人の口に押し込むと、綾人は泡を吹いて倒れてしまった・・・・・・。


 戸隠 梓は、外道焼きの屋台を見ると、強い興味を示した。

 パートナーのキリエ・フェンリスは、
「ったく学校長とはいえガキの相手は疲れるぜ」
とぶつぶつ言っていたが、ここでも気を利かせた。

「は? あれが食いたいだァ?
 これだからお子様は・・・・・・
 待ってろすぐ戻る」

 そういって、梓にイボガエルを買ってきた。

 梓がそれを、何も知らぬエリザベートに食べさせてみると、エリザは目を白黒させて「うーん」と唸った。

 イタズラ好きの梓はそれを見て
「かわいい!」
と惚けるが、エリザベートの怒りの魔法が炸裂した。

「なんですかこれはー! えいっ!」

「おいやめぎゃあああああ!!」

 怒りの魔法がキリエを直撃した。

 キリエはすんでのところで梓をかばったのだ。

「だ、大丈夫ですか? キリエくん
 いつも守ってくださってありがとうございます。」

 ぷすぷす言ってるキリエを膝枕しながら、梓は詫びた。

 でも、キリエはさすがナイトだけあって、頑丈にできている。

 校長の魔法を受けても、致命傷には至らなかったようだ。


 グレン・ラングレンたちも、外道焼きの屋台やってきた。

 グレンは、つねづね
「愛しのアーデルハイドちゃんとお近づきになるチャンス!
 超ババ様とイチャイチャしたい」
と考えていたから、このゲテモノを見たら、怖がって腕を組んでくるんじゃないかと考えた。

 ところが、アーデルハイドは、このイボガエルを平気な顔で食べている。

 超ババ様、恐るべし!


 エレクトリック・オーヴァーナイトは、完全に自分のペースで王 大鋸を振り回していた。

「祭り如きで私を満足させられるか、実に楽しみね」
というエレクトリックの挑発のため、結局王が外道焼きを食べるハメになった。

「う・・・・・・うまいぜ・・・・・・」

 女性を満足させるのも、大変である。