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彼氏彼女の作り方 1日目

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彼氏彼女の作り方 1日目

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お持て成しの心/前編

 そうして順調なチームとそうでないチームがクッキーを作り始めたが、今回はもう1品ある。カップケーキもお菓子作りでは定番で初歩的な物。しかもアレンジも自在ともなれば個性的な一品が仕上がるのは間違いないだろう。
 しかし、菅野 葉月(すがの・はづき)はどうやらベイクドチーズケーキを作るつもりでクリームチーズを持参したようだが、どうやらそれを作っている時間はなさそうだ。メニューを変えてチーズ蒸しケーキなら材料も時間的にも問題ないので作業に取りかかることにした。
 その様子をチラチラと気にしているのは甲斐 英虎(かい・ひでとら)。普段食べる側の彼にとって、カップケーキの材料だけでも不思議な感じなのに、さらに持ち込みの材料によって何が出来るかわからない。甲斐 ユキノ(かい・ゆきの)はよそ見をして材料をひっくり返さないかとハラハラしながらそれを見守っている。
「トラ、作ると決めたならキチンとするのです」
「んーでもさ、こんなに色々やってるなら全部受けて見たかったよね」
 紅茶にクッキー、そして会話の実践講座。そのどれもが面白そうで、最後まで中々決めることが出来なかった。優柔不断な英虎に代わってしっかり者であるように振る舞おうと「欲張りはいけない」とユキノも言うが、結局2人で時間いっぱいまで迷ってしまっていた。決めてとなったのは、料理なら分担作業で友達が増やせるんじゃないかということと、クッキーはこの前一緒に作ったことがあるからでカップケーキになったらしい。最後まで何をするか決められなかったために、特別な物は用意出来ていないが、だからこそ基本に忠実なものが出来上がると思う。
(何よりも気になるのは、真城さんの仮面なんだけど……)
 シンプルな白い仮面。蒼空学園ではあまり見ることが出来ない姿なだけに興味津々だった。あっちのテーブルを見てこっちのテーブルを見て。そして直がどこに行っただろうかとよそ見をすれば、手元が狂うのは当然だろう。
「トラ! 小麦粉が零れていますです!」
「え? あっちゃー……」
 ボールの外でこんもりと山になるサラサラの小麦粉。しかし、ふと向かいの作業台を見れば同じようなものがもう1つ。ルーク・クレイン(るーく・くれいん)は料理が下手なことを知ってか、勝手にパートナーのシリウス・サザーラント(しりうす・さざーらんと)に申し込まれてしまったので、逆に驚かせてやるとばかりに意気込んでいるのだが。
(この僕に恥じをかかせようだなんて、そうは行かないんだからな!)
 気合いの限りふるいを素早く動かして小麦粉が舞ってしまっているので、零れていることに気付いていないのだろう。ゆっくりと下の方から攻めて上げてくる小麦粉の存在を教えてあげようかと英虎が近づけば、誰かが近寄ってきたことに驚いてルークはふるいを小麦粉の山の上に落としてしまった。
「うっ……! けほっ、げほっ……こんな失敗をしてしまうなんて」
 どこか安全な場所でシリウスの笑い声が聞こえた気がして、ルークの怒りは増すばかり。小麦粉の向こうで揺れる影を見つけ、白くなった手で相手を捕らえる。
「今日という今日は粛清してやる……!!」
「きょ、今日が初対面じゃなかったっけ? 多分っ!」
 恨みを込めていきなり捕まれた腕に抵抗はしないよう、やんわりと誤解を解こうと試みる英虎。制服を見る限り同じ学園なのだから、もしかしたら廊下ですれ違ったりだとか学食でバトルをしたりとかはあったかもしれない。けれども、こうして顔を見て話すのは初めてのはずなのに怒りを買われているということは、最後のパンを勝ち取ったとかで恨みを買ってしまったのだろうか。
 いや、そんなことはないはずだ! と小麦粉を払い相手の姿が確認できるようになってくると、次第にルークの顔は驚きに満ちた物となる。
「すみません、変態吸血鬼とばかり思っていたから……」
(……よっぽど嫌いなんだろうなぁ)
 慌てて離してくれた腕には跡が残るんじゃないかと思うくらいにヒリヒリ感が残っている。そのまま殴りかかってこられなくて良かったと思いながら、同じように苦手な人がいて良かったとも少しだけ思う。
「あの、良かったら一緒に作らない? 俺も料理はあんまり得意じゃなくてさ、一緒のほうが心強いというか……」
 どうかな、と様子を伺う英虎にこれはチャンスだとルークは思う。1人だと加減もわからず無茶ばかりやってしまいそうな自覚はあるが、他人と一緒ならそれなりな物が出来るかもしれない。そうして、他の参加者と楽しんで作っていたら、どこかで自分を嘲笑っているシリウスを悔しがらせることが出来るかもしれない。
「ああ、こちらからもお願いしたい。共に頑張ろう、えぇと……」
「英虎! あと、パートナーのユキノもいるんだ。君は?」
 微笑んで差し出された右手に手を伸ばす前に、ぐるりと辺りを見回した。シリウスは姿を現す様子も見せないし、あんな変態吸血鬼とパートナーだと知れたら自分まで変態のレッテルを貼られかねない。
「ルークだ、1人で来たから声をかけてもらえて嬉しいよ英虎。これからよろしくな」
(負けてばかりだと思うなよ……っ!)
 心の中の闘志を感じてか、物陰からその様子を伺っていたシリウスは薄く笑みを浮かべていた。
(拒絶しているつもりでその心は俺で満たされていることに気付かないなんて……愚かすぎて可愛いよ)
 どんな感情であったとしても、ルークの心の中を支配しているのは自分のみ。それを見てどうして残念に思うことがあるのだろう。悪戦苦闘する姿が見たいシリウスは高みの見物を決め込み、自分に捕らわれているルークを嬉しそうに眺めているのだった。
 そうして、野望に燃えているのはルークだけではない。ルカルカ・ルー(るかるか・るー)もまたダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)の教えを振り返り胸元まである真っ白な台所用戦闘着に身を包む。エプロンのリボンはきっちりと締め、ふわりとした癖のある髪はきっちり茶色のカチューシャで止め、動きやすいように同色のキュロットでやってきた。これで、どんな敵も迎え撃てるはず!
 そう、今日のメインはルカルカだ。彼女がクリスマスまでに美味しいケーキ作りをマスターするために参加したのだから、特に手伝えることのないカルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)は他のチームの試食にまわり、ルカルカのケーキを試食した際にアドバイス出来れば……と2人を邪魔しないように去っていった。
「どうやら、メニューは指定されていたようだな」
 イエニチェリがお菓子作りを指導してくれる! と喜び勇んで出てきた2人は、どうやら詳細を確認しそびれていたようだ。チョコレート系の物を作ろうとしていたため、それは持参したのだが本格的な道具などはない。これでは凝った作りの物は披露出来ないだろう。
 用意されている材料も、それ自体は高級な品物だが一般的な材料ばかり。これとチョコレートを使ってとなると、アイディアが勝負となるだろう。
「ルカルカはミニチョコケーキにするわ! ダリルは?」
 少し作ろうとしたものと勝手は違うが、基本的にはそこまで大きく代わらないはず。しかし、ザッハトルテを作ろうとしていたダリルは大幅に変更しなければならない。並ぶ材料の中、ルカルカの意欲が増すような物は作れないかと吟味し、この寒くなる時期にぴったりの物を思いついた。
「俺もチョコレート系の物を作ろう。今日はあまり手伝わないから、しっかりやるんだぞ」
 休日の間に鍛練を積んできた2人はパートナーであり先生と生徒、そして今日はライバルだ。勝ち気な瞳に宿る闘志が結果となり現れるよう、ダリルはルカルカの成長を願うのだった。
 よし、と気合いを入れてルカルカは卵白を泡立てる。ピンと角が立つくらいにとは良く言うが、練習していたショコラケーキは逆さにしても落ちないくらい固めに泡立てなければならない。そこまで泡立てるとなると大抵の人はハンドミキサーを使うだろうに、ルカルカは懸命に自分自身の腕で泡立てていた。
(機械は楽だけど、泡の密度が違って美味しくないんだもん……頑張らなきゃ!)
 運動が得意なだけあって体力にも自信があるのか、疲れを見せずにどんどんと泡立てていく。そして、角が立つほど固くなってきたのでボールをひっくり返しても大丈夫かと傾ける。
「……やった、ダリル見て見――きゃぁああっ!」
 傾けても落ちてこない良く泡だった卵白に気を抜いて、周りにあまり飛ばすことなく泡立てることが出来たのを見て貰おうとボールを持ち上げた瞬間、それはツルンと滑り落ちた。
 泡立てやすいようにとダリルの教えを守って大きめのボールで作業していたため、どうにか落下する前に元に戻すことが出来たのだが、小さなボールだったならば今頃床の上だっただろう。
「どうした、怪我でもしたか!?」
「……ううん、なんでもない」
 特訓のおかげでほんの少し上達したと思っていた料理の腕。けれどもこの調子ではまた失敗してしまうんじゃないかとダリルは心配でたまらなかった。
「あれ、ダリルは何作ってるの?」
 クッキーかカップケーキを作るようにと言われているのに、ダリルが作っているのはどう見てもガナッシュ。どうやら、紅茶用に用意されていたエバミルクを生クリームの代用として滑らかに仕上げているようだ。そういう発想は、普段料理している彼ならではの発想だろう。
「ケーキの……まぁ、食べるときに驚くような仕掛けだ」
 誤魔化すように笑うが、今は自分も忙しい。とくに問い詰めることもなく、ルカルカは自分の作業に戻るのだった。
 問題なく作業を進める横で、手が止まっているチームがあった。柊 まなか(ひいらぎ・まなか)はチョコチップクッキーを作るつもりで型抜きをとってこなかったのだが、ディクシーにもっとお手伝いをしてもらおうとお使いを頼んだのだ。
 広い作業室だが、特別背が低いわけではないし方向音痴でもない彼なら迷わずに帰ってこれると思っていたのに、戻る気配はまるでない。
「どうしよう……シダ、探しに行った方がいいかな?」
 いつも自分の後ろをついてくるばかりだからと、向かわせるんじゃなかった。そう落ち込むまなかを励ますように、シダ・ステルス(しだ・すてるす)は紅茶を淹れていた手を止めてディクシーがいるはずのスペースを見る。
「……エサにつられてたりしてな」
 よくよく見て見れば、そのスペースには小麦粉の袋の後ろに開封済みのチョコレートの袋が隠されるように立てかけられている。あれほどトッピングに使うからと念を押しておいたのに、どうやらつまみ食いされてしまったらしい。
「ど、どうしよう。他の人に迷惑かけてないかな? お菓子の旅なら私も一緒に行けば――」
「まなか」
 冗談半分で言った言葉を咎めるようにシダが口を挟む。ディクシーのことを心配しなきゃいけない状況で軽率だったかと思うが、ポンと肩に手を置かれたことで気まずいながらにも視線を合わせた。
「そのときは、ちゃんと俺も連れてくんだぞ」
「…………うん」
 その顔があまりにも真面目過ぎて、つっこんで良いのかもわからない。自分の料理の腕を心配してついてきたくせに、どことなくお菓子食べ歩きツアーを楽しみにしているかのように見えるのは気のせいだろうか。
 自分たちだけで来ているなら、そうしながらディクシーを探しに行くことも出来る。けれども五明 漆(ごみょう・うるし)たちと一緒にいる以上はあまり席を外すのも良くないだろう。
「まなか、次はどうすれば良いのじゃ?」
「あ、えっとね……」
 料理が苦手な者同士、一緒に頑張ろうという約束もあるし、学園の敷地外に出ることは考えにくい。もう少しだけ待ってから探しに行こうと、まなかは2人でクッキー作りを進めた。漆のパートナーであるリーベルニア・ルーデンバウム(りーべるにあ・るーでんばうむ)もクッキーを作ることにしているのだから、一緒にすれば良いのにと思うけれど、彼女は彼女なりに考えがあるようだ。
(ご友人の前でウルシに恥をかかせるわけにはいきません。私が必ずサポートしてみせましょう)
 仲睦まじく教えあって作業を進めるのは良いのだが、何故か彼女の作る料理は平気になりかねない。本人が自覚していないので回避不能ならば、自分が見張って回避するしかないと別口で生地を作ることにしたのだ。
「ふむ、次は粉をふるえば良いのじゃな」
「うん、小麦粉のダマを取ったり、空気を含ませたりするんだって!」
 講義の最初に説明された内容をメモしたものを見返して、1つ1つを2人で確認しながらこなしていく。元々そんなに難しい物ではないようだし、こうしていけば失敗は少ないだろう。
「じゃあ私は卵を割るから、小麦粉よろしくね」
 出来るだけ殻が入らないように願いながら、慎重にヒビを入れる。もし入ってしまったら、かき混ぜる前に箸などで取り出せばいいだけだが、ぬるぬると滑る卵の中の異物など取り出しにくそうだ。
 そうして、全神経を指先に集めているところに後ろから抱きつかれてしまう。
「ただいまー、遅くなった……かも?」
 心配をかけていないか、怒らせてしまってないかと不安な様子で甘えるようにまなかに抱きつくディクシー。どうやら迷うこともなく戻ってこれたようだが、些かタイミングが悪すぎた。
「わあぁああっ!?」
 ぐしゃり。鈍い音がして、チクチクとした感触とぬるりとした感触が手のひらに広がる。そんなまなかの悲鳴を聞いてシダが駆けつけるが、よく見る光景に自分の耳を疑うばかりだ。
「なんだ、変な声を出して。それより、ディクシー戻ってきたんだな」
「うん、もどったー。もう、出来上がるまで、つまみ食いはしない……かも?」
 先ほど食べたクッキーの生地がよほどトラウマになってしまったのだろう。バニラエッセンスの香りに騙されて舐めてみたかのような苦い経験に、お菓子は完成したものが1番美味しいと思ったようだ。けれども、まなかたちが美味しいクッキーを作っているなら話は別かもしれないが。
「もう、驚いちゃったよー……って、あぁあああっ!?」
 突然の声に間近で聞いてしまったディクシーはびくりと身体を震わせ、シダもまた構えを取る。が、余程まなかが心配だったのか、その手にはずっと紅茶のポットとマグカップを持ったままになっている。
「まなか、先ほどから何を騒いでおるのじゃ?」
 訝しんでやってくる漆に指さす先は、潰れた卵が覆い被さってデロデロになっているメモ帳。これでは、分量を確認することはおろか手順も材料も解読は出来ない。
「せ、せっかく美味しいクッキーが食べ放題だったのに……」
「大丈夫じゃ、とにかく混ぜて焼けば何かしら出来るのではないか? 食べ物を使っておるのだ、早々食えぬ物もないじゃろうて」
 ざっくりとしか覚えていないが、メモの内容もそんな感じだったはず。迷いなく作業を続けようとする漆に悲鳴を上げるのは、言うまでもなくリーベルニアだ。
(兵器がっこのままではウルシの手から兵器が生み出されてしまいます……!)
 誰か、レシピをメモしている人はと辺りを見回すと、1人で作業台と睨めっこしている少女がいる。あの様子からして、レシピを持っていることに間違いはなさそうだ。
 一目散に自分に向かってきている人物がいるなど露ほども思っていない鈴虫 翔子(すずむし・しょうこ)は、レシピを見ているとは到底思えないようなざっくばらんな作り方を行っていた。
「えーと、チョーキング……じゃなくて、ベーキングパウダーってこのくらいでいいんだっけ?」
 説明ではいれても美味しく出来上がるという説明だったので、いれなくても良かった気はする。けれど、ほんの少しどうこうと説明があった際、翔子は隠し味になるんだと間違った解釈をしてメモをとっていたため、肝心の分量などを聞きそびれてしまったようだ。細めの筒状の缶からインスタントコーヒーをカップに移すようにサササッと振り入れている。どう見ても入れすぎだ。
「もし、あなたがお持ちのレシピがクッキーのものなら、少しの間お貸し頂けませんか?」
 1つ作業台を挟んだところにいたリーベルニアはすぐにたどり着いたようで、声をかけられた翔子は手を止める。けれども、傾けられた缶からはゆっくりとベーキングパウダーがこぼれ続けている。
「クッキーのメモだけど……役立つかな?」
 走り書きのようなそれは、どうやら材料と手順だけを大まかにメモして手探りで作っているようだ。分量や焼き時間を書いていないのは気になる点だが、ないよりましだろうともう1度頭を下げる。
「こちらのトラブルで、レシピをダメにしてしまって……少しの時間だけでいいんです」
「んー……今からメモをとるのも大変だよね? 良かったらボクをキミたちのグループに混ぜてくれないかな」
 確かにそうしてもらうと手間が省けるのだが、ほんの少し漆の交友関係が広がってしまうことに不安がよぎるリーベルニア。なにも男性を紹介しようというわけではないし、背に腹は代えられない。
「助かります、何かお運びするものがありましたら手伝いますわ」
 テーブルに広げられた材料は向こうでも用意してある物なので簡単に片付け、使いかけの道具などは運んでしまおうとリーベルニアはテキパキと動く。そうして、かわいらしい型を見つけた。
「あ、それ私のなんだ。学校のだとシンプルなのしか無さそうだなと思って」
 可愛いでしょ、と自慢げに笑うだけあって、ウサギやまんぼうなど生き物の形から牛乳パックなんていう変わった物まである。こういった形なら、型抜きの作業も楽しそうだ。
「本当、仕上がりが楽しみですわね」
 人数も増えて賑やかになったグループの中で、楽しそうに女の子たちがクッキーを焼いている。とても幸せそうな絵で、きっと美味しい物が出来上がるのだろうと想像力をかき立てるのに……夢のような光景と腕前は一致しないようだ。
「……なぁ、一体何を焼いたらオーブンいっぱいにふくれあがるんだ?」
 焼き上がるまでももちろんシダの紅茶でくつろぎながら話し込み、誰も覗き込まなくなっていたオーブン。そこには、まるでパンか何かのように膨らんで、側面が焦げて煙りを吹いている30分ほど前まではクッキーになると思われていた物があった。
「ええい、1度や2度など失敗に入らぬわ! こうなったら、4人で猛特訓をするのじゃ!」
「おーっ!」
 料理が苦手な者同士結束が芽生えたことは良いことだが、次第に周りから漂ってくる香りにシダは深い溜め息を吐く。
(いつになったら食えるんだ……)
 誰よりも完成を楽しみにしているのは、今もなおチョコチップをつまみ食いしているディクシーでも、リベンジに燃える女の子たちでもなく、実は甘い物が大好きな彼だということには誰も気がついてはいなかった――。